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☆現在、連続投稿中☆
※ただ、作者は書くのがおっそいので、いつまで続くかは不明です。
い、一週間続いた…だと!?
がんばります!
«このエリア、“血濡れの廃神社”は、主に二つのエリアに分けられます。ここでは廃神社エリアと都エリアと呼び分けさせていただきます。»
「二つのエリア!?」
これまで、マイエリアは一回一エリアというのが原則だった。だが、このAIちゃんの言葉は、これまでの常識を次々にぶっ壊していく。
「はい? もうすでにぽんぽんと新規の情報が出てきてるんですけど?」
リツキさんはもう考えるのを放棄したみたいだ。
それだけ衝撃が大きかったのだろう。
«廃神社エリアは石畳に松の木の林、そして赤い灯籠が目印になっています。そして、都エリアは、その廃神社エリアの奥にある門から行き来することのできる、特別エリアです。»
私たちは今、廃神社エリアに居るってことか。
私は奥の方を見渡す。
「あ、あった。」
拝殿の奥の方に、神社の鳥居と同じ色の紅い門があった。
«門は、拝殿の中にあります。そして、その門は主鍵―――マイエリアに来るときにも使った、鍵のことです―――を使うことで開きます。ただ、この門は主鍵を使わない場合でも開きます。その場合、都エリアにではなく、本殿へと繋がっています。»
「ほへぇ…。」
「まって……もうキャパオーバーなんだけど……。」
私たちは、気の抜けた声を発する。
«詳しくは、ステータスの「マイエリア」欄からご確認いただけます。―――では、良き旅をお過ごしくださいませ。»
AIちゃんは、そう言った後、沈黙した。
私たちの顔色の悪さに気を使ったのかな。説明が短かった気もする。
「…。リツキさん。これからどうします?」
「…ちょっと怖いけど、都エリアってとこに行くしかないでしょ……。」
「ですよねー。」
都エリアってことはNPC居るのかな?
よくわからないからちょっと怖いけど、ワクワクもするよね。
私たちは奥に進みながら話を続ける。
「どんなふうなんでしょうか?」
「わからないけど、都エリアってことは、なにか買えるんじゃないかな。
正直、今も現実直視したくない…。
こんなに近くにクエストあったなんて……。攻略班からもう【はじまりの街】には新規クエストはないだろうって来てたのに…。」
「なんでそんなに落ち込んでるんですか?」
私はその気持がよくわからないのだけど…。
「あぁ…俺ね、とある条件に当てはまるクエストを探すために、十日ぐらい【はじまりの街】をさまよってたんだよね…。ほぼ、不眠不休で。」
「え。それは……。」
「しかもさ、このクエスト、その条件を満たしちゃってるんだよ…。」
う、うわー…。それはきっついよねー。
どんな条件だったのかはあえて聞かないようにしよ…。
「はは、ごめん。ちょっと話しづらい雰囲気にしちゃったよね。
というか、もうつくね。」
「はい。あ、リツキさん、一礼二拍手一礼ってします?」
「そりゃしないとだめじゃない? ちゃんと神様には挨拶しないと。このゲーム、そういうの結構しっかりしてるしさ。」
私たちは、二人横並びに立つと、まずは一礼。頭を上げ、胸のあたりで二拍手をし、最後にまた一礼。
そして、私たちはゆっくり頭を上げると、顔を見合わせる。
動作がピッタリ揃ったことが無性におかしくて、少し笑ってしまう。
「ふふ、行きましょうか。」
「だね。」
拝殿の中は、あらかた現実世界と同じ作りになっているようだった。
右側の壁に、大きな門があることを除けば。
「見るからに、これだよね…。」
私たちは、大きな門の前に立つ。まぁ、大きいと言っても、リツキさんより頭一つ分大きいだけである。
「ですよね…。本殿と都エリア、どっちに行きます?」
「…シルフィードさん、今思い出したんだけど…―――」
「あの、いちいちシルフィードって呼ぶの、面倒くさいと思うんで、シルとかフィルとかで呼んでいいですよ。」
「あー。うん。……どっちで呼べば良い?」
「……あのー、さっき言ってなかったんですけど、シルフィって読んでいただけませんか?」
「……シルフィ、さん?」
少し間を開けつつ、ちゃんと呼んでくれるリツキさん。
「『さん』ってつけるのも禁止でお願いします。ついでに敬語もなしで。」
「ゔぇ…? …シルフィ、さ……シルフィ?」
「はい! ありがとうございます。
…話を遮ってすみません。なんですか?」
「あ、ああ。あの、魔物になってた女の子はどうする?」
「…あ゛」
魔物になってた女の子? とリツキさんに聞き返そうとしたが、それより先に思い出した。
「その顔は…すっかり忘れてたんだね?」
「はい…。」
あああああ、もう。なんでこんなに私は忘れっぽいかなぁ!
「…とりあえず、戻ろう。」
「はい…。」
こうして、都エリアの探索はお預けになった私たちだったのだった。




