プロローグ
今日まで我々はある言葉を知っている。
『アゲマンとサゲマン』
アゲマンとは男の運気を上げ、幸福な道を勧めさせる事が出来る女性の事。
サゲマンとは逆に男の運気を下げ、不幸な道を歩ませる女性の事。
この言葉は差別的発言だと言う声があるので、表だって言う事がないがそれでもこの言葉が滅ぶ事がない。
この言葉を最初に提言したのはケイ・アマミヤ。
知っての通り、ケイ・アマミヤは突如として現れ、類まれな頭脳と権力に屈しない強い心を持ち、幾度も冤罪から人々を救い、『裁判』の原型を作り出した逸材である。
その出生について謎多き男であるが、とある二人とそれに関わった人達の話を聞くとポツリと呟いた。
「まるでアゲマンとサゲマンだな」
コレを聞いた妻(婚約者と浮気相手から無実の罪を着せられて処刑寸前だったのをケイが救った)とケイの親友(これまたケイが悪徳貴族を裁き、取り潰し寸前だった家と罪を着せられ失意のあまり死んだ父の名誉を回復させた)がその意味を聞くと上記の意味を言い、それがいつの間にか人々に浸透したのだ。
彼がアゲマン・サゲマンと言ったのは数百年前の二人の女性についてだ。
大国ヨシワラの二代目『フローレンス』であり、娼館だらけの小さな街から大国まで発展出来たのは彼女無くして出来ないと言っても当然である、『女傑』フローレン・メイリス・シフォンズ。
平民から王妃となったシンデレラガールだが、当時世界有数の大国であったシャレーンをたった数年で滅亡させた『愚かな女』ミスリア・グフーズ。
この書はそんな二人と関わった人々の話を中心にシャレーン滅亡までの人々の人生を書いてある。
ケイ・アメミヤは異世界からトリップした弁護士の青年。
この世界が信仰する神がもう少し秩序を良くしたい為に飛行機事故で死にかけていたケイを自分の世界に連れてきた。
又、ケイを慕う女性が沢山いたが、ただ一人を愛したその誠実さ、逆境に諦めない心などその性格に神が惚れたと言っても過言でもない。