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「申し訳ございませんっっ!」
「いや! 土下座しないで! 顔あげて!?」
世界歴史書クエストまで残り五日。再び休日となった今日、私はリツキさんに土下座をして謝っていた。
理由は勿論、先週の日曜日の件だ。
「あの日はテンパってしまって……何も言わずにログアウトしてしまい、本当に申し訳ございませんでした!!」
「いや! いいから! ほら、座って!」
ゴンゴンと【はじまりの街】の石畳に頭を打ちつける私の腕を取り、リツキさんは立ち上がらせる。
「あー。もう。怪我してるじゃないか。」
やりすぎだよ、と私のおでこをさするリツキさん。う゛、まって、顔も行動もイケメンっっ!
そんなリツキさんの姿を見ると、より一層申し訳なく感じてしまう。
「休日にしか集まれないのも私のせいなのに…。申し訳ありません……。」
「いや、本当に気にしてないんだよね。
少し面白いこともあったし。」
そう言っていたずらっ子のようにリツキさんは笑った。
「えっ。」
面白いこと?
「何かあったんですか??」
「え、ああ、うん。
ちなみにシルフィードさん、【青の道化師】って人知ってる?」
「え゛」
【青の道化師】。アイツは私の知り合いだ。他のプレイヤーとの折り合いが悪いから、よく二人だけで遊んでたんだけど……。
「へ、変なことされませんでしたか??」
「変な事?
いや、特には……。」
良かった。リツキさんはアイツのお眼鏡にかなったようである。
お眼鏡に叶わなかったプレイヤーには結構えげつない事をしているような噂を聞いた事があるから、心配だったけど。
ちなみに、私はその現場を目撃した事がない。というか、意図的に見せないように【青の道化師】がしていた。
まぁ、お気に入りの人には見せたくないって感じなんだろう。知らんけど。
「あ、薔薇ならもらったけど……。」
薔薇? 私は貰ったこと無いけど……。それだけリツキさんがお気に入りだったってことなのかな?
「ちなみに、その薔薇ってどうしました?」
「? 普通にインベントリに入れたけど。」
え。入るの!?
「ちなみに、表記は?」
「ん? 普通に薔薇(黒)って感じだけど?」
そっか。んじゃあ、何にも効果がない………なんてないよね、アイツのことだし、多分。
「あ、でも。」
一つ重要な事があったな、と、リツキさんが口を開く。
「?」
「コレ、イベントに必要なアイテムっぽいよ?」
はい?????
「詳しくは知らないけど、俺のフレンドの中でも、八割くらいのプレイヤーがゲットしてるんだよね。
でも、くれた人がそれぞれ違うっぽい。
俺が貰った、【青の道化師】。
あと、〈籠絡姫〉。
そして、【死神】。
他にも、〈コントローラー〉とか、【アヌビス】とか、それ以外もいるんだけど———有名どころだと、それくらいかな。」
私は、その中のうち、一人の名前が引っ掛かった。
「〈籠絡姫〉……?」
そして、とある人物に行き当たる。
え。まって? それって、チャコのこと、だよね……??
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