僕がいるからね
読んでいただきありがとうございます!
筆者のぱるです。現在のところ投稿は不定期ですが楽しんで読んでいただけると嬉しいです(*^^*)
母親の遺影
暗い表情の大人たち
鼻に残る独特なお香の香り
ああ、またこの夢。もう何回目かな
何度も繰り返し見るこの夢は、私が小学生3年生の頃の記憶そのものだ。もう何年も前に母親は去って、これは夢だとわかっているのに
もう嫌だ。こんな悲しい記憶。
「....はるちゃん、僕がいるからね」
幼い男の子は、まだ小さな手で私の手をきゅっと握った。当時の私にとってこの言葉がどれほど心強かった事か、周りにいた大人は知る由もない。
「お母さん…」
最後に母の顔を見ようと、複雑な気持ちで近寄る…が
....ピピピッ!ピピピッ!
毎朝変わらない目覚まし時計の音で、現実に引き戻される
「…起きなきゃ」
アラームを止めると同時に通知を確認し、顔を洗って身支度をする。
「朝ごはん…はだめだ、時間ない!」
余裕を持ってベッドを出たつもりが、結局慌ただしく家を出る毎日だ。
「いってきます!」
誰もいない玄関に元気に声をかける。
鍵を閉めたことを確認して職場へと向かった。