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腐血姫の最強譚 〜自称普通の少女は、VRMMOで無双する、かもしれない〜  作者: おまめあずき
3 世界歴史書(ワールドレコード)クエスト
69/74

67

長々とおまたせしまして申し訳ございません。

前回(65)の展開が気に食わなさすぎて変更いたしました。

話の流れは大方変わっていないと思いますが、細々とした部分が変わっていたりするため前話(65)から読んでいただけると幸いです。


――ピロンッ


 再びの、電子音。


____________________


 世界歴史書クエスト

 「亡き令嬢の鎮魂歌」が変質しました!


 世界が交わり、キーアイテムが出現しま

        す!


     残り 01:30:00

____________________


「…まっじで、どういうことだよ!」

 くそったれ、と悪態をつくアスラン。

 これが彼本来の口調であり、気性。

 荒っぽく、まさに獣のようなもの。それでいて、判断は冷静かつ適切。


「ねぇ、アスラン。

 君は知らないだろう。」

「……は。」

 急に話し始めた私に、アスランは困惑の声を漏らす。


 伸びに伸びた髪の毛も、鋭く伸びた犬歯も、この濃密な魔力も。

 全ては見せかけで、借り物で、私の実力ではない。


 それでも、あの時。

 私が見えた光景が嘘ではないとしたら。

 強化が発動した時、流れ込んだ記憶が、嘘ではないとしたら。


「この世がクソッタレだってこと。」

 そう吐き捨て、私は大鎌を持って接近する。


 レベルに差はない。いや…私のほうがむしろ上だろう。

 だが、それを持ってして余りあるほどの才能と、種族の違い。


 言い訳をするわけじゃないが、私は本来魔法特化の性能を持つ種族なのだ。

 だから、近接戦特化種族であろうアスランとは、同じレベルにあったとしても分が悪い。

 競り合いをすれば負けてしまうし、まずまず取得する種族スキルに近接戦闘で役に立つものが少ない。

 何故魔法特化にしていないかといえば……私の元々の戦闘スタイルが(これ)だったからだ。

 要するに、私ならできるだろうというクソみたいな奢りと油断である。


 大鎌と素手。

―――ギイィイィン…ッッ!

 先程まででは弾くどころか押してきたほどのアスランの力を抑え込める。

「強化やばぁ…っ!」


 これは秘術のようなものだったのではないかと思ってしまう。

 今使うものではなかったのではないかと。

 …というか、風景まで塗り替えてしまうほど強力な魔法なんて、今使うものではないだろうな、絶対的に。


「考え事ですかっ【チャージ】!」

「!」

 ()()ことのあるスキル。

 これ、スキル取得の画面にやつっっ―――!


「【障壁(ウォール)】!」

 私は馴染み深い魔法を張り、いつの間にか追い詰められていた壁を蹴る。

 アスランの上を取り、鎌を振り下ろす――前に気づかれた。

「気づかないとでも!」


 アスランが魔法が背後から迫っている。

――これもフェイクだね。

「思わないよ!」

 鎌を躊躇なくそのまま振り下ろし、変形させる。


 半分はそのまま鋭い刃で、半分は私の背後を守る盾となって。

 【血液操作】。

「あははっ!」

 それでも勢いはあるもので、アスランの方に体が揺れる。


 空中にいた私はアスランの方に倒れるようにして落ちる…なんてことはない。

「【変化】―――【飛翔】!」

 メキリと嫌な音を立てて背中に悪魔のような羽が生える。それを補助するようにして、【飛翔】を使う。

 今考えることでもないけれど、この羽の見た目どうにかできないものか。


――バサリ


「ずるくないです?」

「いや?」

 そんな事を言いながら壁を蹴って、柱を掴み、一瞬で空中の私のところまで到達するフィジカルお化けが何いってんだか。

「そういう種族でしょ、吸血鬼って。」

 私は腐血である事を明言することはない。

 だって不利になるし。


 あ…。

「っ!!」

 私はアスランが此方に来る一瞬で、インベントリからとあるものを取り出し、躊躇なくアスランにぶっかける。

「ぐ、あぁっ!?」

 その液体をモロに浴びたアスランは苦しみながら落下していく。

 苦しみの中で、壁に爪を立てて落下ダメージを軽減しているのはさすがというものか。


「…やっぱり。」

 私は、とある仮説が真実であることの確信を深める。


 強化を使った時点で容姿が変貌し、私に吸血鬼の血が入っていることがバレた。

 吸血鬼の代表的な弱点は、日光とニンニク、十字架…そして聖水。

 現に私だって、教会で聖属性によってダメージを受け、探索ができなかった。


 プレイヤーなら誰しも入れる教会で売っている聖水は、体力回復の(まじな)いがかかっている。

 だからプレイヤーであるならば基本的に聖水は持っているものだ。

 私の場合は【HP自動回復】を育てるためにリツキさんから数本融通してもらっている。


 私がアスランにぶっかけたのはその聖水だ。

 その聖水で、アスランは確実にダメージを負っている。


「私の弱点であるはずの聖水を使わないからなんでなんだろうなとは思ったけど…。

 まずまずアスランも不死系だとは。」

 推測するに…狼系のアンデットの魔物と人間とのハーフなんだろう。


「ハーフって弱いとかなんだか言われてるけど…。なんだかんだ強いよね。」

「ッゲホッ! あ゙んた、俺に聖水ぶっかけましたね?」

 …あ、聖水まみれだ。アスラン。

 そのアスランに攻撃されると、私まで…。


「やらかしたなぁ…。ということで、乾いてもらって。」

 地上に降り立ったアスランに火属性魔法を集中砲火する。

 やっぱり、魔法のほうが強化率が高いね。倍くらい。


「ぐぅ、あ…!」

「正直釈然としないけど…ばいばい。」

 集中砲火を決めてからすぐに変化をとき、私は地上まで降り立つ。

 そして集中砲火でいっぱいいっぱいになっているアスランの首を刀で切った。


――ピロンっ


_____________________


    敵役撃破を確認しました!

 イベントアイテムがインベントリに送られ

        ました。


 ・(あま)の欠片

_____________________



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