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今回は恋愛要素多めです。

そして、別視点が途中で入ります。


「怖かったかな。ごめんね。

僕はリツキ。ここを狩場にしてるんだけど、見ない顔だったから。」

 申し訳無さそうにそう言うリツキ(イケメン)さん。


「あ、あぁ、いえ。

ただ、強すぎてびっくりしてるだけです。」

 だって、強そうな蜂さんを串刺しだよ? 串刺し。


「いや、そこまで強くはないと思いますよ。だってハーフですし。」

 え、ハーフ?

 ギブフリーではハーフは雑魚、という認識の人が多いのだが…。


 私と同じ? ………嘘でしょ。

 思わず、えっ…、と声を出してしまう。


「とりあえず、ここじゃ何なので、街に戻りましょうか。」

「え、あ、はい。」

 未だに混乱してはいるが、ここだと常に周りを警戒していないといけないので、リツキさんにうなずいた。


 ***


―――ガヤガヤ、ガヤガヤ…


 おぅ……誠に活気に溢れた街だこと。

 私は愛用のパーカーのフードのふちをぎゅっ、と掴む。


「あ、あそこに美味しい屋台があるから買ってくるね。

ここでちょっと待っててもらえる?」

「あっ、は、はい。」

 私はぼうっとしていたのに気づき、慌てて返事をする。


 ここから動かないでね、と言ってリツキさんは歩いて行ってしまった。

 オゥ、ぼっち……。

 悲し。

 流石に暇なので、キョロキョロとあたりを見回してなにか面白いものがないか探す。

「あっ。」


―――その数分後。


「ひっ……。」

 私は只今リツキさんに鬼の形相で怒られています。

 私は露店巡りを開始し、あっという間に迷子に。


 でもまさか、私が伝説の「ナンパ」なるものをされるとは夢にも思わなかったよね。

 んで、リツキさんが見つけ出してくれて、チャラ男さんをおっぱらってくれた。…その時にリツキさんより背が高くてゴツいチャラ男さんを軽々と投げ飛ばしてて、めちゃくちゃビックリしたけど。


「なんでどっか行ってるのかな?

俺、待っててって言ったよね?」

「ハイ、スイマセン。」

 リツキさんの有無を言わさぬその口調にカタコトで返事をする。

 え、なんか一人称変わってない?

 ……まぁいいか。


 パンパン、と服についたホコリを払った後、「いこっか?」と、威圧的に微笑むリツキさん。

「…はぃぃ……。」

 今のリツキさん、こ、こわいようううぅぅぅ……。

 私は一歩下がってリツキさんについていく。


「ぅえ?」

 突然、リツキさんにぐいっと腕を引き寄せられ、ぐっと顔が近づく。

 私は間抜けな声を出しながらぽすん、とリツキさんの胸の中に収まる。


―――ガラララ……

  どうやら、私の横を通っていった馬車から守ってくれたみたいだった。


「大丈夫?

……ぇ。」

 私の顔を確認したリツキさんが固まる。


―――ぷしゅー……。


 私の顔は、真っ赤になっているだろう。

 今も、顔に血が集まっていくのがわかる。


 いや、もう、この体勢が恥ずかしいし、割と至近距離に迫っているリツキさんの顔がイケメンすぎて、しんでしまいますって!

 あなたほんとにイケメンなんですから! 自覚して!


「もうやめてくださぃ……。」

 私は目を回して気絶するのだった。


 ***


〈リツキ視点〉


 俺の名前は夜闇(よるやみ) 律輝(りつき)

 ギブフリーでは、リツキっていう名前(PN)で遊んでいる。


 そんな俺がいつものようにギブフリーで遊んでいると、誰かが魔物―――アメニービーンズ(×3)に襲われていた。

 フードに隠れて顔は見えなかったが、女の子だったようで、ひっ、と短く、高い声で悲鳴を上げていた。


 助太刀するか―――


「…………ぇ。」

 次の瞬間、女の子の手には緋色の刀が握られており、女の子はその刀を巧みに扱い、アメニービーンズを切り裂いていく。


 助太刀は、必要なかったみたいだな。というか、俺より強いんじゃないか?

 そう思いながらくるりと背を向け、助太刀のために出しかけていた魔法を解除する。


「あ、あれ?」

 ん?

 くるりと女の子の方を振り返ると、女の子によって切り裂かれたはずの、アメニービーンズが再びブンブンと飛び始めていた。


 は? え? なんで?

 慌てて俺は【鑑定】をする。

____________________

  アメニービーンズ Lv.5


基本ステータス

  HP…10/10

  MP…0/0

  状態異常…ゾンビ

____________________


 あー、ゾンビの状態異常のせいか。でも、なんでゾンビになったんだ?

 ………もしかして、この女の子のせい、とか。


 不死者系――というか、種族がゾンビか吸血鬼だったらあり得るけども。

 それはないか。だって、パーカーのフードが猫の耳の形に膨らんでるし。


「っ…」

 女の子はまたすぐにアメニービーンズを真っ二つにする。


 そして、アメニービーンズが起き上がってこないところを見て、一つ大きな息をつくと、こちらを向く。

「あのぅ………。」

 この子、どうやら、俺の存在に気づいているみたいである。


 【隠密】使ってるはずなんだけどなー。

 とりあえず、女の子の後ろから近づいてきているナイトビーンズを氷の魔法で串刺しにしながら女の子の方に近寄っていく。


「っ!」

 びくっ、と反応する女の子に、

「怖かったかな。ごめんね。

僕はリツキ。ここを狩場にしてるんだけど、見ない顔だったから。」

 と声をかける。


「あ、あぁ、いえ。

ただ、強すぎてびっくりしてるだけです。」

 いやいや。


「そこまで強くはないと思いますよ。だってハーフですし。」

「えっ…。」

 ぽかん、と驚いているその子に、


「とりあえず、ここじゃ何なので、街に戻りましょうか。」

「え、あ、はい。」

 未だに混乱してはいるが、ここだと常に周りを警戒していないといけないので、リツキさんにうなずいた。


 ***


 街についた後、少々お腹も減ってきていたので、一言残して知り合いの屋台へと向かう。


―――その数分後。


 女の子は、迷子になっている上に、ナンパまでされていた。

「なんでどっか行ってるのかな?

俺、待っててって言ったよね?」

「ハイ、スイマセン。」


 パンパン、と服についたホコリを払った後、「いこっか?」と、女の子に話しかける。

「…はぃぃ……。」

 大人しくついてくるのを確認して、あるき出す。


 後ろから何かが近づいてくる音を聞き、振り返る。

「ぅえ?」

 女の子の腕をぐいっと引き寄せ、近づいてきていた馬車から守る。


―――ガラララ……


 危なかったなぁ。

「大丈夫?

……ぇ。」


―――ぷしゅー……。


「もうやめてくださぃ……。」

 女の子は顔を真っ赤にして気絶するのだった。


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