喜びよ さようなら
喜びよ さようなら
アイスコーヒーの氷をつつく
私は人生の絶望を感じ、イライラする気持ちをグラスの中の氷に当てつけていた。
カラン、カラン、
音を立てて弾ける氷たちは、甲高い鳴き声を鳴らし、真昼の午後の静寂を壊した。
スプラッシュ!
飛び跳ねる水滴と、砕け散る氷たちは、格好のストレス解消。
白いカーテンが潮風に揺れた。
陽の光を遮っては照らし、遮っては照らし、何度も繰り返す往復が、私の髪を乱暴にかき乱す。
イライラするーー
ゆれるたびに現れる太陽に、
「今の私はドラキュラだよ」と言ったら、
「日陰に移動したらいいのに」と答えた。「ここは、日陰と変わらないよ」と言い返すと、
「十字架を持ってくるぞ!」と、太陽は怒り出した。
「何のこっちゃ」
遠くの海を見つめる。
白い波に反射する光が、生き物のように蠢いている。
キラキラキラ、ぐるぐるぐる
輝く渦巻き、
波の中は彼らの縄張りだ。
誰にも気ずかれない、誰にも見えない、私だけが知っている生き物。
波の中を縦横無尽に動き回る怪獣グルモン。
しばらく眺めていると、グルモンは遠くへ去って行った。
「そっちへ行ってはいけないよ」
「水平線の向こうは滝だよ、冒険者たちが何度も挑戦し命を落としたよ」私は伝えた。
それでも彼らは、海の向こうの未知の世界を求め、多感に邁進する。
前へ進むというのは大変だ。
疲れる…
ウソ、
この世界は、ウソばっかり。
世界は虚像でできている。常識なんてウソばかり、信じてはいけないよ。
私の言うことも、ウソばっかり…
あ〜あ、
巨大な台風でも来て、みんな吹き飛ばしてくれないかな〜
何も無くなった世界は、何も考えなくてもいい、何も心配しなくてもいい、
何もない世界は、
美しい……
私が、このカフェテラスに来たのは一週間前だ。
父の仕事の都合となっているが、高校生活最後の夏休みに、娘が羽目を外して大暴れしないかと心配する大人たちが、私を束縛の籠に入れるため、遠くの田舎に預けたのだ。
戦況は圧倒的不利だ。私は、泣く泣く撤退せざるを得なかった。レジスタンスは塹壕を引き上げ、再び交える戦いのために、戦力を蓄える。
持久戦だ、食糧も不足している。
抵抗は続く、
戦いは小康状態へと陥った…
腹が立っている。
頭からは湯気がプップー、全身の血液はグツグツ、と煮えくりかえった。
娘を地獄へ落とす気か?
嫌だ、嫌だ、考えるのも嫌だ。
父は、地獄の閻魔大王だ。
娘を、針の山+血の池地獄へ送り込もうとしている。痛いだろうな、熱いだろうな、
人形のように父の言うことを聞いていたら、私は地獄の赤鬼と結婚させられてしまうかもしれない。いや、青鬼?
怒髪天を突くーーー
あ〜あ、下品な格好をして牛丼でもかっ喰らって、道の真ん中で昼寝でもしたい。
乙女の夢は、朧げな幻に終わった。
せめての反抗に、ビターなアイスコーヒーを飲む。
美味しくはない。
苦い、
ああ、無常、
ああ、無常、
海辺の生活は無常だ。
ボーっと波を見つめる…
つづき、
このレールは誰が引いたのだろう。
父に決まっている。今まで、父の引いたレールの上を歩いていた。
しかし、気がついた。この道は間違っている。このまま前進すると、滝から落ちてしまう。
線路の向こうは滝だ。
真っ逆さまに落ちてしまう、奈落の底に落ちてしまう。
一度落ちたら這い上がれないぞ、地獄へ真っ逆さまだ。
地獄の炎に焼かれるのは嫌だ〜〜〜
終わり。
「私の妄想日記より」
友達ができた、海斗だ。
日焼けした肌に白い歯の、よく見る海辺の男の子だ。少女漫画かっ!て、
海斗は、私が聞いていたイヤホンを、いきなり外した男子だ。
初対面の女子のイヤホンを外すなんて、都会では犯罪だぞ、
警告、警告、デインジャー!
新たな戦いが始まった。帝国軍ではない第三の敵。戦況は五分五分だ。
「今日の海は、いい音するよ」
変化球を食らわしたな、
「ほら、聞いてごらん、自然の音楽だよ」
キラリ、屈託のない笑顔。
私は騙されないぞ、
危ない、危ない。
古典的策略には引っかからない。見向きせず。
オツムのおかしな男子など興味もない。海など、怪獣の棲家だぞ、食べられてしまうぞ。
まったく〜
海斗の澄んだ瞳に白波が映る。うつろな表情で海を見つめている。
ストライクバッターアウト!
見逃し三振、ゲームセット。
私は、真面目に海を見つめた事がなかった。海の色さえ憶えていない。
半眼薄目に海を見つめる。
スカイブルー、マリンブルー、ターコイズブルー……
青にも、色々、あるけれど♫
青、蒼、葵、碧、藍、♫
青の行進だ〜♫
青ずくしの絵画は〜ラッセンかっ!て、
「耳を澄ましてごらん」海斗がささやく。
風の音を聞く。
ラララ〜
風が歌っている。海辺のオペラ座が開演した。
私も衣装を着て劇に加わる。
波、風、昆布、ヒトデ、大自然の登場人物たちが演劇を始めた。
風と私がオペラを歌う。
ラララ〜
ドガの絵画に溶け込むように、私はオペラを歌う。
気持ちいい、
私は、「永遠に、この時間が続きますように」と神様に祈った。
雲がゆっくりと動く……
妄想が終わった。叔母が遠くに迎えに来ていた。
海斗が、手を振り去って行く。
今日も一日が終わる。
叔母は、波の音を目覚ましにして起床し、波の音を子守唄にして就寝する女だ。
ここの人たちは、皆そうした生活をしているらしい。すべてが海中心だと。
朝御飯もそうだ。魚の干物に海苔、ワカメの味噌汁付き。カフェらしくないメニュー。
そうそう、叔母は海辺でカフェテラスを経営している。白い壁と白木の外観の店は、サーファー好みのよくある喫茶店だ。
叔母は、そんな人たちと世間話をする。たわいもない会話。それでも叔母は、うれしそうに彼らと会話する。本当に楽しそうだ。本心かもしれない。
私の父とはえらい違いだ。本当に兄妹か?
そんな叔母の家へ預けられた私は、夜遅くまで起きて、昼近くまで寝ている。
ボーッとしたまま窓辺の特等席に座り、アイスコーヒーを飲む。
半開きの眼でのんびりと海を見つめ、毎日、妄想の世界での生活を楽しむ。
そんなことを繰り返す。ぐるぐると繰り返す。
ぐるぐるぐるぐる〜〜〜
一夏だけのサマーバカンス(仮)。
妄想の世界に生きている私は、監獄から脱走した囚人のように、自由を満喫している。
いつの間にかだ!
今日も目を閉じて、「ここは私の世界」と、心の中で想像する。楽しかった冒険活劇が頭の中の映写機に映し出される。暗闇の中、映写される冒険の日々、楽しかった日々、お宝少々。
そんな無理をして、
過去の思い出を、黄昏とほのかな夢として演出する私の妄想は、いつか叶う神様との約束を祈り続ける。
アーメン、
今日も、押し潰れそうな気持ちをかろうじて保ち、長い一日が終わった。
END
今日の私の衣装は、大きなサマーハットに白いワンピースだ。そして、黒いサングラス。どこからどう見ても暇を持て余している淑女にしか見えない。
世界の終わりを傍観している人間とは思わないだろう。
もうすぐやって来る世界の終わりは、どれだけ楽しいのだろう、どれだけ面白いのだろう。私の妄想は、遠く遠く宇宙の彼方まで飛んでいく。
再び、窓辺にふける。
マリンブルーの海が見えた。
「ダークブラウンには変わらないかな」ポツリ。
頭の中でアイスコーヒー色の海を思い浮かべた。
程よく飲み終えたアイスコーヒーは、何の味もなく、何の言葉も掛けてくれなかった。
つづく。
ふらりと海岸散策に出かけてみた。
白く柔らかな砂を蹴飛ばし、穏やかな白波に当ててみる。砂浜には私の足跡しかない。後ろに続く足跡が、海辺に幾何学的な模様を作り出した。数学の定義。
この行動でさえも、自然の法則に則った計算でできている。この瞬間も、デジタルの数字に置き換わり、冷たい機械の中に収まるであろう。
私はその一部として生き続けていく。
サーバーの中に刻まれる永遠の夏、永遠に続く夏休み、なんて楽しいんだ。
時間よ止まれ1
また、スマホが鳴る…
むしゃくしゃする。
昨日、父からのメールがあったからだ。
私の進路への連絡だ。私の希望など微塵もない。全て父が決めている。
今までの人生、小学校、中学校、高校、全て父が決めた進路を歩んでいる。
せめて、高校生活最後の夏休みを思い出として作り出そうとしていたが、それも潰された。
繰り返す恨み節が、
繰り返す〜繰り返す〜このポリリズム〜♫
まだ、新しい風は吹かない。
父からのメールが来た。
「返事をキチンとよこせ」
此処へ来た時からの日課だ。最近、サボり気味だから今日は送ろう。
「過去の思い出は、永遠の絶望と宿命を作り出し、私のほのかな夢さえも押し潰そうとしている。白いカーテンが遮っては与え、遮っては与え、繰り返す反復運動に、晩夏の思い出なんかどうでもよくなった私が、世界の終わりを傍観し、ここに佇む。アーメン」送信。
何だこりゃ?
私は、何を書いているのだろう。
まあ、いいかぁ。
時間よ止まれ2
妄想の中、一人、ニヤニヤしていると、向こうから海斗がやって来た。
「よっ、翔子」
「何だよ、海斗」
「翔子って呼ばないで、私はセシル!」
「セシルだって?翔子だろ、おばさんが言ってたぞ」
「ここでは、セシルなの!」
「変な、女」
「私は、フランス人で名前はセシル!」
あきれ顔の海斗。
「まぁ、いいや、セシル」
「何〜」嬉しそうに振り返る私。
「セシルは、何でピアノを辞めたの?」
「うっ、」
叔母はお喋りだ。個人情報もあったもんじゃない。私のIDやパスワードさえも公開しかねない。お喋りババアは罰金100万円だ。
「何だって?お喋り海斗」
「だから、何でピアノを辞めたんだよ」
「手が疲れたから」
ポカン…
「そんな理由で辞めたのかよ」
「そうよ、」
「変な女、」
「変でいいわよ」
「何でそんな事を聞くのよ」
「ピアノを教えてもらおうと思ってさ」
「素人が練習したって、上手くならないわよ」
「ピアノが弾けたらカッコイイかな〜と思ってさ」
不純な動機だ(汗)
どれだけ私がピアノに時間を費やし、どれだけ人生を捧げたか、この男は解っていない。
指の痛み、血の出るような練習は体育会系運動部以上だ。
私のピアノは戦いの道具だ。
砲弾が飛び交う戦場は、死ぬか生きるかの前線だ。生き残るためには、全神経を集中し引き金を引く。バキューン、
負傷者は前線から去れ、それが諚だ!
私の涙は、感傷を洗い流し、きれいさっぱり無になった。
終ーー
「また、妄想してたろ」海斗が顔を近づけた。
「シャットラップ」
「私の世界に入り込まないで!私だけの世界なんだから」
「おかしな女」
「セクハラ、女性蔑視」
「お〜怖っ」
時間よ止まれ3
たまにに聞く音楽は、ポップスだ。
別に何でもいい。父に反抗して聞いているだけだ。
スマホに残していたあの曲は、もう聞かない。絶対聞かない。決めた事だ。
静かに海辺でポップスを聞く。
それが私の存在意義として、小さな抵抗として、生きる証だ。
私は、その時だけ、自由な翼を持った鳥になる。本当の自分に戻る時間。一瞬だけのエンジェルタイム…
私のたった一つの楽しみだ。
スマホが鳴る。
ああ、腹が立つ、
よくも邪魔をしてくれたな!私は、再びムッとしてスマホを砂に投げた。
ヒュ〜ン、ポイ
ハハハハハ、
誰だ?
「何だ、海斗か」
「さっきから遠くで見ていたけど、おかしな動きをしたとおもったら、挙げ句の果てにスマホを砂浜に投げつけた」
「本当に、変な女だなセシル」
「うるさい、」
「俺以外は、怖くて誰も近寄らないぞ」
「うるさい!今日からお前を、お喋りトンマと呼ぶぞ」
「お喋りトンマ?」
「そうだ、お喋りでトンマだからピッタリなネーミングだろう」
「嫌だな〜」
「ほーっ、お喋りトンマでも嫌がのるのか」
「そりゃそうだ。その名前は恥ずかしいよ」
「じゃあ、女王様の言うことを聞け」
「はは〜女王様」
「良きにはからえ」威張る。
「何だそりゃ?」
「いいの、いいの、妄想の国の王女様だから」
「ついていけないな〜」
波を見つめる二人……
時間よ止まれ4
ピアノは、辞めたはず…
転校してから、一切、ピアノは辞めた。
すべてを捨てて、別の人間としてあの町へやって来た。
でも別の人間にはなれなかった。
私は、まだ、過去を引きずって生きている。
別の顔をした私、別の性格の私、表面は別人でも私は別人になれない。
この学校も、嫌いだ。
学校
「翔子は、休みの日何して遊んでいるの?」
「う〜んと、ショッピングかな」
「そう、そんなに服が好きなんだ」
「うん、好き」
「そう、」
会話が続かない。
私のウソがバレた?
あ〜嫌だ、面倒くさい。
妄想の世界に入る。
私は勇者、伝説の勇者。モンスターハンターセシル。
「冒険が俺をよんでるぜ」
宝剣エクスキャリバーで攻撃だ!
しかし、海斗の屈託のない笑顔には不思議と怒りは起きない。
彼の言うことはもっとだ。この景色で、この風景で、機械音を聞いていることは、もったいないかもしれない。一瞬しかない息づいてる自然の音を聞かないことは、地球に対して失礼だ。
いつしか私は、彼と一緒に自然の音楽に聞き入っていた。
ザザザー、ヒュー、バーン、カー
波の落ちる音が主旋律になり、引く音が和音になる。それらが混ざり合い、一つの曲になる。カモメの声もアクセント。
「ほら、耳を澄ましてごらん。雲の流れる音も聞こえるよ」
私は、言われるまま雲の音を聞いてみた。
確かに聞こえる。低いコントラバスの音が聞こえる。
雲と海と波の音たちが一つの曲に聞こえた。
風の音が軽やかなメロディーになり太陽の光さえリズムになった。
音楽、雄大な大自然の音たちは、オーケストラになって私の全身を感動させる。
「震えるね、」海斗は言った。
「うん」
夕暮れ
私は、海斗に別れを告げ、叔母の家へと帰った。
「また、聞こう」
「うん」
小さな約束をした。
私の氷の心は、僅かに溶け出した。ほのかなともしびを残して…
時間よ止まれ5
雨が続いた。
台風らしい、
「海には近づかないように」叔母からの命令がでた。
地元の人でも危険な天気だ。
悶々とした気持ちで私は、窓の外を眺める。
どうしているかな、海斗。
いやいや、どうでもいい。
ただのボーイフレンドじゃないか。
気にしない、気にしない、
私は、ボーっとして天井を眺めた。
風の音が音楽に聞こえる。荒れ狂った雨音もマーラーの曲のように聞こえた。
私は目を瞑る。
次の日、曇り
急いで、海辺に向かう。
「まだ、波が荒いから近づかないように」叔母が言付ける。
海斗がいた、
海を見つめている。
「おはよう」
「こんにちは」
お互い、ちょっと照れくさい挨拶だ。
二人で波を眺める。
黒く濁った色の波が打ちひしがれ、黒い雲と重なり、人間たちに罰を与える神の怒りに見えた。恐ろしい光景、世界の終わりだ!
妄想の世界で見た幾度も繰り返す地獄の風景を思い出す。
「今日の海は荒れてるね」
「うん」
「でも、俺はそんな海も好きさ」
「人を和ませる海も、人を澱ませる海も、すべてが自然の摂理さ」
詩人か?
しかし、私は静かにうなづいた。
じっと波を見つめる。
「セシル、夏休みが終わったら、どうするの?」
「フランスに帰るの」ふざけてみた。
「そう、」
「俺は、地元の就職活動かな」
「そう、」
会話が続かない。
この間のように、奏で合う和音のような会話ができない。
お互い、幾つかの言葉だけで時間が過ぎた。
「じゃあ、また」
「また、」
私たちは別れた。
次の日、天気は快晴。
元気よく、海へと飛び出していく。
海斗がいた。
再び、自然の音楽の話をした。
私の音楽の知識が覆されるような、別次元の音楽感覚に、私はますます魅了された。
彼との会話の一つ一つも、景色や風景と混ざり合い、軽快な音楽のようなリズムを生み出す。会話がはずむ。歌を歌っているような不思議な感覚で会話をする。
波はオーケストラ、指揮者は太陽、私と海斗はソプラノとテノール、この大舞台で音楽会を開く。
開放感、
そんな日々を私たちは繰り返した。
海斗と私は友達以上の関係なった。
二人とも離れられない仲になった。
他人には話せない事も話をした。
私は父と一緒に渡米して留学するか、彼は就職するか体育大学を受験するかどうか迷っていた。
しかし、私が父と母との離婚によってピアノを辞めた事は言えなかった。
それは口実かもしれない。
自分のピアノに限界を感じ、辞めるきっかけが欲しかったただけかもしれない。
この夏休みが、ピアノや音楽のことを忘れるためのバカンスだったことも思い出した。
いつまでも、ズルズルと過去の自分を引きずり、生まれ変われない卑怯な私もそこにいた。
彼には、言えない。
見つめる波は、時を忘れたように何度も、何度も、同じ事を繰り返す。
私も同じ…
時間よ止まれ5
夏休み最後の日、
「荷物をまとめておきなさいよ」叔母の声が響く。
海斗に別れを告げなければ、海辺に行く。
海斗がいた。
二人とも、別れを告げることは解っている。
波の音に耳を傾け、じっと海を見つめる二人。
雲が流れる。
「じゃ、また」
「また」
私は手を振り、彼と別れた。
彼も手を振る。大きく振る。
帰郷の車の中、
私は、ビターなアイスコーヒーを飲む。
程よく飲み終えたアイスコーヒーは、何の味もなく、何の言葉も掛けてくれなかった。
カラン、カラン、静寂を壊す。
海辺の生活は無常だ。
ボーっと景色を見つめる…
絶望の数を数え終え、私の夏休みは終わった。
親愛なるフランソワーズ・サガン様、
あなたは、「悲しみよ こんにちは」と言うけれど、私にとって今の気持ちは、
「喜びよ さようなら」だ…