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☆現在、連続投稿中☆
※ただ、作者は書くのがおっそいので、いつまで続くかは不明です。
「と、とりあえず落ち着こう。」
「は、はい…。」
内心、「これで落ち着いていられるかっ!」と叫んでいたが、それは流石に飲み込んだ。
「マ、マイエリアって書いてあるよね?」
「…はい…。」
「え? ええ?」
リツキさんは壊れた機械のようにえ、え、とこぼす。
このゲームを長くやっている分だけこの衝撃はでかいだろう。
なにせ、マイエリアは欲しいと思って手に入る代物ではなく、今現在、生産職しか獲得できないことで有名だったのだから。
マイエリアは、その名の通り、自分だけのフィールドだ。
大体が5LDKほどの広さであり、町並みを模していたり、家だったりと形は様々。
一定の重量まで物を入れることのできるアイテムボックスや、勝手に必要な素材などを選別してくれる機械なども置いてあることがあった。
マイエリアは戦闘によって死に戻りしてしまった場合、そこから再スタートすることもできるし、出るときにポイント間転移機能が使える。それに加え、テイムした魔物をお留守番させることもできるし、他のプレイヤーを呼んで会議をすることも可能。
今、プレイヤーたちが一番欲しているのが、マイエリアに居る手伝い用のNPCである。
その存在が確認されたのは、とある人形使いが、困難な種族クエスト&指定クエスト(一定の行動をしたことよって現れるクエスト。普通クエストに分類される)を両方ともクリアしたことによって手に入れた、マイエリア“旧・人形主の館”である。
その人形使いが言うには、マイエリア“旧・人形主の館”には、数名の補助人形と呼ばれるNPCたちがいた、というのだ。
その名の通り、その身体は勿論作り物で、人形であったのだが、自律意思があり、なおかつ、頭上にNPCと表示されていた、というのだ。
更に、自身がやるべきことを的確に教えてくれ、そのとおりにやったら、レベルもうまい具合に上がっていくというのだから、レベルが伸び悩んでいる者たちは、そのNPCを欲さないわけがない(一部のプレイヤーたちは、メイドというところにスポットライトを当てていたようだが)。
まずまず、マイエリアの機能だけでも多くのプレイヤーが欲していたというのに、それ以上の報酬をぶら下げられたら、プレイヤーたちが群がらないわけがなかった。
「………血濡れの廃神社って…?」
「多分、ここ、のことですかね?」
というか、それ以外に思いつかない。
«マイエリア獲得おめでとうございます。»
「わっ!?」
「AIちゃん、さん?」
唐突に、管理AIの声が響く。
«本日は、マイエリアの使い方についてご説明します。»
「あー。こういう仕様ですか。」
「正直、まだあの衝撃から立ち直れてないんだけどね?」
リツキさんが少し眉を下げる。
わわ、しょぼんってしてる。かわよ。
……って、そんな事はいいんだよ。
«まず、マイエリアへの行き来の方法をご説明いたします。お二方には、この鍵をお渡しします。»
AIちゃんの言葉とともに、アンティーク調で可愛い、丸っこい鍵が二本空中に出てきた。
一つはリツキさんの方に、もう一つは私の方に向かって来て、私が手を差し出すと、ぽとり、と手の中に落ちてくる。
«その鍵を、鍵穴に指すように空中に差し込んでください。すると、扉が現れます。»
私が鍵を空中に突き出すと、鍵を起点に扉が現れる。
……扉、っていうか、門みたいな感じなんだけど……。
«鍵を右に捻ると、元の場所に戻ります。左に捻ると、ポイント間転移の説明が出てきます。…まだ、説明が終わってませんので、回さないでください。»
ついつい右に捻ってしまうと、カキン、と阻まれるような感触とともに、AIちゃんに怒られる。
ごめんね。続けてください。
«…それでは、説明を続けます。…マイエリアに来るときには、同じように差し込んで、どちらか片方に回していただけますと、マイエリアに続く扉が現れます。»
ふんふん。
向こうではどっちに回そうがマイエリアにしか行けないのね。
«マイエリアへの行き来の仕方としては、以上となります。次に、このエリア“血濡れの廃神社”についての説明に移らせていただきます。大丈夫でしょうか?»
ぴこん、と私の前にYESとNOが表示される。
勿論YESである。
というか、やっぱりここが私たちのマイエリアだったのね。
«…承諾が得られたようなので、このエリアの説明に移らせていただきます。»
はい! よろしくね!
次回に続く感じです。
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