憤怒姫と伝説のおばちゃん
今回のお話で《七つの大罪》視点で送る、SSも終了です!
では、ごゆるりと~
「・・・」
「サタンさま、どうしたんだ?」
わたくしが神妙な顔をしているとわたくしの執事、ヨシュアがトコトコとやってきました。まぁ、神妙と言ってもわたくしはライムちゃんの被り物を被っているのでヨシュアには表情が分かりませんけど。
「あら、ヨシュア。今日は昔の知り合いが来るから緊張しているのよ」
「そうかー」
「・・ヨシュアは能天気。・・レミリアなら絶対そんなこと言わない」
「なんだよ」
「こらこら」
本当に子どもは可愛いです。純真無垢な天使のような生き物ですね。
どうか、この子たちには幸せな人生を歩んでほしいですわ。
【サタン、来たさね】
「!? お久しぶりですね、ミサハ」
「・・ヨシュア、レミリアと部屋で遊ぶ」
「? おう」
レミリアは気を利かせてくれたみたいです。ヨシュアを連れて行きました。
【しかし、アンタがあたしを呼ぶとは思ってなかったよ】
「わたくしもたまにはかつての友人に会いたいと思いますよ」
【アンタ、その被り物似合うねぇ】
「うふふ、ありがとうございます」
ミサハはあの時から随分、歳を取ったみたいです。風の噂では勇者一行の食事を支えた伝説のおばちゃんとか言われてるみたいです。
「けれど、どうしてミサハだけ長生きなのですか?」
【愚問だねぇ。あたしを純粋な人間だと思ったのかい?】
「え、違うのですか?」
知りませんでした。
【あたしは魔族と人間のハーフさね。ハーフは魔族と同じくらいの時間を生きるのさ】
「そう、だったのですか・・・」
では、レグくんやシェアラさんもそうなのですね。
【そう悲しそうな顔をするんじゃないよ】
「いいえ、けど、ハーフは迫害されていると習いましたので」
【それも、昔のことさね。今はそんなことないんだろ?】
「そうですけど」
ミサハとわたくしは敵同士ですけど仲がよかったです。ハデス様は元々、戦いが嫌いな方でした。勇者一行は少し、早とちりをしハデス様を倒してしまいました。
わたくしは恨んではいません。そんなことは無意味なことですから。
しかし、友が過去に迫害されていたと言う事実を聞き、初めて、殺意が湧きました。
【おやおや、殺気を出すんじゃないよ】
「すみません! 出ていましたか?」
【出まくりだよ】
ミサハは【はっはっは】とスケッチブックに書きました。
「ミサハ、時間は大丈夫ですか?」
【あ、もう行かないといけないね】
「修業とは・・・料理のですか?」
【あぁ、アスモデウスん所の坊主に美味しい飯を作るって約束したからね】
ミサハの表情は輝いていました。
「では、寂しいですが・・・さようなら」
【いや、さようならじゃないよ】
「え?」
そして、ミサハは言いました。
【また、会おうね、だよ】
わたくしは被り物を取り、
「おう、またな」
って言ったぜ。
あたしもミサハも久しぶりに満面の笑みになった。
さよならは言っちゃいけねえ。いつか会えること願って「またね」って言うんだ。
あたしは、ただただ手を振った。
お読みいただきありがとうございます。
次回の更新は土曜日です。




