71
投稿があまりにも遅れ、誠に申し訳ございません…‼
順次再開していこうと思うので、宜しくお願い致します…!
「いやぁ……派手に暴れたね、シルフィ…」
館に入ってしばらくして、リツキさんがそう漏らす。
ゔゔ、恥ずかしいばかりだ。穴があったら入りたい…。
イベントエリアといえども、あんなに派手に魔法を使ってしまえば、周りが凄惨なほどに破壊されるのは目に見えているというのに…。
矢張り、久しぶりにアスランと戦うということで、思わず気分が高まってしまったようだ。
「すみません…」
「いや! 謝ることじゃないよ?
それくらい強かったってことだし…」
まだ実践で試していない未知の魔法を開放するくらいには切羽詰まってはいた。
だが、後々考えてみると…もう少し戦い方を変えれば被害を抑えられたのではないかと思う。今なら、具体的な案もいくつか思いつく。
後々どうなるかという思考も働かせる事ができないくらい高ぶっていたようで、更に恥ずかしくなる。
「ゔゔ…」
今度からは気をつけよう、と決意し、思考を入れ替える。
私とリツキさんは今、一階の部屋を順に回っている最中だ。
「それにしても、地図の内容が変わったのには驚きましたね。
天の欠片を確認しようとして間違って地図を取り出さなきゃ、気が付きませんでしたよ。」
実は、館に入ったことで何かの条件を達成したらしく、地図の内容が館の内部地図に変化していた。
「そうだね…。
このゲームってそういうところが意地悪いんだよなぁ…。どこにでも罠があるっていうか…」
この館の構造は、私とアスランが戦っていた部分が中央階段のあるエントランスで、そこから一階、二階それぞれ細長い廊下が一本ずつ通っている。
そして、その廊下を挟むようにして両側に部屋がいくつもあり、突き当りの部屋が、一階は「令嬢の部屋」、二階は「当主の執務室」と地図には書かれてあった。
「とりあえず、今こうして端から一つずつ部屋を見ているわけだけど……特に怪しいものは見当たらないし、大体の部屋の構造が同じだよね。」
「そうですね〜…。ベッド一つにサイドの机、その上に花瓶に入れられ飾られた花…壁には本棚が二つ。」
そう言って、部屋の中に設置されている本棚の本のうち、一冊を引き抜き、内容をぱらぱらと確認する。
「……うん、白紙。書いてあったとしても、ミミズみたいなのたくった文字が見れるだけですし…」
一冊くらいは、読める本があっても良いんじゃないかな…。
最初の部屋に入って本棚を見つけた時の私の感動を返してほしい。
「花にも、その花瓶の模様も、全く変わらない。
サイドの机には引き出しが一つで、何も入っていない。……もしくは、入っていたけどもう前にきた人たちに取られちゃったのか…」
「ありえますよね……。」
これまで入った部屋の中でも、前に入った人がベッドを切り裂こうとでもしたのか、深い切れ込みが入ったベッドシーツや、本がすべて出されている本棚などがあった。
「なにかの手がかりかと思って期待したのに、たいていプレイヤーの仕業で…ちょっとムカつきます。」
必死にヒントを探したのに、プレイヤーの仕業と知って思わず台パンしちゃったからね。
「あはは……。まぁ俺たちが来たのは随分遅かったからねぇ……。」
「そうですよね。まぁ、二日目ですし…。」
ここに来る前に攻略サイトとか見たけど、結構ここは探索し尽くされてるっぽい気配したし…。仕方がないか。
「…ん?」
ぱらぱら、と本棚から次の本を一冊取り出してめくっているとき、とあるミニゲームを思い出した。
ギブフリーの運営と同じところが作ったゲームの一つ。違和感を探して謎を解いていく系のゲームで、難しすぎてクソゲーとの評価を頂いているゲームだ。
色々と仕掛けが施されていて、よく予想外の場所を壊すことでヒントが現れることも少なくなかったゲーム。
「予想外の場所…。」
「シルフィ?」
ぽつりと私がつぶやいたことに気がつき、手を止めてこちらに来るリツキさん。
違和感を探そうと五感が鋭敏になっていたのか、私はその違和感に気がついた。
「―――下…」
「え?」
私はそうつぶやくと、無意識に血を操り、ハンマーを生成する。
そして、これまでのプレイヤーに対する怒りもこもったひとふりを床へ向かって振り下ろす。
「え゙ッ!?」




