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黒き心は闇を描く〜序章〜

 未だかつてない、異世界ギャグファンタジー学園小説です!


 フツーのファンタジー学園モノに飽きた方は、是非読んでみて下さい!


(序章は都合上、主人公が出ません)

(グロテスク表現を頻繁に使います)

 魔王ブラッドが暗黒界を統一してから約一万年後…今でもブラッドは暗黒界最高の地位である魔王の座に君臨していた。


 だが…当時の側近達は、謎の失踪を遂げたり、定年で退職届けを出したり、訳あって実家に帰ったりして、皆いなくなっていた。…ブラッドの側近であるソードを除いて。



 ソードは何万年も長生きしている悪魔である。…そして極悪人である。


 昔、重臣が皆いなくなった時、ソードは新しい重臣を城に招いた。…城に招いたのは良かったのだが、重臣は皆まともな心を持つ一般人だったのだ。


 …重臣が皆一般人では面白いギャグが出来ない!ソードは新しい重臣達をつまらなく思ったのか、ブラッドの部屋にこもりっきりになり、そこでギャグをやる事にしたのだ。



 今の時代となっては、ソードの存在を知る者は、ブラッドと当時の重臣達だけだ。


 ブラッドの部屋は立ち入り禁止で、ブラッド以外入れなかったのだ。


 …ちなみにブラッドの部屋には家財道具や電化製品が全て揃っていて、甘ーいお菓子も沢山あるという噂が流れている。隠し部屋もあるとか…



 ソードは、今ブラッドと一緒にその隠し部屋に来ていたのだった。


  ブラッドの隠し部屋…そこは何もない畳六畳程の部屋だ。


 ソードがブラッドをこの部屋に呼び寄せたのは、ある理由があったからだ。



「ソード…俺をこんな所に連れ出して何のつもりだ?」


「まぁ…少しブラッド様に協力してほしい事があるんですよ…」



 ソードはブラッドにニコリと微笑みかける。だが、ブラッドは逆に、その微笑みのせいで不安が増したのであった。


 ソードとは一万年近く一緒にいた…だからブラッドは、ソードが何か変な事を自分にしようとしているのを、察知していたのだ。



 …ブラッドの予感は当たっていた。


 ソードは最近暇過ぎて、何か昔の物語を越える、新しい物語が生まれないかどうかを思っていたのだ。


 だが、自分とブラッドのギャグでは、"昔の物語そのもの"になってしまう。何か新しいギャグは無いのか…


 そこでソードが思い付いたのが、"ブラッドを暗黒界から消す"という事だった。


 …さすがにブラッドのファンの方達や、ブラッドに同情して下さっている方達の為に、殺すという事だけは控えておきたかった。




 …そこでソードが思い付いたのは………"ブラッドを異世界に転送する"という事だった…


  異世界に転送すれば、自分はブラッドを殺さなくて済む。新しいメンバーも出来る。ブラッドには適当な時に暗黒界に帰って来てもらえば良いだろう。


 ソードは構想をした後、ブラッドに向き直った。



「ブラッド様…」



 ソードの口角が上がった。それと同時に、ブラッドの緊張も高まり、ブラッドは唾をゴクリと飲んだ。


 ソードはいきなり片手を上げたかと思うと、召還魔法を詠唱した。



「…この者を異世界に送りたまえ!"リーズデイル"!」


「は!?お前何す………」



 その言葉は最後まで聞こえずに、ブラッドは青い光に包まれて、消えて行った…



「ブラッド様…良い旅を!」



 ブラッドの後の事など考えずに、そう叫んだソードは、何を思ったのか、メモ用紙にある事を書き始めた。



"城の家来達へ

俺はこの度、魔王をやめる事にした。

魔王がいなければ、暗黒界はまた戦乱の世となる…

俺の代わりになる新しい魔王を決めておいてくれ!

魔王ブラッド"



 ソードはそんな手紙を書いた後、それをブラッドの部屋まで持って行き、ブラッドの机に貼り付けた。


 その後、ソードはブラッドの部屋の窓から飛び降りた…


  …ブラッドが異世界に転送された日から、今日でちょうど一年の歳月が経った。


 ソードは、今暗黒界を旅していた。


 もうそろそろ何かイベントがあって良い筈だ。重臣達もあのメモを見て、慌てふためいているに違いない…


 ソードが心の中で笑って歩いていると、前方に巨大な建物が見えてきた。



「…何だコレ?」



 ソードは不思議な気持ちになりながら、建物に近付いた。その建物には"暗黒学園"という立て札が付いてあったのだ…



「暗黒学園なんて聞いた事無いけど…取りあえず入ってみるか。」



 ソードは暗黒学園の門の近くに警備員がいない事を確認すると、そのまま門をヒョイッと飛び越えた。


 女のような華奢な体をしているのだが、運動神経は良い方だ。いや…自分は"魔界最強の悪魔"って呼ばれてるな…


 ソードはある理由から"魔界最強の悪魔"と謳われていたのだ。だが、暗黒界ではその事を知る者は少ない。それはソードにとっては好都合であった。



 ソードは門を飛び越えると、校内の茂みに隠れ、自身の姿と気配を消す魔法を唱えた。姿が見えるとマズい。


 息を潜めると、ソードは校舎に入っていった…


  校舎の中を静かに散策する。


 散策すること約5分。会議室という部屋の前に着いた。電気はついてないな…


 試しにドアに手をかける。てっきり鍵がかかっていたと思っていたのだが、ドアに鍵がかかっていないらしく、ガラッとした音が廊下に響き、ドアが開いた。


 少し驚いたものの、周りに人がいない事を確認すると、ソードは会議室に入った。







 ソードは会議室に入ると、ドアを閉めた。…怪しまれないように鍵はかけずに。


 部屋の中央に大きな正方形の机があったので、そこに身を潜める事にした。


 ここで身を隠していれば、この学園に関する事が聞き出せるかもしれない…


 ソードは人の来訪を待った。




 …しばらくすると、どこからかカツンカツンという靴音と、誰かの話し声が聞こえてきた。そこにいる奴らはざっと3人…くらいか。



 ドアを開け放つ音が聞こえる。ソードは一層息を潜めた。



「ささっ、校長、教頭、椅子にお掛け下さい!」



 青年の元気な声が聞こえた。ここにいる3人は、どうやら校長と教頭と新任教師という関係のようだ。



「いやー、校長!全く嫌になっちゃいますねー」



 これは教頭の声か。


  3人の会話を聞くため、ソードは逆三角形の耳をさらに尖らした。



「まさか、新しい魔王を決める為に、学園を作ってくれと言われるとは…。それに学園一の優等生を時期魔王にするなんて…」



 …校長らしき人物が爆弾発言をした。"学園一の優等生を時期魔王にする"…



「極悪非道で傍若無人かつ、強くて指揮能力に優れた者を魔王に…こんな奴、暗黒界にはいないですよねー。魔界にはいるかもしれないですけど…」



 新任教師らしき奴がため息混じりに話した。悪りぃ。俺その条件に目茶苦茶当てはまってる。



「でも入学希望者が沢山いたのには驚きましたね。"この学園で一番の優等生は魔王になれる"って魔王城の大臣様が言った瞬間、暗黒界の各地から生徒が集まって来ましたから…」


「僕、魔王の仕事は本当はツラいって聞きましたよー」



 教頭と新任教師がそう話した。確かにブラッド様は苦労していた。色んな意味で。



 …ソードは3人の会話を静かに聞いていたのだが、机の下にあった、ある物を発見した瞬間、声を発してしまった。そのある物とは…



「…あ、チョコ!」



 チョコレートなのであった…


 「…あ、チョコ!」



 突然聞こえた声に、校長と教頭と新任教師は驚いた。その声は新任教師の机の下から聞こえていた…


 新任教師が恐る恐る机の下を覗いてみると…そこには嬉しそうに笑顔でチョコを頬張っている、見た目が13歳ぐらいの悪魔の少年がいた…



「………!?」



 訳が分からなかったのだが、新任教師は取りあえず、その悪魔の少年を机の下から引っ張り出した。


 校長と教頭も、このハプニングに目を見張った。



「もしかして…不法侵入者!?まだ子供のようだが…」



 新任教師が顔を曇らせた。普通のソードなら、この場で3人全員の息の根を止めていたのだが、今自分は甘い物を食べているので、普段と性格が大きく変わっていた。


 ソードは新任教師の手を振り解くと、チョコを片手にこんな事を言った。



「…不法侵入者だと!?俺はただの甘党だ!校内で菓子を食って何が悪い!」


「いや、校内で菓子を食べてる時点で、悪い事してるよね君。」



 新任教師は呆れ顔でツッコんだ。


 ソードがまたボケをかまそうとすると…急に間に教頭がズカズカと割り込んできた。


  そして…教頭はいきなりソードの片手を掴み、こう叫んだ。



「素晴らしい!」



 …教頭の珍行動に、その場にいた教頭以外の全員が、目を丸くした。



「その全身から溢れる禍禍しきオーラ…君こそ悪魔の中の悪魔だ!」



 教頭はそう言うと、目線を校長に移した。ソードもつられて校長を見た。


 校長は…ハゲのオッサンだった。


 校長はソードを見ると、何故か

「ゴホン!」と咳払いをした。



「校長!この子をうちの学園の生徒にしましょう!必ず学園で成長して、良い魔王になる筈です!ね?君もそう思うだろ?」


「え…うん」



 教頭に激しく迫られたので、ソードは何が何だか分からなかったが、一応返事だけしておいた。


 教頭が興奮する中、校長は1人だけ冷静になっていた。


 校長はソードを見ると、静かにこう言った。



「君の名前は…」


「…?ソードだけど。」


「ソードか…。私は君を知っているよ…」



 校長はそう言うと、煙草を取り出した。


 このハゲのオッサンが自分の何を知っているのだろうか…



 …校長は煙草を一服吸うと、こう叫んだ。



「我が学園への入学を許可する!」



終了.


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