スフェラ、ドMじゃなくなる 後編
おはようございます! さて、ベルゼブブのせいでドMじゃなくなってしまったメイドのスフェラちゃん。
どうなってしまうのか!? では、ごゆるりと~
「スフェラ、アスモデウスのことはどう思っている?」
少し、脱力してしまったが気を取り直してスフェラに質問をすることにした。
「素敵な方と思っているわ。魅力的な人だから主としても男としても心の底から愛しているわね」
スフェラは輝かしい微笑みで私を見つめる。眩しすぎて直視できない。
「・・・そう」
私は顔を顰めつつベルゼブブのそばに行く。
今のスフェラが爽やかすぎて近くにいると吐き気がする。うぷ・・・・。
「大丈夫かい? いやぁ・・・やっぱ、親子だね」
「・・・・・・・・・」
ベルゼブブは私が吐きそうなのに気づかないのか勝手に話を進めた。この、能天気女が・・・。
「こら、シェアラ。ベルゼブブ様が話しかけて下さっているのだからちゃんと答えなきゃ失礼でしょ?」
「うぅ・・・・・・・すみません」
もう、半分泣きそうなんだけど。結構、キャラ崩壊してるんだけど。
「はは、いいんだよ。ただ、ボクはシェリーとシェアラがよく似ていたから懐かしくなっただけなんだ」
「そういえばお母様はあなたの専属魔術師だった」
「あぁ、君に似て感情に乏しくて美人で・・・うらやましかったよ」
「私はお母様のことをよく知らないから」
正直、私はシェルゥおばあ様が化け物呼ばわりしていたことぐらいしか知らない。アスモデウスとの馴れ初めはベルゼブブとアスモデウスから聞いているから知っているけど。
でも、おばあ様も言っていたけど私とお母様はよく似ているという。髪の色は全然違う。お母様の髪は銀色で満月の夜にはよく映えたと言っていた。私は空色だから、太陽の光に浴びると綺麗に反射するのだとか。
「シェアラ、ベルゼブブ様。紅茶が入りましたよー」
「ありがとう・・・ってシェアラ、どうしたんだい?」
私は衝撃を隠せなかった。あの、スフェラが紅茶をしっかり淹れることが出来た・・・!? 天変地異でも起こるんじゃないの・・・・・・・?
だって、だって、スフェラがちゃんと紅茶を淹れれた例が一度もないんだもん。いっつも、私かアスモデウスが淹れてたから・・・・。
この間、レグに渡した差し入れもスフェラがあれもこれも入れるから大変なことになった。
「どうしたの、シェアラ? あたしの淹れた紅茶は、嫌?」
「・・・そんなのじゃない。一瞬、意識が飛んだだけ」
「「それ大丈夫なの!?」」
「大丈夫だから放っておいて」
早く、この状況をどうにかしなきゃ・・・・。ドMじゃないスフェラなんてスフェラじゃない。気持ち悪い爽やかなメイドなんて認めない。
「そうだ、スフェラ。このクッキー、どうぞ」
ベルゼブブが差し出したのは明らかに禍々しい色のクッキーらしきものだった。
なるほど、もう一度同じものを食べさせれば治るという寸法か。
「では、いただきま・・・ぶふっ」
「ギャグだよ」
普通にまずいのあげた、この女。しかも、笑顔でギャグって言っちゃってる。
「も、もう・・・ベルゼブブ様もお人が悪いですね」
それを、受け流すスフェラもすごい。色々な意味で。
「じゃあ、これも食べなよ」
「・・・・・・ギャグでは?」
「ないよ」
「では、いただかせ・・・・ZZZ」
今度は眠らせた!?
「さて、邪魔者はいなくなったね」
「な、なんてこと・・・」
「いいんだよ」
「いいの・・・?」
全く、いいようじゃないんだけど・・・・。
「ねえ、シェアラ。レグくんのことどう思ってるの?」
「将来のお婿さん」
「なら、君とボクはライバルだね」
「・・・・・」
薄々は感づいていた。女の第六感というものだ。
「スフェラは目を覚ましたら、ドMに戻っているよ。ボクが来たことはアスモには内緒ね」
「分かった」
「ははっ、じゃあね。シェアラ・アムバンドリー」
結局、何がしたかったよく分からないけど取り合えず見送った。
「ん・・・・」
「おはよう、変態スフェラ」
「ふふ、最強の褒め言葉ね!」
本当に戻ったみたい。私は嬉しくって強く抱きしめた。
その間、身悶えていたのは無視して。
次回の更新は水曜日です。




