怠惰王とキサラの朝
《七つの大罪》SS、今回は久しく出ていなかった怠惰王ベルフェゴール視点でお送りします。
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ククク・・・今日も我の朝が来たか。まさしく、今日は勇者日和だ。
ククク・・・魔王よ、その首を洗って待っていろ。我のこの魔剣デュランダルでその命、枯らしてやろう。
「ベルフェゴール様、おはようございます」
「ご苦労」
この女は我の召使いだ。
「はぁ、懲りないのですね・・・。言わせていただきますが、あなたは勇者ではありません。怠惰王ベルフェゴールですよ?」
キサラは仁王立ちをして我に言う。この女は何を言っているのだ? 我が勇者ではないだと? っは、戯言を・・・。我は魔王アスモデウスを倒すべくこの世に生を受けた選ばれし勇者であるぞ?
「全く・・・仕える身である私がどれだけ恥ずかしいか」
「やはり我のことが嫌いであったか」
「いえ、嫌いではありません」
キサラは恥ずかしげもなくサラッと言った。
べ、別に嬉しいわけじゃないんだからね!
「そういえば、憤怒姫サタン様が戻ってこられたようです」
「サ、サタン姉さんが!?」
・・・つい、素が出てしまったではないか!
「はい、ヨシュアとレミリアから報告がありました」
「そ、そうか・・・姉君も戻ってこられたか・・・ククク・・・魔王が滅びる日も近いというわけだな」
「ベルフェゴール様の今のお姿をサタン様が見られたらさぞかし悲しまれることでしょうね」
「何!?」
サタン姉さんに嫌われるの、俺? ・・・ダメだ、姉さんのことになると素に戻ってしまう。
姉さんは血の繋がった兄弟じゃないのに同じ孤児だった後の《七つの大罪》である俺たちに優しくしてくれた。そんな大好きな姉さんに嫌われた俺は・・・俺は・・・。
「と言う冗談はさておき」
「おくなぁ!」
「紅茶でもどうぞ」
「う、うむ・・・」
さすがは我の召使いだ。用意周到であるぞ。
「・・・けど、妬いてしまいますね」
「ん?」
「いえ、何もございません。フレンチトーストでございます」
「おぉ、これは我の好きな・・!」
これは甘々だから好きなのだ。
「うむ、やはりキサラの料理は美味い」
「そうですか、では死んでください」
「なに!?」
酷いではないか!
「今のは照れ隠しです」
キサラは黒い肌を見つめながら言う。
「そ、そうか・・可愛いところがあるではないか」
「死んでください」
「そ、それも照れ隠しなのであろう?」
「今のは本気です」
「ひぃぃ・・・」
もう、こんなメイドやだ。我はフレンチトーストを噛みしめていた。
次回の更新は明日です。




