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コント原稿 セイケン

作者: 羽田恭
掲載日:2026/06/25

「あれ? ここどこだ? 足を滑ららせて階段から落っこちたと思ったら」

「来ましたね! 勇者よ!」

「え、俺勇者? あ、もしかして異世界転移で勇者として活躍できるってこと?」

「さようでございます。私は神です。私の世界で活躍してほしいのです。それではセイケンをあなたにお渡しいたします」

「よっしゃ! さっそく聖剣をゲットだ!」

「まず、目を閉じてください」

「ああ、どんな剣なのかな」

「手をお伸ばし下さい」

「魔法が掛かっていたりするのかな」

「手のひらを上に」

「凄い切れ味だったりとか」

「小指から薬指、中指、人差し指から握って下さい」

「楽しみだなぁ」

「親指は人差し指と中指にかけ硬く握りしめて下さい」

「おお、思ったより軽いぞ!」

「半身でしっかりと腰を引いて、勢いよく突き出すのです!」

「エイ! エイ! エイ!!」

「これがセイケンです! さあ、お行きなさい!」

「って、正拳じゃねーかぁぁぁ!!」

「正しい拳ですよ! これを超える武器があるというんですか!」

「素手じゃねーか! 活躍できるか!」

「空手ですよ!!」

「空手だけどさ! 格闘技経験ないから、文字通りの空っぽの手だよ! 何もできねーよ!」

「かの有名な森の賢者が作り上げし、立派な武器なのですよ!」

「森の賢者? 本当かよ」

「はい、オラ・ウー譚という高名なる賢者がですね」

「オラウータンじゃねーか!」

「オラウータンのロープの握り方がこの正拳の握り方と同じなのですよ!」

「知らねーよ!」

「柔道の袖の握り方も一緒です!」

「だからどうした!」

「オラウータンの進化と空手家と柔道家の研究がまさかの一致! ならば正拳を超える武器はない言って過言では」

「過言だよ!」

「正論では」

「違うよ!」

「正気では」

「本音言ったな! オイ」

「参考文献 北の動物園できいた12のお話 旭山動物園物語 角川ソフィア文庫ですよ!」

「メタいな!」


「ちゃんとした武器をくれよ! 活躍してほしいんならさ!」

「仕方ありません。ABCから始める武器をお渡しいたします」

「ABCか。まあ基礎から武器の使い方を学ぶのが正しいか。素手よりマシだし」

「AすなわちAtomic weapons 核兵器 BすなわちBiological weapons 生物兵器 CすなわちChemical weapons 化学兵器。

さあ、これで世界を殲滅するのです!」

「極端すぎるわ!」

「さあ、行くのです!」

「行けるか! もういいよ!!」



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