アタシと勇者の恋の話 Ⅱ
こんばんはー。本日も『勇魔』←面倒なので略した の時間が始まりました。
今回はルミアさんが勇者と出会っちゃいます!
では、ごゆるりと~
魔族のアタシにとって人間が蔓延る街というものは警戒すべき所だ。だから人間に見えるようにちゃんと人間らしい服装をしてきた。
魔族と人間の外見的な違いは瞳と耳にある。魔族は暗闇に入ると瞳の色が変色する。そして、耳は人間と違い先端がと尖っているのだ。だから、暗闇と耳には注意をしている。
「・・・で、何を買い物するんだっけ?」
と思いつつバッグに手をつっこんだとき、通魔伝が鳴った。あ、お父様からだ。
アタシは近くの路地に入り、通魔伝を取る。
「もしもし、お父さん?」
『おお、ルミアか』
「うん、そだけど・・。何?」
『ん? いやまあ、声が聴きたかっただけというか・・・な?』
「恋人か!」
人間の間では恐怖の大魔王とか言われてるはずの魔王ハデスにアタシはつっこみを入れる。
・・・て言うか魔王なんて言ってるのは人間だけ。お父様は本当は無差別に人間を殺したりなんかしてないし、別に恐怖ですらない。あんなの勝手な妄想だ。
『いや、本当はアレだ。なんか3ヵ月後に勇者一行がわしの城に入ってわしを倒すらしい』
「た、倒すらしいって他人事みたいに!」
まさか、もうそんな事態にまで発展してるの!? どうして? お父様は何も悪くないのに・・・。
『まー、別にさ。アレだ。勇者とは話し合おうと思ってるからな』
「でも、勇者が話を聞いてくれるとは限りないわ」
『そうだな。でもわしも魔族と人間には仲良くしてほしい。だからな』
「・・・・でも」
お父さんが死んじゃうかも知れないんだよ? とは言えない。困らせたくないから。
『けど、お前は気を付けておけ。勇者の名前はラウス。お前が魔王の娘だってことが分かったら、殺されるかもしれねえからな』
「分かった、絶対気を付ける。じゃ、お父さんも気を付けてね」
そう言ってアタシは通魔伝を切った。
勇者ラウスか・・・。7人の仲間を連れて旅をする男。覚えておかないと。
「なあ、お姉ちゃん美人だねー」
「は?」
振り向くと20人くらいの人間の男がアタシを囲んでいた。
「・・・何か用ですか?」
「いや、俺たちと遊んでくれないかなって思ってね?」
「残念ながら時間がないので」
道を通ろうとすると別の男たちが塞ぐ。・・・魔法を使って脅してやろうかな? ううん、ダメ。魔族は人間よりも魔力が高いのだ。少しでも魔法を使えばバレてしまうかもしれない。
絶対に防がなければ。・・・でも、どうしよう。
「なー、遊ぶの遊ばないの?」
と言いながら男の1人はニヤニヤしながらアタシの腕をつかむ。
「なッ! やめッ!」
「男20人が女の子1人をイジメて楽しいか?」
「だ、誰だ!?」
「・・・・!」
横を見るとアタシと同い年くらいの少年がすでに15人も倒していた。
「俺の名前はラウス。一応は・・・勇者だ」
恥ずかしそうに名前を名乗りつつ4人を倒す。
「ひ、ひぃ!」
アタシを掴んでいた男は怖がり走り去っていった。
「・・・何よ、謝って逃げなさいよ」
「あの、大丈夫でしたか?」
「っ!」
少年の声を聞き、思わず後ずさりした。
なんて言ったってこいつはあの勇者だ。警戒しないどこがおかしい?
「あ・・・俺、何か失礼なマネしたかな?」
「そ、あ、え・・・。違うの、これは違うの! くせなの! そう、くせよ!」
しまった。アタシはここでは人間だったんだ。不自然に思ったかしら?
「そっか、あ、君の名前は?」
「アタシ・・?」
なんて、名乗ろうか。ルミアなんて言ったらダメだし・・・。あ、そうだ。
「アタシはミアよ。助けてくれてありがとう。じゃあね、勇者様」
よし。これで悪印象は与えた。逃げよう。アタシは勇者の横を通り過ぎようとした。
「あ、待って・・って、あ」
むにゅ
勇者は多分腕を掴もうと思ったんだと思う。
でもね、そこはアタシの胸なんだよね?
ぱっしーん!
思い切って殴ってやった。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
次回の更新は土曜日です。




