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腐血姫の最強譚 〜自称普通の少女は、VRMMOで無双する、かもしれない〜  作者: おまめあずき
3 世界歴史書(ワールドレコード)クエスト
62/74

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チャコVSリツキ

この構図が書きたさすぎてこのクエストを作ったと言ってもいいです。

それでは、前哨戦、シルフィードVSアスランです。

どうぞ。


―――トントン、と何度か地面に足を打ち付ける。

 そして、次の瞬間―――急加速。

 眼前に迫るアスランの顔。

 それを私は冷静に見返す。

 アヌビスは、少し驚いたような、何処か安心したような表情を見せ、拳を振りかぶる。


 わぁ〜〜、容赦ないなぁ?

 ま、防げるしいっか、と私は刀で受ける。


―――ギイイィン……。

 硬質な音とともに、踏ん張っていた私は予想以上の力に吹き飛ばされる。

 ここまでは想定内。

「【優しい風(ソフトエアー)】。」

 着地の時、風で衝撃を緩和、そしてすぐさまそこからジャンプできるように追い風を。


「…ッ避けますか!」

「そりゃあねっ!」

 アスランは着地の瞬間めがけて拳を振るってきた。

 予想以上に早く落ちてきたからびっくりしたのか、目を見開いている。

 ごめんね、コッチは【飛翔】持ちだから落下の速さを調節できるんだよ!


「やっぱ色々と身体能力可笑しすぎませんか!」

 ジャンプした勢いのまま【飛翔】で補助し、私は二階に着地する。

 それを見たアスランがこちらに魔法で炎の矢を飛ばしてくる。

「補助してっからね!」

 素で此処までいけたらやばいよ! 行けそうなやつ何人か知ってるけども!!

 そう叫び返しながら私は二階を動き回り、炎の矢を避ける。


 此処にいたら時間がかかるな。

 そう判断した私は炎の矢を避けた体勢のまま大階段の手すりを滑り降りる。

 滑り降りる、というよりかは駆け下りると言ったほうが正しいかもしれない。

「いやその行動俺を舐めてます!?」

 手すりの範囲は狭いので落ちたら終わりだし、何より場所の特定がされやすい。

 なので、今もこうして思いっきり魔法の矢の集中砲火を浴びている。


「舐めてるわけ無いでしょーが!」

 アスラン相手に舐めてたら私死ぬっつーの!!

「そうですか?」

 返答が、思ったより近くで聞こえた。

「俺だってですね、かなり強くなってますよ?」

「――ッ!」

 振り返れば、満面の笑みでこちらに肉薄してくるアスランがいた。


 私はとっさに刀でその拳をそらす。

「ぐ、ぅ…!」

 とっさだったし手すりの上だったしでうまく衝撃を緩和できず思いっきり腕にダメージが入る。

 そのせいでバランスを崩し、階段に背中から落ちる。

 なら…!

「【障壁(ウォール)】!!」

 私は階段の隙間を【障壁(ウォール)】で埋める。

 隙間、というか段差だ。

 段差の無くなったすべり台のような階段を私は滑り落ちていく。


「へっ!?」

 階段に落ちたところを追撃しようとしていたアスランが、私が思ったより早く滑り落ちていくのを見て顔色を変える。

 ついでに私が使い終わったところから【障壁(ウォール)】は消してあるので滑り降りては来られない。

「なんっつー頭の良さしてるんですか!!」

 あの土壇場でそんな事できるかクソ、と暴言を吐き散らかしながら跳躍するアスラン。

 私は丁度階段を滑り降り終わったところで、体勢が整わないまま。

 うっわ、人外!


「【火の弓(ファイヤーアロー)】っ! 人外ってずるいよね!」

「どうせシルフィードさんもでしょうが!」

 私はすぐさま魔法で迎撃、時間を作り体勢を立て直す。

 ギリギリで間に合い、アスランがこちらに落ちてくる。

 私は前に出て、辻斬りのように着地寸前のアスランに切りかかった。

「ゔわっ、このチート野郎め!」

「拳で受けるあんたもね!」

 そう、このアスランとかいう野郎、拳で血の刃を受け止めているのだ。


「人外っぷりが極まっただけじゃんか!」

「失礼な!」

 鍔迫り合いのようなことをしながらもそんな軽口を叩く。

 こんな事ができるのも全部、コイツから殺意を感じないからだ。


 コイツは私を殺そうとはしてない。

 理由は……まぁ言うまでもなくチャコの機嫌だろう。

 チャコは機嫌が悪くなると暴れ始める。

 敵味方関係無く傷つけ、破壊し尽くすバーサーカーと化するのだ。


 だが、これはつまらない。

 本気ではない、殺そうとはしてない。敵意はある、気概もある、実力もある。

 それなのに、それが万全に発揮されていない。…なんと口惜しいことか。

 だから私はコイツが本気を出せるように、口を開く。


 私は、あえて刀で受けずに避ける。

「…弱いね。」

 そして、顔の横を通過する所で腕をひっつかむ。

「は、あ?」

「本気じゃあないよね、これ。

 だって、私が捕まえられるんだ、しっ。」

 そのまま私は腕を取って、背中から叩きつける。

 どっかで柔道をかじったのが意外と役に立ってるなぁ。


「ッ―――!!」

 そのまま、刀で迎撃。

 と、その刀身を掴まれる。

「…マジかいな?」

 いやはやこれは想定外。

 自分の体を傷つけて止めるとか……いくらなんでも無いかな、と。


「……手加減、してたんですね、俺。無意識の内にって事なんでしょうね。」

 自分に驚いたように乾いた笑みを漏らすアスラン。

 ポタポタ、と刀身を握ったことでアスランの血―――もとい紅いポリゴンが垂れる。

「じゃあ、本気出しますね?」

「うん、まぁ望むところだね。」


―――狼と、腐血がぶつかった。


シルフィードは戦闘狂です。(これ書くの2回目ですっけ?)


誤字脱字などがありましたら、遠慮なく誤字報告をお願いいたします。

また、感想なども遠慮なくお願いいたします。

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