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2日遅れました……。すみません。
「堕、天使っていう、と。」
「あのシルフィを突き飛ばした天使しかありえないよね…?」
私達は顔を見合わせ、地図に視線を落とす。
「堕天使がモチーフのイベントなのか。」
「地に落ちる……天回島の、下?」
いや、北って言ったほうが良いかな。
気になってはいたけど、暗号では全く触れられていなかったから。
天回島の、北。
ちょうど、天の文字が逆向きになる形になる時、てっぺんにあるもの。
「この、ちっちゃい島のことじゃあないですか?」
「ん〜〜、そうだね。
今のところ候補がそれ以外思いつかない。」
違和感。
あの運営が、こんな曖昧な謎を残すだろうか?
ん〜〜〜。
何かが引っかかってはいるのだけど、もやっとして、こう……。うーん…。良い例えが思いつかないけど、もやもやしている。
うーんうーん、と唸っていると、リツキさんが苦笑して話しかけてくる。
「納得してない表情だね、それ。
んー、何が引っかかってる?」
「………あのクソ鬼畜ゲー、『RiverLightOnline』―――RLOを出してきた運営と同じなら、こんな粗の多い謎を残すんだろうかと、思いまして……。」
ああ、と納得したような顔を浮かべるリツキさん。
『RiverLightOnline』、通称RLO。
ギブフリーと同じ開発運営元であり、クソ鬼畜VRMMOの頂点とも言われるゲーム。
ゲームの趣旨や操作、としてはギブフリーとほぼ同じ。ただ一つ違うのは、このゲームには職業があること。
そしてその職業が鬼門である。
初期設定で選べる職業は三つだけ。「探偵」「探偵助手」「迷探偵」のみ。
…………ちなみに、職業は変更不可である。
どんなに手を尽くしたとて、この職業は変わらない。不変なのである。
初期設定では職業を選ばないと警告画面が表示され、一般プレイヤーはその演出に怯えきってきっちり職業を決めてしまう。
そして、職業無しで始めると、チュートリアルがほぼない。…まぁ、初期クエストというものがあってシステムは把握できるものの、玄人向けである。
いやはっきり言っておかしいよね? 頭おかしいよね?
…私? ハハハッハハ、嫌だな、聞かないでよ。
……………………いつの間にか、鬼畜運営倒すぞ派閥の朱神獅子団の長になってたよ……。
いや、ホントどうして?
ちゃっかりチャコは副団長になってたよ。
いやぁ………100%、初期設定の隠し機能とやらに気がついて、色々とやらかした「零」―――親友のせいだけどさ。その隠れ蓑にされてたせいだけどさ。
フザケンナ……?
あっ、嫌な思い出が蘇ってきた…この話はやめよう。
「RLO……か。」
リツキさんも散々な目にあったようで遠い目をしている。
職業による縛りがなければめちゃくちゃ快適だったんだよ。というか神ゲーって言ってもいいくらいだったんだよ。
………ねぇ…わかる?
「探偵」は事件に巻き込まれてしまいやすく、なかなか進めない。
「探偵助手」は何もできない。ただ見ているだけ。HPもMPもすべてがない。一般人である。
「迷探偵」は一定時間でのアイテムのランダムロスト。
一番楽なのは「探偵」。次が「迷探偵」、最後に「探偵助手」。
アハッはハッは……。
私? 私、探偵助手。
はじめの頃にやっちゃったもんだから、選ばないとって思って選んじゃったんだよね! 終わったよね!
探偵助手なんて鍛冶とかもできないからね!!
いやはや、もうやだ!!
あ、ちなみにこれはきっちり初期設定に記載されており、プレイヤーも承知で選んでいる。
……鍛冶とかならできるっしょってコレを選んだ私を殴りたい。
「……。これは、だめだ。ダメージを受ける。うん。」
「ですね……。」
話を変えよう、と言ってリツキさんが地図を見る。
「他の候補は、無い、よね?」
まじまじと地図を見る。
なんとなく、北斗七星の島を指でなぞる。
あれ。
「ちょっとリツキさん、鉛筆かなんか持ってます?」
「………あ、教会内部の部屋っぽいところにあったはず。もってこようか?」
「お願いします……って、降りないとですね。」
よし、飛翔を……あ、え?
「使えない??」
慌ててステータスを表示すると、「※他のプログラムが接触中、操作が不可能になります※」という文字。
「ぇ、えっ!?」
リツキさんも異変に気がついたようで、ステータスを見ている。
「はぁっ!?」
そうこうしている内に、謎のプログラムが発動し、私たちの視界は真っ白になった。
RLOは謎解き要素が多く含まれたVRMMOです。クソゲーです☆
※この小説はフィクションです。現実世界における企業、個人などには一切関係御座いません。
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