表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

ネオンと木枯らしと恋の温度

作者: 水谷れい

冬、街には木枯らしが吹いていた。

彼は冷たい男だった。名前は「クール・ガイ」。誰もがそう呼んだ。スーツの襟を立て、ポケットに手を突っ込み、感情を見せない。ビルのプリズムに映る彼の姿は、まるで氷の彫刻のようだった。

そんな彼の前に、彼女が現れた。

「ホット・ホット・レディ」と呼ばれる彼女は、真っ赤なコートに身を包み、街のネオンを背負って立っていた。彼女の瞳は、たそがれの空よりも熱く、オリオン座よりもきまぐれだった。

「あなた、冷たい男ね」と彼女は言った。

「そうかもな」と彼は答えた。

「じゃあ、あたしの愛で暖めてあげる」

彼は笑わなかった。でも、ほんの少しだけ、ポケットの中の手が震えた。

夜が来る。彼女は言う。

「ほっとかないでね。だってあたしは、ホット・ホット・レディよ」

彼は答えない。けれど、彼女の言葉は、彼の心の隙間に入り込んで、じわじわと熱を伝えていた。

二人は歩き出す。ネオンの下、木枯らしの中。彼女は彼の腕に手を添えた。

「ほんの少し、恋の炎にやかれてみない?」

彼は立ち止まり、空を見上げた。オリオンが瞬いていた。

「……少しだけなら」

夜が明ける。街はまだ眠っている。

彼女は微笑む。「あたしのお熱に、あたってみない?」

彼は、初めて笑った。

そして、街の冷たい空気の中で、ほんの少しだけ、春の匂いがした。


連載版もあります。

詩小説ショートショート集


わたしとAI君とのコラボレーションです。

このショートショートのもとになった詩は、連載版「われは詩人 でなければ死人 ーAIと詩を語るー」で読めます。

ショートショートタイトル「ネオンと木枯らしと恋の温度」の原詩は「Cool Guy Hot Lady」です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ