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腐血姫の最強譚 〜自称普通の少女は、VRMMOで無双する、かもしれない〜  作者: おまめあずき
3 世界歴史書(ワールドレコード)クエスト
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 幻惑のパーカー。

 猫耳&猫しっぽが見えるようになるパーカーで、種族を秘匿するのに便利だから少し似合わないながらも腐薔薇姫と合わせていたそのパーカーの効果。

 …関わるのが私の本来の種族を知ってるリツキさんだけだったから、忘れてたんですよ!!

 なにせなにか品物を買いたいときも、わざわざ露店に行かずともオークションで揃えられましたし……。

「……」

 なんかそれもそれで悲しいような……。


「…二人共、それはご法度だ。やめておけ。

 まぁ、見た目通りの種族じゃないとだけ思っておけば良いんじゃないか?」

 私が黙っていると、リツキさんがそう言ってフォローしてくれた。

「はーい。」

「す、すみません…」

 セシルさんとレインさん、このお二方の性格も分かってきたような気がする。

「…こちらこそすみません、分かりにくくて…。」

 そう言って私はパーカーのフードを取る。

 ……まぁ別にフードが取られたところで幻惑の効果はなくなら無いのだが。


「いえいえ。

 …それで、どのような武器をご所望で?」

「……………刀…です。」

 うわあああぁぁあああああ!

 ポカンって表情でこっちを見てくる二人の視線が痛いっっっ!!

 そうですよね、まだ刀が作れるとかの実例きいたこと無いですもんね…。


「ははぁ、そういうことかぁ。リツキ、納得だわ。」

「…そうですね。今のところは。」

 え?

「ふふふ〜。」

 唐突に笑いながら私の手を取り、にぎにぎとにぎるセシルさん。そしてぱっとすぐに手を離すと、ちょっとまってて、とレインとともに店内に引っ込んでいく。


「え? え?」

 あ、扉も月形の曇りガラスがはめ込まれてて可愛い。

 …じゃなくて!

 え? なに?


「あはは、凄い混乱してるね。」

「えぇ?」

 いや、どういうこと?

 あまり状況が理解できかねるのですが??

 生産職上位勢(昔からの知人)でもわからないって言ってたんですけど?

 まずまず、こちらの鉱物が現実と違い過ぎて皆さん困惑してるみたいなんですけども…?

 NPCに弟子入りができると分かった今は結構プレイヤーメイドの剣とか見ますけど、基本ドロップ品かNPCメイドのものですよ?

 一般プレイヤーが武器にできることって、公式オークションで定期的に一定数運営から売られている強化チケットでできる武器強化くらいですよ?


「ごめんごめん。

 でも、あいつらもシルフィードさんとおんなじような感じでさ、特殊な加護をもらってるらしいんだよね。

 その加護の副次効果で作り方とかを教えてもらえるんだって。」

 加護、か。

 それなら納得………………………………納得なのか?


「神様からってことですよね…?

 何やれば今の時点で神様から加護もらえるんですか…?」

 どんだけ徳が高いんだろうか、と想像していると、どうやら徳が高いわけではないらしい。

 近くの神殿に供物として武器を収めたら、たまたま鍛冶神の使いである天使様が来てその武器を気に入ってくれたらしく、その後も定期的に武器を奉納。

 そのことから鍛冶神様に気に入られ、加護をもらえたらしい。


「鍛冶神様………聞いたこと無いんですが、どんな方なんでしょう?」

「俺も詳しくは知らないよ。でも、名前は教えてもらったかな。

 『黒』に素顔の『素』、未来の『未』にまた素顔の『素』で、黒素未素(ブラックスミス)、らしいよ。」

「そのまんまじゃないですか!」

 鍛冶を英語にすると?

 ……そう、Blacksmith(ブラックスミス)だ。

 いや、ネーミングセンス!

「はは……。っと、戻ってきたね。」


「いやぁ〜、ごめんごめん。遅くなったね〜!」

「………なんであんなところに放置してるんです……?」

「アレは放置と言わないのだよ弟くん! 『飾ってる』と言うんだ!」

 コントのようなやり取りを咳払い一つで収めた二人は、わたしたちに向き直り、その手に握られていた刀をこちらに見せる。


「……これが今の私達の最高傑作。

 といっても、まだ現実にあるものの再現しかできていないのだけれども、ね」

 柄や鍔などが美しい漆黒で構成された一振りの刀。

 まだサービス開始から三週間ほど。

 この速さで、こんなに高いクオリティの武器を作るのは生産職トップたちでも無理だろう。


「何言ってるんですか!? なん、なんなん、こんなの、えぇええ!?」

 もう混乱しすぎて頭が回らなくなってきた。


「これ、は………。ありがとう、二人共。

 お代は?」

「今ん所は十五万くらい?」

「ん。

 …………シルフィ、もう時間無いから手になじませちゃおう。」

 ぱぱっと手早く支払いを済ませたリツキさんが未だ混乱している私の方を振り向き、手に受け取った刀を握らせる。

「えぇ、え、あ、あ、はい…?」

 混乱しつつもリツキさんに返事をした私は刀を受け取り、練習場に連れて行かれ、何度も素振り&模擬戦をした。


 ***


―――?????にて


 館の中。

 ダイニングの真ん中に円となるように置かれたアンティーク調の椅子。

 性別も出身地もゲームスタイルも違う、八人の男女がその椅子に座っていた。


 一人目、〈籠絡姫インディゴ・プリンセス〉―――PN・Chako(チャコ)

「…ぇへ………ふふふ……♥」

 肩までの長さに揃えられた黒髪に、狂気に染まった青い瞳。

 その背中からは黒い翼が生えており、頭上には黒い天使の輪のようなものも浮かんでいた。


 二人目、【アヌビス】―――PN・????

「うわ………なんか変態度が増してませんか、Chakoさん。」

 銀色の髪を耳の下で切りそろえた金色の瞳を持つ青年。

 その頭には髪の色と同じ銀色の狼耳が空に向かってピンと立っており、腰辺りにはフサフサとした尻尾が揺れている。


 三人目、〈コントローラー〉―――PN・????

「…チャコがへんなのはもとから、気にしなくて良い。」

 空色の髪に同色の瞳、そして頭に生える猫耳にしっぽ。背も低くはないはずなのに、その間延びした話し方ととろんとした眠たげな瞳が幼さを感じさせる少女だ。


 四人目、【青の道化師(ブルークラウン)】―――PN・NA0N08D0UGE4

「……あァ、楽シみですねぇ〜。」

 髪の毛は根本から毛先にかけて、雪のような白から水色のグラデーション。その目元は蝶をかたどった青と黒の仮面(マスク)で隠れている。…が、その心底楽しそうに、何よりも愉しそうに細められた目は隠しきれていなかった。


 五人目、【死神】―――PN・??

「……。」

 沈黙を守る彼は、全身真っ黒なコーディネートで揃え、素肌が見えていなかった。

 ゆったりとした、だがそれでも機動性を損なわない服装のせいで、わかることといえば、彼の背が170はこえているであろうことぐらいだった。


 六人目、〈人形術師〉―――PN・?

「…そうね、そうね、そうね……。」

 白い髪に黒い瞳の彼女は、人形を優しく持ち、何度も撫でる。

 その瞳は虚ろで、何を写しているのか定かではない。


 七人目&八人目、〈N・鏡写し(ノー・ルック_ライク)〉―――PN・??&???

「こんなばらばらで大丈夫なのかねえ…?」

「それは仕方がないことではないかの?」

 同じ白緑色の髪をした全く違う二人。

 片方は白緑色の瞳の女性、もう片方は金に近い色の瞳をしている少女。

 決定的に違い、だがどこか同じ雰囲気を漂わせる二人は、このバラバラな同じ『役』たちの先を案じ、だがすぐに思考を放棄した。


リツキは人脈がチート級です。

そして【アヌビス】と〈コントローラー〉はちょびっと本編に出てたりします。


誤字脱字などがありましたら、遠慮なく誤字報告をお願いいたします。

また、感想なども遠慮なくお願いいたします。

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