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腐血姫の最強譚 〜自称普通の少女は、VRMMOで無双する、かもしれない〜  作者: おまめあずき
3 世界歴史書(ワールドレコード)クエスト
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 光がなくなっているのを感じ、恐る恐る瞑っていたまぶたを上げる。

「えっ、リツキさ…!?」

 と、目の前にリツキさんがいたのでびっくりして飛び退く。


 あれ、床が。

「危ない!」

 ない。


 ひゅう、と風の音がして、今自分が何処かから落ちそうになっているのだと漸く理解する。

 リツキさんが手を伸ばして支えてくれなければ、頭から真っ逆さまに落ちていただろう。


「す、すみません……。」

 私は体勢を立て直すと、リツキさんに頭を下げる。

「いいよ。…俺の方こそ、勝手に触ってごめんね?」

「あっ、大丈夫です!

 ……それより、ここは…?」

 私はキョロキョロとあたりを見回す。


 壁は先程の教会と同じ白色で、目の前には大きな金色の鐘がある。

 前後左右には大きなアーチ状にくり抜かれている。

 どことなく見覚えがあるな。ここ。

「ここは、多分教会の上にあった鐘のところだね。…あれ、ここなんて言ったっけ? ………まぁ今はそこはどうでもいいや。

 さっき起動してもらった魔法陣は此処にワープするためのものだったんだよ。…あ、HP大丈夫?」

 見覚えがあると思ったのはそのせいか。

 というか、ここ登っていいのかな? 罰当たりになったりしない?


 あ、でもとりあえず、ステータスは確認しないとね。

「『ステータス』………大丈夫です!

 それで、ここはどういうお話があるんですか?」

「えーっと、ここの鐘をワープしてきた二人が一緒に二回鳴らせば良いらしいんだけど……。」


 此処への道は結婚式で神父が立つところに置いてあった紙の文章―――『(しょう)に描かれし暗闇よ 白壁(はくへき)に描かれし光よ その力を解き放てし (いただき)には神が宿りし荘厳な 鳴らせ鳴らせ 天に届くその(おと)を 二つの絆 わかたれること無く』から察したらしい。

 え、すごくない?

 硝―――つまり硝子。正面にあったステンドグラスの中から魔法陣を発見、壁にはなかったので外側だと判断。私に助けを求め、ふたりとも魔力を通す。んで、此処に来て二人で鳴らす、と。

 凄。


 間違いがあったら怖いので(あの鬼畜運営なら暗号が出てくるとかありそう)、暗号も一応見せてもらって、特に仕掛けはなかったと思うので鳴らすことにした。


―――ゴーン…ゴーン……………


 音とともに、視界は切り替わった。


 ***


 きらきら、きらきらと。


 金色の粉を持って舞い降りてくる二人の幼い天使。


 天使は、鐘の上に座ると、その鈴のような美しい声で歌い出す。


 それに導かれるようにして現れたのは、銀色の髪に空色の瞳をした、四枚の羽を持つ天使だった。


 ふと、四枚の羽の天使がこちらを向く。


 そして、私がいつの間にか手に持っていた地図に反応を見せる。


―――ジジジッ


 ノイズが走り、暗転する。


 ふわ、と浮遊感。


 幼い天使の声も聞こえなくなっていて―――


 暗転する間際、四枚の羽の天使は、その顔を歪めて私を睨みつけていた。










 ………。

 え、なにこれ。

「C、G?」

 呆然と、つぶやく。

「すっごい精巧だった……。というか、最後。天使の羽が黒くなってた、よね?」

 困惑したような表情で、リツキさんは言う。


「あ、え、あ…。」

 そして、私はといえば、困惑していた。

 最後、つき、とばされたような。まだ、体に浮遊感が少し残っている。

「そっか。シルフィ、突き飛ばされて…。」

「あ、やっぱり突き飛ばされてたんだ……………」

 …何故?

 あの反応からして、この地図がキーに―――って、あれ?


「変わってる……。」

「え?」

 と、声を発したリツキさんが覗き込んでくる。

「……本当だ。」

「…『天からの声は地に堕ちて 故に歩むべきは全ての頂』……地に堕ちる…。」

 私達は顔を見合わせる。


「「堕天使」」


  ***


何もなかった、“無”であった世界に、他の世界から七人の神族しんぞくと呼ばれる者たちが集った。その七人は、まずはじめに星を創り出し、次に太陽を、そして次に月を。最後にフリーダムと呼ばれる惑星を作り出した。そして、それぞれのものたちに特性を与えた。

星には輝きつづける無限の力を。

月には静かなる大きな叡智を。

太陽には燃え盛るような愛を。

そして、最後にフリーダムに、生命を。

それらを作り出した神族たちは、静かにその四つのものたちを見守った。

だが、彼らも何者かによって作られた存在である限り、力の限界があった。

彼らは四つの星を守護する十一人の管理者を作り出し、生命の力を与えたフリーダムにその身を委ね、眠りについた。


光の管理者 ルミエール

闇の管理者 オプスキュリテ

炎の管理者 フラム

水の管理者 オー

風の管理者 ヴォン

土の管理者 ソル

無の管理者 リヤン

生の管理者 ヴィーヴル

死の管理者 モール

空の管理者 ル・シエル

地の管理者 ラ・テール

七つ子である七人のエレメンツの管理者と、二組の双子である生命や力、愛に関連する管理者四人。

合計で十一人の管理者が在った。

―――創世神話 Ⅰ ―――


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