表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/160

第68話 ランクアップ

 


「や、やりましたよぉおおおおおおおおおおおお!!」



 次の日ギルドに行くと、パンドラさんはまるで鼻から煙が出るくらい興奮してやって来た。


「おはよう〜〜パンドラさん……眠い……」


「ナナ、挨拶はちゃんとしないと駄目っていつも言ってるだろ??」


「は〜〜い」


 年頃と言うよりは成長期だし、気持ちは分からなくも無い。


 俺もここ最近、朝起きるのが辛いからな。


「おはよう御座います。今日は黄色ですか……よく似合っていますね」


「ぶひゃ!? あ、有り難う御座います……って、そうじゃありません!! ランクアップですよ!! ランクアップ!!」


「お〜〜なんだか良くわからないけど、やったね!!」


「はい!! ナナちゃん、FランクからEランクですよ!?」


 自分が担当するパーティの初めてのランクアップだし、勿論おれも素直に喜んだ。


「おおお!! 初めてのランクアップですね!?」


「薬草のクエストと昨日までのゴブリン討伐数で、問題なく書類が通りました。ギルドカードの変更手続きをして来ますので、お二人のカードをお借りしても良いですか??」


 そう言って、俺とナナのカードを受け取るとバタバタと慌て奥に消えて行った。


(休暇の件も昨日の魔石報酬を考えれば、予定よりも少し早く取れるかもしれないな)


「おいおいこんな坊主が、Eランクなんて早過ぎるだろう?? ギャッハッハ!!」


 この声は……


「兄さん、来たよ!! いつものドームさんだよ!?」


「ナナ……ドーンさんだ。ちゃんと覚えて置かないと先輩に失礼だろ??」


「てめぇら、喧嘩売ってんのか!? あ゛ぁ!?」


(しっかし、よくもまぁ飽きずに俺達に絡んで来るよなぁ……少しやり方を変えるか??)


「そんな事はないですよ。あれ!? もしかして、僕らにお祝いを言いに来てくれたんですか!?」


「そんなーー」


「ーー皆さん聞いて下さい!! もうすぐBランクになられるドーン先輩が、こんな駆け出しのランクアップを気にかけてくれました!! 僕は今!! 猛烈に感動しています!! ドーン先輩みたいな良い冒険者は中々居ません!! なぁ妹よ!?」


 ナナはうんうんと大きく頷く。


「ちょ、ちょとまて……そ、その辺に……」


 ドーンさんとその周りにいた仲間達もおろおろしだす。


「いーーや、止めませんとも!! きっと、ドーンさんは近い将来、ヘルメスの……ヘルメスの勇者になるはずです!! きっとそうに違いない!!」


 周りの冒険者達から注目を浴び、ざわざわと囁き声が広がると、ドーンさん達は逃げるようにギルドを出て行った。


 去り際はあの名言を残して……


「お、覚えてろよ〜〜!!」


 そんな彼らを優しく微笑みながら見送った頃、パンドラさんが新しいギルドカードを持って来た。


「な、何かあったんですか??」


 ギルド内の異様な空気を感じて彼女はそう聞いて来た。


「ドームさんに遊んで貰ったの!!」


 失礼な、遊んでなどいないぞ妹よ。


「ナナ、ドーンさんだ。それより、それが新しいギルドカードですか!?」


 パンドラさんが渡してくれたカードは、木造から鉄製に変わっていた。


「うわぁ……なんだろう。これは滅茶苦茶嬉しい気持ちになりますね!!」


「ふふふ、エント君は、普段大人っぽい事ばかり言うのに、たまに少年らしくなりますよね。そこが……しょの……あれですけど……」


 パンドラさん、男は少年の心を忘れちゃいかんのですよ!!


「兄さん兄さん、ナナに付けて!!」


「はいはい。て言うか、ナナの方が身体大っきいんだから、自分で出来るだろ!?」


「気持ちの問題だよ。兄さんに掛けてもらった方がナナは嬉しいのです」


「はぁ……甘えん坊は、中々直らんな」


 言われるまま首から掛けてやると、嬉しそうにそこら辺をぴょんぴょん飛び跳ねる。


「兄さんのも掛けて上げーー」


「あ、そりゃは!! 専属として私が、かけますですよ!?」


「ええ〜〜?? パンドラさんずるい!!」


 ぷくっとほっぺたを膨らませるナナ。


「ナナちゃんは掛けて貰ったでしょ!? だから私の番なんです!!」


「だ、誰でも良いから早く掛けてくれ。受けれるクエストも増えた事だし、その辺も相談しなくちゃいけないからな」


 そう、ランクアップすれば受注出来るクエストも増え、実入りの良いものがあるかもしれない。

 

 結局、俺のカードはパンドラさんが掛け、パンドラさんにはナナが掛ける事になった。


 お気づきの通り、実はパンドラさんも冒険者としての登録をしている。


 名前だけだけどずっと前から登録していたと聞いていたが、俺達と一緒にパーティとして活動していた結果、同じタイミングでEランクに上がって鉄のカードになったのだ。


(鉄の冒険者か……ちょっとカッコイイ)


 そんな楽しい儀式??も終えて、さっそくEランクからDランクまでのクエストをクエストボードで探してみた。


【高貴なお方の護衛補助】


 内容 Bランク冒険者の補助役


 募集人数 残り5名 


 期間 2日間 


 報酬 一人銀貨50枚



「これはBランク冒険者と同行して護衛経験を積む事と、運が良ければ権力者の方や高ランク冒険者に、名前を覚えて貰える事が出来るクエストですね」


「なるほど、こっちのも良さそうですがどうなんですか??」



【オーク討伐依頼】


 内容 オーク肉の納品

 

 募集人数 無制限 


 期間 在庫次第


 報酬 ロキ当たり銅貨50枚


 因みにロキは、俺がいた世界のキロとほぼ同じ重さの単位だ。


「オークは戦闘を避けられませんし、リスクが高いですが討伐報酬と納品報酬の両方稼げるので、とても良い依頼だとは思うんですが……」


「もしかして、討伐しても運ぶのが……大変とか??」


「そ、そうなんです。それだけじゃ無くて、その場で血抜きや内蔵処理もしないと肉質が悪くなるらしくて、依頼主の要望が高い事もあって中々手間で冒険者さんの人気が……」


「……なるほど」

 

「ナナはこれが気になる!!」

 

【蜂蜜畑の調査】


 内容 畑に置いてある巣箱が、毎日少しづつ荒らされて、困っています。原因究明と野獣や魔物であれば討伐願います。


 募集人数 2〜3人


 期間 原因究明及び討伐


 報酬 全部で銀貨30枚とハチミツ(・・・・)を僅かばかり。


「……ハチミツが目当てだな」


「うん!!」


「た、確かにハチミツはみりゅく的でじゅる……ね」


「パンドラさん……箱下から涎が溢れ出てますよ」


「ふぉう!!」


(ふぉうじゃねぇよ!!)


「だけど、報酬が凄く安いですね??」


「はい、こういった依頼の場合、戦闘の可能性も無くは無いですし、ギルドとしては駆け出しの冒険者に行かせる訳にも行かず、Cランク程度の実力者に対応して貰えれば本当は安心出来るんですが……」


「ああ……なるほど。折り合いがつけにくいんですね」


「はい、依頼者側としては、なるべく安く調査して貰いたいし、あわ良くばこの報酬で討伐までして貰えるかもって狙いもあるんですよねぇ……」


「だからDランクの依頼で、この報酬ですか……」


「ギルドとしてもなるべく冒険者ランクを踏まえて、安全な範囲で依頼内容と実力を調整してクエストを作成しているんですが、それでもバランスの難しい部分がどうしても出て来ます。なのでこう言った美味しく無いクエストは、どうしても残り続けるんですよねぇ……」


(ギルドとしは、処理して欲しい案件なんだろうけど……ん?? これって……)


「そう言えば、この依頼の書き方って曖昧過ぎませんか?? 原因究明及び討伐と書いてますけど、原因究明だけして銀貨30枚貰えるのか、討伐までして30枚なのか分からないんじゃ無いです??」


 パンドラさんの顔はどんどんと曇り、やがて死んだ魚の様な目になって不気味に笑い出した。


「ふ……ふふ、そうなんですよ。ギルドとしては明確にしたいのに、中々譲ってくれませんし、ダメ元で良いからとクエストを発行したのは良いものの、結局その後は依頼側、冒険者側からの両方からクレームが巻き起こり、お詫び係だった私の心は毟り取られ、踏み付けられて逝ったのですよ……フフフ」


(……腐海に手を出してはならんな)


 他にめぼしいクエストは無かったので、俺達は相談した後クエストを選び準備を開始した。




 結局俺達が選んだクエスト、それは【オーク討伐依頼】だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつも読んで下さりありがとう御座います!

劣等魔族の成り上がり〜病弱なこの子の為にダンジョンで稼ぎます〜


こちらの新作も是非お楽しみ下さい!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ