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腐血姫の最強譚 〜自称普通の少女は、VRMMOで無双する、かもしれない〜  作者: おまめあずき
3 世界歴史書(ワールドレコード)クエスト
36/74

34

☆現在、連続投稿中☆

※ただ、作者は書くのがおっそいので、いつまで続くかは不明です。


新章です。

蜘蛛の女の子に関しては後々でてきます。


「……本当に、良いんだな?」

「はい。このクランに誘っていただいたのに、申し訳ないのですが…。」

 畳の敷かれた和室で、二人の男性が向き合っている。

 一人は、リツキ。

 もうひとりは、黒い着物にこれまた黒い羽織を羽織った男性だった。


「……そうか。」

 黒い着物の男性は、表情をあまり動かさずにそう言った。

「リツキ。お前が良ければ、これをやる。」

 黒い着物の男性は、リツキに手の中にあるそれ―――彼のクラン名の書かれたチケットを手渡す。

「これは……。」

「それはうちのクランの演習場が使えるようになる。

 勿論だが、情報漏洩はありえない。分かっているだろう?」

「…あぁ。

 でも良いのか、こんな物。」

 俺はこのクランに入らないんだぞ、とリツキは続ける。


「良い。俺は友人に渡しただけだからな。クランに入っていないとか、入っているとか関係ないだろ?」

「はははは、お前らしいよ、(とら)。」

「…そうか?」

「あぁ。ありがとう。」

 そこでやっと、黒い着物の男性は顔をわずかに緩める。


―――コンコン


「ギルマス、お客さんが居るところすいません。失礼します。」

「失礼します〜。」

 ノックとともに、一組の男女が入ってきた。

 片方は、襟に白い毛皮がついている軍服風のコートを着て、狼の耳を生やした銀髪の男性。

 もう一人、ゆるく挨拶したのは、ブカブカの黒いパーカーをはおり、髪の色と同じ水色の猫の耳がある女性(少女?)だった。


「…アスラン、みるきあ。

 ……もうそんな時間か。」

 黒い着物の男性―――虎は、彼らを見て驚いたように眉を少し上げる。

「何か用事があったのか? 

 …忙しいのに時間を取らせてすまない。じゃあ、そろそろ俺はお暇するか。」

 そう言って立ち上がるリツキ。

「見送ろうか?」

「いや、良い。お前はやることがあるんだろ? 頑張れよ、虎。」

「あぁ。お前もな。」

 そう言って二人は視線を交わし、リツキは部屋を出ようとする。


 リツキが戸を潜ろうとしたその時、後ろから声がかけられた。

「―――……覚悟しとけよ?」

 振り返れば、獰猛に笑う彼の友人が居た。

 その虎の様子に、リツキは破顔し、

「あぁ、望むところだよ。」

 同じように獰猛な笑みを浮かべ、そう返した。

 そして再び虎に背を向け、彼は去っていく。


「…世界歴史書(ワールドレコード)クエストまで、後三日、か。」


 そう、リツキはポツリとこぼした。


  ***


「あれ…リツキさん? なんで、【五星龍(ごせいりゅう)】の施設から…?」

 今日もシルフィードは、ギブフリーで魔物を狩っていた。

 素材をオークションへ売りにだし、【はじまりの街】をブラブラとしていた彼女は、リツキを見かけ、声をかけようとするが、彼がでてきた施設を見て驚きに固まった。


―――クラン、【五星龍】。

 ()()()()()()()()が立ち上げたクランで、現在は世界ランク第二位、五位が所属している他、とある特定のクエストを完遂するか、特定の行為をすることで獲得することのできる覚醒種族の者が居ることで有名だ。

 今現在、ゲーム内最強クランである。

 そして一部では、あの最高難易度の初期スタート地と言われた【砂血の大地】を攻略した者―――ネット界隈では紅蓮姫(ぐれんひめ)紅王子(くれないおうじ)と呼ばれている―――を引き入れることに成功した、などの噂がまことしやかに流れている。


(まぁ、それ(シルフィード)なので嘘情報なんですけど……)


 シルフィードは、リツキの方をもう一度見やる。


―――ゾクリ




 リツキの口元に浮かぶその笑みを見て、シルフィードの背筋が泡立つ。

(今、の。何? リツキ、さん? ……あんな表情、初めて見た。)


「私も、頑張らなきゃ。」


 シルフィードは再び、森へ向かった。


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