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淫乱王の追憶 ~暴食姫がプレゼンツ~

「ちょちょちょ、待て! 落ち着くんだベルゼ」

 なぜか黒い微笑みを見せるベルゼを見て嫌な予感がした俺は必死で止めようとした。

「どうしたんだい、アスモ? ボクはいたって普通だよ。正常におなかが空いているよ?」

「絶対嘘だろ!」

 否定しつつもニヤニヤしているベルゼ。そうだった、アイツは俺の親友だが《七つの大罪(セブンス・クライム)》の中で最も腹黒い女だった。

「あー、おなかが空いたよー。と言うわけだ、アスモ、シェリーを連れてご飯を作りに行け」

「お前、何様!?」

「・・・・イエス、我が主(マイ、マスター)

 二者二様の返事をする。つーか、シェリーさんすっごく嫌そうなんだけど。

「ちなみに作ってもらうのはボクの大好きな・・・・あ、全部好きだった」

「・・・・分かりました。・・・・毒竜のステーキ・ウィングフィッシュのから揚げですね」

「さっすが、シェリー。ボクの好みを分かってるね」

「・・・・仕えるべき姫なので」

 自分の主に対しても無表情で受け答えするシェリー。あー・・・笑うところ見てみたいな。

「・・・・アスモデウス卿、調理場・・・もとい食堂はどこですか?」

「お、俺が案内するよ」

「・・・・そうですね。アスモデウス卿がマスターに欲情して・・・事後と言うわけにはいけませんので」

「わお、アスモのエッチ☆」

「うぜええええ」

しゅんっ

「・・・・マスターの侮辱は許さないと警告したはずですが?」

「すみません・・・」

 この子、魔法も使えて武術も使えるんだなー。



「・・・・アスモデウス卿、毒竜の肉はありますか?」

「ん、あるぜ。ほい」

「・・・・ありがとうございます」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

 か、会話が弾まない。普通ならここは「わ、私料理なんて初めてだよ・・・」「じゃあ、俺が作ってやろうか?」「きゃ、かっこいい☆」みてーな展開になるはずなんだ。なのに、しーん、だぜ?

「・・・・先ほど、マスターがアスモデウス卿は私に一目惚れしたのだ、と言いましたが、あれはどういう意味ですか?」

「えっと、それは・・・」

「・・・・残念ながら私は感情を表に出すのが苦手です。・・・・よく、母からは「お前は化け物だから人間の心を理解できないのだ」と言われました。・・・・あれは本当だったのですね」

「え?」

「・・・・恐らく、マスターはアスモデウス卿は私に”恋”をしたのだと言ったのでしょう。・・・・”恋”の意味は知っていますがその感情は知りません」

「・・・・」

 俺は黙ってキンキンに冷えた氷を彼女の首筋に当てる。

「・・・・・!? な、何をするのですか!?」

「それが、感情だ」

「・・・・あ」

「今、シェリーは冷たいと”思った”。慌てた。驚いた。怒りを俺にぶつけた」


「君は化け物じゃない。普通の女の子だ」


 俺はシェリーの頭を撫でながら言う。シェリーは顔を真っ赤にして、プルプル震えていた。

「・・・・やはり、私は貴方が苦手です。・・・貴方は私を乱します」

「そっか、俺は君が好きだ。振り向いてもらえるまで、がんばるよ」

 こうして、淫乱王と銀髪の魔女はそれぞれの決意を胸に一方は笑い、一方は睨みながら料理を作っていた。

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