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第74話 隣を見れば

 

 俺達はオーク3体、スライム2体を倒した訳だが……


「いい加減許してくれないか??」


「「……」」


 二人で冷たい視線を送ってくる。


「はぁ、悪かった。二人が心配し過ぎない様に、変な事を言って誤魔化そうとしたんだよ」


「どうしますか?」


「も、もう許してあげても??」


「甘い!! パンドラさん!! 甘々ですよ!?」


「え、えぇ!?」


「うちのじぃちゃんも、その時は神妙に反省するんですが、次の日にはまた同じ事を繰り返すんです!! (たち)の悪い事に、本人は良いと思っている病気……いや中毒なんです!! 中毒になる前に何とかしないと、呆け呆け中毒になってしまいますよ!?」


「そんなんなるかい!!」



 そんなやり取りはさて置き、やる事は山積みだった。


「済まないが【星装】を使って、歩くのがやっとだ。申し訳無いが、オークの解体作業はナナとパンドラさんに頼めるかな??」


「ガッテン!!」


(妹よ。気に入ってるんだか知らんが、パンドラさんが恥ずかしがってるから止めなさい) 


「こ、今回もまた足を引っ張ってしまいましたので、が、頑張って卍○します!!」


(アウトォオオオオ!! 挽回だからね!? 色々危険だからやめてぇえ!!)


 今回、最弱と言われているスライムを相手に、苦戦してしまったのを気にしてか、少し落ち込んでいるようだ。


「パンドラさん。初めての魔物を相手にしたんです。怪我をしなかっただけでも十分良くやったんですよ??」


「……エント君は、本当に甘々なんですね……そこが……す」 


「え?」


「に、にゃんでもありませぬ!!」



 太陽が少し赤くなり始めた。


 俺は穴だけでもと、【アース】を使い準備を手伝う。


 今回はパンドラさんが吊るし、ナナが腹を裂く役だ。


 俺の壮大な失敗をちゃんと覚えていて、首から腹にかけてナイフを差し込んで行く。


 (作業を終える度に、ドヤ顔し無くて良いからね)


 血抜きが終わるまでは、周囲を警戒しつつナイフなどの整備を先に済ませた。


 予想外にも3体討伐してしまったのだ、作業を少しでも短くするのは当然だろう。


 幸いその後も、魔物がやって来なかった。


 まぁそんな使えない俺はと言うと、1体目を運ぶ時に台車に乗せられたまま放置プレイされている訳だが。


「お兄さんは邪魔だから、大人しくここに居てね」 


 今日の仕返しなのか、凄くいい笑顔で酷い事を言われた。


(ナナ……お兄さん頑張ったはずなんだけど……)


 二人の全力行動のおかげで、何とか夕日が半分になった頃、街道に出た。



ガタガタガタ



 重みがあり過ぎて、台車が悲鳴を上げている。

 

「なぁ……」


「兄さんどうしたの??」


 荷台の上から、台車の後ろ側を押しているナナに話しかける。


「このまま街に入るだろ??」


「そうなるね」


 いつもより、にこにこして楽しそうなナナ。


「前を必死にパンドラさんが押して、後ろはナナが押してるよな??」


「うんうん」


「オークが3体ビチビチに積まさっていて、そこに俺が座っている……」


「そうだねぇ」


「絵図ら的に最低野郎!?」


「き、気にしなくても良いのでは?? 実際、全部エント君が倒した訳ですし……」


 前で台車を引きながら、少しこちらを振り返ってフォローしてくれるパンドラさん。


(凄く良いフォローのはずなのに、箱が邪魔して真横を向いているから、伝わんないよ!!)


「気になるなら、怪我を装ってオークと並んで寝とけば良いでしょ??」


「……」




 やってみた。




 オークと並んで横になる。


 そっと、首を隣に向けると、白目を開けたオークさんの顔が、台車の振動により、可動範囲がおかしいその首が、激しく上下して凄い絵図らになっていた。


「……ナナ」


「なぁに??」


「無理ぃいいい!!」


「兄さん……選択しないという選択は、存在無い場合もあるんだよ。ぷ」


「いやぁああああああ!!」



閑話休題



 台車を返却し、オークを納品した俺達はクタクタになりながらも、楽しみにしていた査定結果を三人で待っていた。


「エント、査定結果が出たぞ!!」


(来た!!)


 『肉は割ってみないと分からない』と言う言葉があるが、オーク納品は、まさにそれに当てはまる。


「エント兄さん、楽しみだね!!」


「フ、フーバさんに期待です」


 ゴクリと喉を鳴らし、緊張感を(かも)し出すパンドラさん。

 

「はっはっは!! そんな事言っても、今回はおまけはしねぇぞ。それよりもだ。1日で3体討伐とは無茶しやがる。おい、パンドラ!! ギルド職員なら引き際を間違う前にちゃんと止めるんだぞ!? わかってんのか!?」


 いつも厳ついが優しいフーバさんの目が据わり、真剣な眼差しでパンドラさんを刺す。


「は、はい!! 頑張ります!!」 


「……ならいい。仲間は大切にな」


 ため息と一緒に、少し寂しそうな、それでいて何処か懐かしそうな目で見詰めるフーバさんがいた。


 その後、俺とナナも少し注意された後、待ちに待った査定結果を聞く。


「ゴホン。オーク3体分の重量は625ロキだった。肉質はまずまず良好って所だな。牙3本と魔石3個も合わせて、合計金貨3枚銀貨80枚でどうだ??」


「「「おおお!!」」」


 俺達の稼ぎで、過去最高益が出て思わず声が漏れた。


「まぁこの時期は、肉が出回りにくいのもあって、単価は高めだからなぁ。肉屋の連中も有り難がってたぞ」


「ロキ単価で銅貨55枚……前回より5枚多いのはやはり肉質の差ですよね??」


「お、お前……この短時間で計算したのか!?」


 フーバさんは豆鉄砲でも当たったかのような顔で驚く。


「え、えぇ。そんなに変ですかね?? ナナも計算出来るだろ??」


「ん〜何とか解けるかな??」


「ふはははは!! こりゃたまげたぜ。エントとナナなら俺の後を任せられるんじゃねぇか!? おっと、質問の答えだが、その通りだ」


 ギルド的に情報を開示し過ぎて、不利益が出るのを避けたいのだろう。


 フーバさんは、それ以上は答えないという顔で笑っている。


 金貨3枚に銀貨80枚を受け取り、3人で積み立て金を差し引いてから分配した。


 1人当たり金貨1枚銀貨13枚。


「やったぁ!!」


「これでやっと……」


 そう、明日は休暇だ!!

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いつも読んで下さりありがとう御座います!

劣等魔族の成り上がり〜病弱なこの子の為にダンジョンで稼ぎます〜


こちらの新作も是非お楽しみ下さい!
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