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リジューナ・アルカード ①

「あの、リジューナ様」

フローレンス様に渡す資料の整理をしていた時にメイドが声を掛けて来た。

「何か問題が起きたの?」

「いえ。リジューナ様と面会を求める方が来たのです」

「? アポイントを取っていない方は誰であろうと断る様言っているでしょう?」

「そうですけど……その」

言いにくそうにしているメイドに「誰が来たの?」と私は急かす。


「その……リジューナ様の旦那様・・・と名乗る男性がリジューナ様に会わせろと」











門の境に一人の汚い男が立っていた。

それなりに整っている顔立ちなのだが、無精髭が生え、髪もボサボサ。身なりも何日が洗っていないのかえた匂いに思わず眉を顰める。あまりの変わり様に一瞬別人かと思ったほどだ。


「久しぶりね。アレから五年も経っているのね」

「ああ、その、久しぶりだねリジー。本当に綺麗に成って……開けてくれないのかい?」

「赤の他人に私の仕事場に入れる道理はないでしょう」


あからさまに傷ついた表情を作る元夫に苛立ちを覚える。私をこんな風にしたのは貴方のせいでしょうが。

「……君は変わってしまった。昔はあんなに優しかったのに」

「変わった?……誰のせいだと思っているの。横領の罪を着せ・・・・・・・殺されそうに・・・・・・なった・・・のは一体誰のせいだと思っているの」

思わず怒鳴りそうになるが何とか耐えた。











私の家と彼の家は商会を営んでいて、早い話がお互いの事業を発展する為に私達を結婚させた。

私は秘書として元夫を支えていたが、経理の人数が足りなかった為、急遽として私が手伝いをしたのだが。

最低でも一ルーベル、高くて千ルーベルの赤字が毎月の様に出ていた。全店舗から。

一店舗二店舗程度ならまだ分かるが、流石に全ての店から赤字が出るなど可笑し過ぎし、このままの状態だと大変な事になるのは目に見えている。

そうして調査したのだが……ある人物・・が商会に入った時からこうなったと判明した。


女の名はモニエール・ピリカルド。庇護欲をそそる可愛らしい娘だ。その娘が経理に勤めるようになってからこの赤字が出る様になったと判明した。

私と一緒に調査した部下達の脳裏には『横領』の二文字が浮かんだ。流石に会長であった元夫にピリカルドに事情聴取して、横領を認めたらピリカルドを解雇すべきだと話したが、元夫はソレを断った。


この時点で私の頭の中にとある二文字が過ぎった。

最近夜遅く帰る事が多だあったし、数日前、身に覚えのない宝石やドレスの請求書が彼の書斎から出て問い質すと『世話になった夫人の誕生日プレゼント』と言い、それならその夫人の名前はともう一度質問すると『五月蠅い!!』と逆切れして結局うやむやになったのだが。

その請求された宝石やドレスをモニエールが着ている時点で気付けば良かったのに……本当に私って馬鹿。


流石に元夫への愛はその時点で冷え切った。そして横領を黙認する様な男を長にする様な商会は潰れる。私は秘密裏に同士を集めてあの二人を平和的に辞めさせようとした。












私が元夫によって山奥に放置されるまでは。



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