表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/74

25

詠唱を考えるのには苦労した今話です……。

どうぞ…。


「ひっ!? っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 私は思わず悲鳴を上げそうになるのを、唇を噛み、必死でこらえる。顔が引きつる。ぶわりと、体中から嫌な汗が伝うのがわかる。


 見たくない。見たくない。見たくない。見たくない。

 そう思っていても、見なきゃいけない。そうしないと、いつ、どこから攻撃が来るのかわからないから。

 隣を見ると、リツキさんの顔も引きつっている。


―――蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛、蜘蛛………。


 ……………今、私達の目に映っているのは小さな蜘蛛の大群。

 それも、数十、数百という単位ではない。数十万……下手したら数百万匹もいるかも知れない。

 そんな蜘蛛の群れが私達の目の前に現れた。


「【かんて、ぃ】…。」

 この状況でこの声を絞り出しただけでも褒めてほしい。

 程なくして、数十匹の蜘蛛の情報が頭に流れ込んできた。

 あまりの情報量に、脳がショートしかけるが、そこは気合でどうにかする。


 一匹一匹は小さい。しかも、私が少し手ではたいただけて死んでしまいそうなほど、脆弱だ。

 ただ、その弱さを数でカバーしに来ている。

 鑑定した結果、この蜘蛛たちは麻痺毒や神経毒など、ランダムで色々な毒を持っている。中には、即死毒など怖いものも紛れ込んでいた。

 その爛々と赤く光る眼は、この薄暗闇の中でよく見えるが、その小ささゆえに全てを把握することは不可能。


 というか、まずまず気持ちが悪すぎて見れない。直視したら絶対気絶する。私は虫が嫌いなのだ。本当に最悪だ、これは数日ご飯が食べられなくなる気がする。


「……っ!」

 そして大蜘蛛。

 こちらも何もしないなんてわけはなく、その鎌で私達を殺しに来ている。

 大きな鎌は、子蜘蛛たちを巻き込まず―――というか小蜘蛛たち自身がちょこまかと動いて回避していた―――戦力は衰えない。


―――最悪な状況すぎだって………! ふざけんな運営ッッッ!


「もう、さいっあくっ!! 【障壁(ウォール)】!! んで! 【特大超火魔球(エクスプロージョン)】ッッッッ!」

 私は感情のままに叫び、思いっきり魔法をぶっ放す。

 MPの残量? 知るか! 

 ……と、半ばヤケクソになりながらも思考の片隅にちょっぴり冷静さは残しておく。そうしないと私はマジで戦闘狂(バーサーカー)になるからね…。


「ちょ、MP大丈夫なの?」

「ええ、多分! というか、あの蜘蛛たちどうにかしないとどうにもならないでしょう!」

 ちょっとキレ気味に言葉を返してしまう。流石に失礼だな、と思ったので、後で謝っておこうと思う。

「それはそうなんだよなぁ…。ほんとに…。

 じゃあ、いっか。【爆発火球(ファイア・ボム)】。」

 リツキさんも割り切ったようで、魔法を放つ。


 こういう魔物には爆発系―――火の魔法が多分効きやすいと思って【特大超火魔球(エクスプロージョン)】にしたけど、案外うまくハマったものだ。

 子蜘蛛たちはたちまち粉々になり、残りの蜘蛛たちも私が張った【障壁(ウォール)】を破れそうにない。

 不安要素といえば大蜘蛛だけど、こちらもリツキさんが援護してくれているから問題はない。


 これ、もしかして、クリアいける?

 ……なんて甘い考えをしてしまったのがいけなかったのか。


「えっ!?」

 わらわら、と私が張った【障壁(ウォール)】の外側を埋め尽くすように、子蜘蛛たちがよじのぼってきたのだ。

「ちょ、ちょちょちょ!」

 マジでキモいしまずい。

 蜘蛛の内側は普通に吐くレベルで気持ちが悪いし、子蜘蛛たちのせいで大蜘蛛が見えなくなり、うまく攻撃が当てられなくなる。

 つまり、それは大蜘蛛の全力の攻撃が私達に放たれてしまうということで………。


「拡、大っ!」

 私は一瞬のうちに【障壁(ウォール)】を大きくし、勢いで子蜘蛛を吹き飛ばす。初級魔法の良いところは、こういうふうに応用がききやすいところだと思う。

 そんなことはどうでもいいと言わんばかりに勢いよく振り返り、リツキさんに声をかける。

「リツキさん、ちょっと時間稼いでください!」

「えっ、うん!」

 少し驚いていたリツキさんだったが、私の顔を見て何かを察したのか、すぐに多種多様な魔法を放ち、子蜘蛛と大蜘蛛を牽制する。


 流石だな、と頭の片隅で思いながら、私は腕の傷を塞いでいた血液の操作を手放す。

 覆いが外れた傷はすぐに紅い血を溢れさせ、地面に滴り落ちる。

 私はアイテムボックスに収納していた分の血液も使い、魔法陣を(えが)く。



―――腐り、穢れ、堕つる者よ。天に焦がれ、()を待つ者たちよ。


 ゆっくりと、ゆっくりと、噛みしめるように。


―――我は、天に通ずる者。陽を()とす者。


 ここからは、ことさらゆっくりと。


―――これは、祈り願う者へ捧げる祈りの(うた)


 じんわりと、私の血が熱を持つのがわかる。


―――全ての(ことわり)は、天に通ず。


 閉じた瞼の裏で、魔法陣が光を放つのがわかる。


―――我ら集い踊る、無辜の夢を。願い、我らは祈る。


 血腐城ブラッディロードキャッスルの最奥に収められた禁書。そこに記された古代の禁忌魔術の名は―――


―――【無辜ノ(イノセント・)不死者ノ(イモータル)鎮魂歌(レクイエム)





誤字脱字などがありましたら、遠慮なく誤字報告をお願いいたします。

また、感想なども遠慮なくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ