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「なによコイツ〜!!」
蛇の体に人の顔。
人面蛇と呼ぶべきその魔物は、先程から酸を飛ばしてきたり、噛みつこうとしてきたり。 正直言って、気持ち悪いし気味悪い。
「ということでっ、ご退場願えますかね!」
ぴょん、と酸を避ける。
こっちは安全地帯だから攻撃手段はないし。
せめて、昨日遊んでたときに作ってた血剣が飛ばせれば…!
―――ヒュン。
唐突に、耳元で風切り音がする。
「シュウウウウウウウウウウウウウゥ!!」
びたんびたん、と身体を地に叩きつけて身を捩る、人面蛇。
「…え…?」
私の喉がかすれた声を発する。
今なおも身を捩っている人面蛇の胴体には、血剣が深々と突き刺さっている。
「え? うそうそうそうそ。ちょ、まって、え? まっっって?」
頭が混乱する。
なんで?
あれって、私の血剣だよね???
え、だってAIさんの説明では安全地帯では魔物に対して攻撃できないんだったよね?
そして、魔物の方からも半径1メートルほどは近寄ってこないはず。
現に、人面蛇だって1メートルほど離れた場所から攻撃してきている。
……もしかして、血液って、私の一部だから攻撃判定になった?
ええええええ? そんなことある?
もしそうだったら
―――ジュワァ……
「っと、いけないいけない。」
地面に落ちた酸がこっちにまで流れてきていて、もうすぐ靴につくところだった。
血剣が使えるなら勝てるしっ!
…ということで、グサグサタイムでーす。
血剣の練習てがらグサグサしていきましょう。
あ、でも、ぐさぐさしすぎると、戦利品の質が落ちるっぽい(掲示板情報)から、脳とか、戦利品にならなそうな部分をめがけてグサグサしていったほうが良いかも。
人面蛇の体に刺さっている血剣を動かし、もう一度血剣を作る。今度は2本でやってみよう。
意外と操作が難しく、片方ずつしか動かせないし、予定していた位置とは少し違ったが、一本目が普通に刺さった。まぁ、抵抗がまったくない、ってわけじゃあないけど、特に強い抵抗もなく。
「シュワッッッッ」
あっ、吐き出した酸で片方溶かした。
さっき引き抜けたし、刺さった状態でもまだ動かせるっぽい。
形を変化させてっと。
「シュウウウウウゥゥゥゥ……。」
人面蛇は苦悶の表情のまま動かなくなる。
―――ピロンッ
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Lv.29 ヌレオンナを討伐しました!
討伐報酬:蛇革
※討伐報酬をインベントリに転送しました。
ご確認ください。また、討伐したことにより、
ヌレオンナの詳細情報が開示されました。
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「あっ、倒せた!」
ピロン、という音に歓喜する。
血も半分になっちゃったから、ちょうどよかった〜。
―――ピロンッ
え、二回目――
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レベルアップしました!
Lv.1 ⇒ Lv.19
レベルアップに伴い、SP、Sptが配布されます。
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「レベルアップか。」
とりあえず、ステータスだな。
「ステータス。」
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シルウィード Lv.19
性別…女
種族…腐血
基本ステータス
HP…10/10
MP…20/20
筋力…5
魔力…5
体力…5
俊敏…5
SP…19
種族スキル
【血流操作】Lv.4【眷属生成】Lv.2
【吸血】Lv.1【魅惑】Lv.1【打撃】Lv.1
【ウイルス生成】Lv.1
ノーマルスキル
【HP自動回復】Lv.3【凶暴化】Lv.1
【MP自動回復】Lv.1【精神耐性】Lv.1
【魔法強化】.Lv1【苦痛耐性】Lv.3
クエスト
種族クエスト‹紅蓮の不死者›
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へぇぇ〜。
変わったことは、まず、Lvが1から19に、SPが19ポイントに、種族スキルの【血流操作】がLv.4に、種族スキルに【ウイルス生成】が増えていることに、ノーマルスキルの【苦痛耐性】がLv.3になってることだね。
SPの割り振りどうしよう……。
まずは、ヌレオンナとか言う名前だったらしい人面蛇の討伐報酬を確認するか。
そう思い、ステータスをすいっと右にスクロールする。
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インベントリ 収納可能数 100/1
・蛇皮
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あ、やっぱりインベントリって右スクロールだったのね。
右か左にスクロールすればあると思ってたんだよね。
蛇皮、ねぇ。
どうやって使おうかしら?
というか、生産系のスキル持ってないんだよね、私。
だからひとまず、討伐報酬があるのを確認したらステータスの割り振りにいったほうが良いっぽいね。
私はすいっとまた左にスクロールしながら、なんだかヌレオンナって現実でも聞いたことあるなぁ、と思ったのだった。