レグ、修行する ~武闘 武術~
遅くなってすみません!
「レグ、朝ですよ」
「ん・・・・」
目を開くと俺の上にミトハが乗っていた。
「やっと、起きたか。アホレグ」
そして、俺はどうやらベッドの上ではなく修行用の部屋で眠っていたらしい。ミトハの治療のおかげで筋肉痛じゃない。つーか、体が軽い。
「今から修行か?」
「当たり前だろ」
と、しゃべるおっさんは現在10代くらいのイケメンお兄さんになっている。
「そう言えば昨日言ってた特別講師って誰だ?」
「くくく・・・この勇者ラルゴに決まっておろふべっ」
「わが主が戯言を申し訳ございません」
と言って現れたのは銀色の甲冑に身を包んだ中二病魔王こと怠惰王ベルフェゴールと専属メイドのキサラ・ティーアさんだ。
「くおらぁっ、キサラ・・・お前、勇者に向かってその態度はないであろう!」
「ベルフェゴール様、存じ上げておりますが・・・あなたは魔王ですよ」
「ふ、そんなこと当の昔に捨てたわ!」
「「「「捨てるな、アホ」」」」
「ぬごっ」
4人全員からのツッコミに胸を押さえ、うずくまるベルフェ。
「つーか、この人が講師かよ」
「仕方ないだろ。本当はサタンの方が武術は得意なんだ。でも、今行方不明だし・・・次に上手いのがベルフェだからな」
意外だ。どーせ、体力も3分しか持たないとかだろうけどさ。
「ふん、感謝し崇めろ!」
「では、レグ様、木刀をお持ちください」
「ありがとうございます」
俺はキサラさんから木刀を受け取る。
「さあ、ベルフェゴール先生。始めようぜ」
「くくく・・・貴様に我の弟子を名乗る資格を与えてやろう」
「先手必勝」
俺は同じく木刀を構えたベルフェに思い切り、斬りかかった。しかし、あっさりかわされる。
「なっ!?」
「ふ、そんな軌道で我を倒そうとは1000万年早いわ!」
「くっ」
逆に脇腹を木刀で叩かれた。痛い・・・。
「レグ、貴様に言っておいてやろう。剣はただの武器ではない。剣は己の一部なのだ」
「己の・・・一部・・・」
「あぁ、武器として扱うのではなくパートナーとして一部として扱ってやれ」
「あ、いや、はい!」
武器は己の一部。武器はパートナー・・・。ベルフェ、たまにはいいこと言うじゃねえか!
「分かったところで剣を扱うとき大事になるのは切りかかる為の軌道だ」
「軌道・・・さっきも言ってたよな」
「くくく・・・よくぞ覚えていたな。軌道とは敵へ大きな一撃を与える為の大事な道筋になるもののことだ。基本は見えないが感じることは出来る。瞳を閉じてみよ」
言われるがままに目を閉じる。
「では、我の波動を広げるぞ」
「・・・・っ」
感じる。ベルフェゴールの強い波動が・・・。軟弱でも、さすがは怠惰王だ。肌が痛いくらいの強い波動だ・・・。
「感じたな? そこに、大きな裂け目があるのが分かるか?」
「分かる」
波動の中に1つ渦を巻いている光がある。
「そこを目掛けて斬りかかってみよ」
「・・・はぁ!」
斬りかかった。目を開けるとベルフェは足をついている。
「ふむ、初めてにしては上出来だ。・・・この勇者も驚いたぞ」
ベルフェはそう言いつつ手を差し出す。握手なのだろう。俺も、礼のつもりで手を差し出した。ぎゅっと握る。
「くくく・・・キサラ、供物を捧げよ」
「命令しないでください」
「えぇ!?」
「アスモデウス、腹減った」
「自分で用意しろ」
「えぇ!?」
「・・・・・ベルフェゴール様とレグの熱い友情! 萌えますね!」
という感じで午前は終わった。
次回の更新は土曜日の夜になります。




