The Preparation-1
「え〜、明日から夏休みだ。時間がたっぷりあるから、皆やりたいことがあって楽しみだろう。だけどな、くれぐれも事故や事件は起こさないようにな。まぁ、巻き込まれた場合はどうしようもないが。
とにかく、先生が言いたい事は一つ。無事に二学期を迎えるように、以上!日直、頼む」
「きりーつ、れー」
「「「さよならー」」」
たった今、一学期が終わった。
これから約一ヶ月間、学校に来ることはなくなる。
皆大好き、夏休み。今から遊ぶ予定をたてているクラスメイトをちらほら見かける。
さて僕はどうしようか、そう考えてた時だ。
「おーい、ゆきー。一緒に帰るぞー」
「ん?」
呼ばれた気がして教室のドアを見ると、そこには友達の駿がいた。
「今行く」
そう言って駿のところへ行き、一緒に帰る。
そして、帰り道に駿はこんな事を聞いてきた。
「なぁ、ゆき。Infinite Tales Onlineって知ってるか?」
「ん、知ってる」
Infinite Tales Onlineとは、今話題のVRMMOのゲームの事だ。
数年前から、医療に使われていたVR技術をゲームに採用し、それを用いた格闘ゲームなどが出ていたがVRMMORPGは今作が初めてらしい。
まぁ、格ゲーは苦手だからやってないんだけど。
「俺な、実はそれのβテスターだったんだよ。まぁ俺だけじゃなくて、亮太に陽子、明音と由梨もなんだけど。
で、βテスターって優先的にゲームが配られるから、五人でやることになったんだけど、パーティーは六人まで組めるんだよ。
ゆきさえ良ければ、一緒にやらないかなって思ってな」
「ん、やりたい。でも人気凄い。多分買えない。
確か発売は今日。売り切れてると思う」
「ところが、実はあるんだな〜。父さんの知り合いが今回のゲームの開発スタッフらしくて、一つ譲ってもらったんだ」
「…なるほど」
そういうことか。なら確かに僕もやれるな。
この際だから、その方法っていけないんじゃないの?とは言わない。
だってやりたいもの。
「つーわけで、ちょっと俺ん家寄るぞ。ヘッドギア渡さなきゃだしな」
「ん」
そして駿の家に寄ると、「少し待ってな」と言って駿だけ家に入る。態々持ってきてくれるのだろう、ありがたいことだ。
五分もしないうちに駿が戻ってきた。
手には、ヘッドギアが入っていると思われる段ボールがあった。
「ほい、これがゆきのヘッドギアな。これとネットがあればゲームができるぜ」
「ん、ありがと」
「ゲーム始める前にアバター作んなきゃいけないから、早めに作っとけよ?」
「わかった。早速帰って作る。じゃ、ゲーム内で」
「おう!」
そう言って別れる。
さて、夏休みの予定はこれで埋まったかもな。
そんな事を思いながら、僕は自宅へと急いだ。
裏話をすると、主人公の性格をかなり迷いました。
実は一番最初は、無邪気系元気男の娘にする予定でした。というか、それで投稿しました。
でも、その後に無口系小動物男の娘とクール系半コミュ障男の娘もいいなぁとか考えて、結局今の性格になりました。
多分、後ろ二つを足した感じ…だと思います。
「キャラくらいきちんと決めようぜ」ってダメ出しされても可笑しくない作品ですが、応援して頂ければ嬉しいです。