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ルシフェルさんの幸せな朝

パソコンの調子が悪くて遅くなりました!

本当にすみません・・・。今回はルシフェルちゃんを主人公にしたSSです。

ルシファーがかっこよく見えるのは私だけなんでしょうか?

―――ぴぴぴ・・・

「ん・・・」

 爽やかな朝の日差しに呼応するように小鳥が囀っている。それに、合わせて私、ルシフェル・グングニルも目覚める。

 ベッドから出て「んー」と伸びをし、寝るときも必ず横に置いている相棒の神槍グングニルをウォーミングアップがてら軽く振る。

「さてと、ルシファーくんを起こさないと」

 ルシファーくんを起こすことは許嫁である私の日課である。いつも、彼の寝ている部屋を目指して歩くとき夜這いならぬ朝這いをしているようで緊張してしまう。今も、胸の鼓動を止めることができない。ダメよ! そんなんじゃ、良き妻にはなれないわ!

 悶々している内にルシファーくんの部屋の前に着いた。私は手に持っていたグングニルを背負うとドアをノックせずに足で蹴破った。

「おはよう、ルシファーくん」

 部屋に入るとルシファーくんは部屋の隅っこで子スライムの如く縮こまってガクガク震えている。きっと、怖い夢でも見たのね・・・可哀相に。

「(びくぅっ)」

「お・は・よ・う」

「おおおおおはようございます」

 本当に怖い夢だったみたい。私が死んでしまう夢だったのかしら?

「と、ところでルシフェル。お前なんでグングニル持って部屋に入ってくんだよ」

「え? あぁ、これはルシファーくんが『後、10分・・・』って言ったときのために使おうと思ってね」

「つ、使い道は?」

「勿論、永遠の眠りについてもらうわ」

「う、嘘だよな・・・?」

「いいえ、本当よ。一緒に私も死ぬわ」

 それくらいの覚悟はあるのよ。

「うー・・やっぱ、シェアラの方がいい・・・」

「確かに、シェアラは同性の私から見ても素敵な子よ。でも、ルシファーくんへの愛は負けないわ」

 と、嫉妬していることを隠さずちょっと頬を膨らましてルシファーくんに抱きつく。

 淫乱王アスモデウス様の娘にして専属魔術師であるシェアラ・アムバンドリーは私が久しぶりに楽しい戦いをできたライバルだ。美人だし、胸も大きいし、魔法使えるし、体術使えるし。文句なしの天才だけど、感情的な意味では私の方が勝っているわ。

「おまっ・・・いくら俺様の前だからってよく、そんな恥ずかしいこと言えるな」

「恥ずかしくなんてないわ」

 愛している人に対しての褒め言葉を恥ずかしいだなんて思うわけないわよ。

「ルシファーくんは私の物よ。殺すのも、引き裂くのも、心中するのも全部私が決めるんだから」

「すっごく、物騒なこと言われてるんだけど!?」

「殺したいほど愛してるってことよ」

「俺様、今、命の危機に瀕してるんじゃ・・・」

 と言いながら少し震えるルシファーくん。私は彼を抱きしめる腕にちょっと力を入れる。

「なあ、ルシフェル。そろそろ放れようぜ」

「嫌よ。今日こそ目覚めのキスをするんだから」

 目覚めのキスは恋人や夫婦がする特別な儀式だ。愛し合っている者同士がキスをすれば一日安全に幸福に過ごせるという光魔法を改良した幸福魔法と呼ばれる儀式なのである。

「ほ、ほら、ルシファーくん、目を閉じて」

「・・・・ルシフェル」

「大丈夫よ、すぐに終わるんだから」

 どうして、そんな簡単な儀式も出来ないのよ・・・。こんなにもルシファーくんが好きなのに。

 ちょっと、焦っている私の頭にポンッとルシファーくんが大きな手をのせた。

「無理するなルシフェル」

「無理なんかしてないわ! 今日こそ、今日こそはちゃんとキスをしてあいつ達に認めさせるのよ!」

 昔、と言っても3年くらい前。まだ、私が15歳だったころ親戚たちにルシファーくんのことをバカにされたことがあった。「英雄の末裔であるグングニル家がどうして、落ちぶれた魔王などと結婚せねばならないのだ」と。そのたった一言がショックだった。

 ナルシストだけど本当はとっても優しくて不器用な彼を汚されたのが悲しかった。「そんな魔王の嫁に行くお前もクズと一緒だ」と、言われたとき絶対に認めさせると誓った。ルシファーくんも私も愛し合っているということを認めさせたかった。

「やっぱり、ダメなのかな・・・?」

 涙が出たときだった。急にルシファーくんに強く引き寄せられて唇を押さえつけられる。

「・・・!?」

 唇を離したときのルシファーくんがとてもかっこよく見えた。

「あのあの・・・ルシファーく、ん?」

「ったく、俺様だって初めてなんだからな」

「はじ、めて・・・」

 私もルシファーくんも一瞬で顔を真っ赤にする。急に恥ずかしくなった。

「親戚たちがなんだよ。俺様とお前は愛し合ってるんだろ? それだけで十分じゃねえか」

 頬を赤く染めながらも必死に笑おうとするルシファーくんの胸に顔を埋めて身を委ねる。

「ルシファーくん、好きだからね」

 私は一生この人についていきます。

 そう心の中で誓った。

次の更新は水曜日です。

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