300年目のキセキ Ⅲ
おはようございます。本日も天気良好、更新日和ですね!
今回はレイの記憶を取り戻すべくルミアさんが奮闘します!
では、ごゆるりと~
「じゃあ、始めは探索ね!」
アタシは次の日、朝、起きると同時にレイにそう宣言した。
レイはまだ寝ぼけているのか「タンザクってなんですか・・・?」と呟いている。
何で探索かって? それは、昼ドラで記憶喪失には町の探索が効果的だからよ! ・・・何? 《PMV》の見過ぎだって? い、いいじゃないの。最近の文明はすごいのよ。
「あ、おはようございます。えーと」
「アタシはルミアよ。名乗り遅れてごめんなさいね」
ようやく覚醒したレイにペコッと頭を下げた。
レイは慌てて「あ、いや・・・」と言う。
「いいのよ。あ、おはよう。着替えたら町に行きましょ。今日から記憶を取り戻す手伝いをするわ」
「本当ですか? では、お言葉に甘えて」
「昨日着てた服は水魔法と炎魔法で洗濯&乾燥したから安心して」
ちなみに無理に脱がせました。
別に男の全裸なんかお父様やアスモたちで見てるから今更、恥ずかしくもなんともないわ。
「・・・・僕の初めてが」
「ちょ、ちょっと! 勘違いされるような言い方はやめなさい! 変に意識しちゃったじゃない!」
大体、裸を見られたくらいでぎゃーぎゃー騒ぐなっての。
落ち込むレイを無理やり着替えさせ、家を出ることにした。
アタシが住んでいる町はメルヘンな風景で有名だ。
名前も懐かしの町メル。というくらいなのだから。
「綺麗な町ですね」
レイは感嘆するかのように微笑んだ。
自分の町を褒められてちょっと嬉しくなる。
「そうでしょ? アタシもここが大好きなの」
「僕も好きです。なんだか懐かしい気持ちになります」
「本当? もしかしたらここにあんたの記憶の手掛かりがあるのかも知れないわね」
「そうですね。見つかるといいんですけど」
「えぇ、アタシも応援するわ」
レイが物悲しげに言うので安心されるためにニッコリ笑って見せた。
彼も感謝するように微笑み返す。
・・・・なんだか、周囲の人たちから生暖かい目で見られてるんだけど。
「あれ、ルミアちゃんじゃない?」「お隣には優しそうな殿方ですわ」「ついにルミアちゃんにも春が!」「や、やめてくれ! 俺のルミア様が!」「ぬぉぉ! 許さん!」
などなど、町の人たちが囁いている。
「・・・(キッ)」
と睨むと周囲の人たちはそそくさとどこかへ行った。
「どうしたんですか、ルミアさん?」
「いいえ、なんでもないの。えぇ、なんでもないのよ」
ったく、アタシが結婚できないみたいな言い方して・・・。
そうよ! ラウス以外の男になんて目がないから結婚できないわよ!
ふんだ。いいのよ。別に・・・結婚なんて・・・。アレ? なにこれ。涙?
「ル、ルミアさん?」
「気にしないで。・・・ふふふ、絶対に見つけ出してやるわよ。ラウス・・・」
「ルミアさんが怖いです」
今日はちょっとダークなアタシであった。
最後まで読んで下ってありがとうございます。
次の更新は水曜日です。