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鉄の檻
私は小さな檻に閉じ込められていた。
一体いつからだろうか、この男に拐われてから、もうかれこれ三年ほどが経った気がする。
最初こそ必死にこの檻から飛び出そうとしたものだが、今やここから出ようという気持ちは起きなかった。
疲弊した身体で檻に寄りかかる、鉄の感触は裸の体には冷たかった。
疲弊。というのも、どういう訳か私は日に一度外へ連れていかれるのだ。もちろん逃亡しないように首に紐を繋がれて、だが。
そんな訳で、夏の日差しにジリジリと照らされ消耗した体力を回復していると、そこでようやく水が与えられた。
水や食事の提供に決まったタイミングは無く、この男の気分で決まっているようだった。
与えられた水を飲んでいると、突然男に体を捕まれた。
振りほどこうと抵抗するも意味はなく、強引に仰向けにされ、体を弄られる。
これもいつものことだ。
今回ばかりは少し頭に来た私は「ワン」と吠えてやった。