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その名は強欲王マモン  其の4

こんにちは~。今日はリュミエールと勇魔の二本立てです。

今回はレグは虚空を見つめるハノンをどう救うのか?

では、ごゆるりと~

「じゃあ、レグ。頼んだぞ!」

 マモンはもう30回ほど聞くセリフを言い、部屋を出た。

 俺は苦笑しながら目の前に座る少年・・・いや、本来なら少女であるはずのハノンを見た。

「や、やあ、ハノン。俺はレグ・ハーディア」

 そこまで言ってハノンの反応を待つ。

 しかし、反応はなかった。

「俺のおじいちゃんはハデスで母さんはルミアって言うんだ。ハノンは知ってるよな?」

 少し、ハノンの眉がピクリと動いた。

「えっとさ、マモンから聞いたんだ。ハデスは・・・じいちゃんはもう300年前に死んじゃったけど母さんは今でも元気だ。・・・だから、マモンにその体を返してあげてくれないか? ハノンも元の体に戻りたいだろ?」

 また、ハノンの反応はない。

「・・・大切な誰かが死ぬのって嫌だよな。その気持ち、すっごく分かる」

 ハノンの反応はないが、雰囲気が変わった。

「俺だって、母さんや父さん、レノが死んだらすっげえ悲しい。シェアラちゃんやおっさん、スフェラちゃん、スフィリちゃん、いろんなみんなが死ぬなんて嫌だぜ? でも、きっとその誰かが死んで、俺が立ち直れなくて塞ぎこんでたら死んだその人がもっと悲しむと思う」

「・・・・・」

 やっと、ハノンの目に生気が戻った。

 きっと、救える! 俺の胸にほのかな希望が芽生える。

「だから、戻ろう。本当のお前の体に戻って、じいちゃんの墓参りに行ってやってくれ。きっとじいちゃんは喜ぶぞ。母さんも一緒にだ。母さんに自分はマモンの双子の妹だって言うんだ」

 俺はニッと笑った。


 ぽろぽろぽろ。


 ハノンの頬に涙が伝った。

「・・ぁ・・・ぃ・・・」

 その小さな口が300年ぶりに開いた。

 300年ぶりに言葉を紡ぐ。

「どうした、ハノン」

 きっとじいちゃんもこうしたんだろうな・・・。と思いつつハノンの頭をなでると、急に抱きついてきた。

「わっ!?」

「ぅぅぅぅぅ・・・・」

 ハノンは戸惑いながらも泣き出した。

「ハデスさまに・・・逢いたいよ・・・。ルミアちゃんに・・・・逢いたいよ!」

 その声は少しずつ、強くなっていく。

 まさに、ハノンが心を取り戻した瞬間だった。

「どうして、私を置いて死んじゃったの!? どうして、私を置いて消えちゃったの!?」

 ハノンは叫ぶ。


「消えてないわよ。ハノン」


「ぁ・・・ル、ルミア・・・ちゃん?」

 ドアを見ると、母さん、シェアラちゃん、マモン、おっさん、スフェラちゃんがいた。

「久しぶり、この姿で逢うのは初めてかしら? ハノン」

 母さんは優しくその名を呼んだ。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

次回の更新は明日です。

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