田舎暮らし 第5話 収 穫
§1 過祖化対策に決め手か
過疎化対策をテーマに小説を書いた。
主人公は過疎化バスターズの異名を取るジキータ(キジ)、モンキ(サル)、ドク(イヌ)。止せばよかったのに、有害鳥獣駆除に踏み込んでしまった。これで犠牲になる動物たちを減らせば、動物村の過疎化にブレーキがかかる、と考えたのだった。
田舎に生まれ育ち、都会で生活した者の哀しさ。最近のワナを見たことがない。
ネットで調べた。仕組みは分かった。さらに人間がかかってしまった時のために、安全装置が付いていて、ワナの存在を知らせる標識も掲示しなければいけないという情報まで入手した。
ワナの仕組みを説明した動画も投稿されていた。しかし、目が悪いので、画像はほとんど見えない。想像力で補って書くことにした。
§2 百聞は一見に如かず
多作なので、この小説のことは忘れていた。
先日、女性の患者さんが、何年かぶりに来られた。夫婦で猟をすると聞いていた。くくりワナについての残っていた疑問点を質してみた。それでも、まだ、分からないところがあった。
盲導犬・エヴァンと朝の散歩をしていて、例の患者さん宅の前で、旦那さんに呼び止められた。
「安全装置のこと知りたがっていたというから」
親切な方だった。現物を持って来て教えてくれる。
最近のワナは巧妙になっていた。山間部の素朴な動物など、簡単にかかってしまう。
ついでに標識のことも訊いてみた。標識は思っていたものと違っていた。
「これは少し小説の手直しが必要だな」
と考える。
§3 情けを仇で
「そんな山の中まで散歩に行くのか」
どうやら、私やエヴァンがワナにかかった時のことを、心配してくれているみたいだった。
「いや。小説を書いているもんで……。現物がどんなものか知りたかったのです。ありがとうございました」
小説の中で、動物たちに安全装置の外し方を教え、標識でワナに注意を促す、とは言えなかった。
余談ついでに、この策を考え付いたのはモンキだった。彼は動物から救世主として尊敬を集めたが、人間からは指名手配され、破格の懸賞金がかけられた。
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