アタシと勇者の恋の話 Ⅹ
どうもこんばんはー。
今回は死にゆく魔王とルミアのお話です。
では、ごゆるりと~
「いやああああああああ!」
倒れるお父様。アタシはただ、叫ぶしかなかった。
ラウスは涙を流しながら悔しがっている。
リーニャは気を失ったようだ。
「くそっ、くそっ!」
ラウスが地面に手を叩きつけていた。
その場に座り込んでいたアタシはよろよろと立ち上がり、ラウスとお父様の元へ歩く。
「・・・ミア?」
「・・・ラウス」
どうやら、ラウスは気づいたみたいだ。
アタシは暗い声で彼の名前を呼んだ。
「どうしてお前がいるんだ?」
「それは、アタシが魔王の娘だからよ」
「!?」
ラウスは信じられないという顔をして驚いた。
「ねえ、少しでいいからお父様と話をさせてちょうだい」
「っ、あぁ」
ラウスは申し訳ないという顔で返事をした。
アタシは弱弱しく笑って、
「ありがとうね」
と言った。
そして、ひゅーひゅーと頼りない呼吸をするお父様の元へ歩いた。
「・・・・ルミ、アか」
「お父様、しゃべらないで」
アタシは座り、お父様の頭を自分の膝の上に乗せる。
「・・・・すまんな。・・・・見ての様だ」
「ねえ、しゃべらないで! 死んじゃうわ!」
アタシが叫ぶとお父様は、
「いや・・・死ぬから、話すんだ」
と言う。
なんで、そんなこと言うのよ!
やめて! やめてよ!
「・・・・お前、大きくなったなぁ」
お父様はポンと、大きな手をアタシの頭の上に乗せた。
涙があふれてくる。
「そんで、・・・母さんに似て、きた、な」
「ありがとう・・・」
お父様が悲しまないように一生懸命笑顔を作る。
でも、失敗みたいだ。無理。涙が止まらないの。
「わしには・・・・出来すぎた娘だった・・・・。かわいい、息子と、娘たちに囲まれて」
お父様は言葉を切り、また紡ぐ。
「わしは、幸せだった」
「ア、アタシも・・・だよ」
お父様の顔にアタシの涙がぽたぽたと落ちる。
「泣く、な娘よ。わしは、いつでも見守っている」
「泣いてなんか、ないわ、よ」
お父様はアタシの涙をぬぐってくれた。
そして、
「いい男を、見つけたな。・・・・せめて、お前は、幸せになってくれ」
と言い、
「愛していたぞ、我が娘よ」
と言ったのが最期だった。
力を失ったお父様の腕はぐったりとし、心臓もゆるやかに止まって行った。
「アタシも、大好きだったよ。お父様」
アタシはお父様の頭をゆっくりと床に寝かせ、立ち上がった。
「・・・ミア。いや、ルミア」
「えぇ」
ラウスに向き合う。
人間と魔族の未来を決める話し合いが始まった。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
次回は水曜日更新です!




