コント原稿 セイケン
「あれ? ここどこだ? 足を滑ららせて階段から落っこちたと思ったら」
「来ましたね! 勇者よ!」
「え、俺勇者? あ、もしかして異世界転移で勇者として活躍できるってこと?」
「さようでございます。私は神です。私の世界で活躍してほしいのです。それではセイケンをあなたにお渡しいたします」
「よっしゃ! さっそく聖剣をゲットだ!」
「まず、目を閉じてください」
「ああ、どんな剣なのかな」
「手をお伸ばし下さい」
「魔法が掛かっていたりするのかな」
「手のひらを上に」
「凄い切れ味だったりとか」
「小指から薬指、中指、人差し指から握って下さい」
「楽しみだなぁ」
「親指は人差し指と中指にかけ硬く握りしめて下さい」
「おお、思ったより軽いぞ!」
「半身でしっかりと腰を引いて、勢いよく突き出すのです!」
「エイ! エイ! エイ!!」
「これがセイケンです! さあ、お行きなさい!」
「って、正拳じゃねーかぁぁぁ!!」
「正しい拳ですよ! これを超える武器があるというんですか!」
「素手じゃねーか! 活躍できるか!」
「空手ですよ!!」
「空手だけどさ! 格闘技経験ないから、文字通りの空っぽの手だよ! 何もできねーよ!」
「かの有名な森の賢者が作り上げし、立派な武器なのですよ!」
「森の賢者? 本当かよ」
「はい、オラ・ウー譚という高名なる賢者がですね」
「オラウータンじゃねーか!」
「オラウータンのロープの握り方がこの正拳の握り方と同じなのですよ!」
「知らねーよ!」
「柔道の袖の握り方も一緒です!」
「だからどうした!」
「オラウータンの進化と空手家と柔道家の研究がまさかの一致! ならば正拳を超える武器はない言って過言では」
「過言だよ!」
「正論では」
「違うよ!」
「正気では」
「本音言ったな! オイ」
「参考文献 北の動物園できいた12のお話 旭山動物園物語 角川ソフィア文庫ですよ!」
「メタいな!」
「ちゃんとした武器をくれよ! 活躍してほしいんならさ!」
「仕方ありません。ABCから始める武器をお渡しいたします」
「ABCか。まあ基礎から武器の使い方を学ぶのが正しいか。素手よりマシだし」
「AすなわちAtomic weapons 核兵器 BすなわちBiological weapons 生物兵器 CすなわちChemical weapons 化学兵器。
さあ、これで世界を殲滅するのです!」
「極端すぎるわ!」
「さあ、行くのです!」
「行けるか! もういいよ!!」




