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希望の旗の物語(仮題)  作者: アレキサンドル スヴォーロフ
第一章
9/12

奇襲が

どうもアレキサンドル スヴォーロフです。

前回に引き続き申し訳ない。

予定外の用事が入ってしまって、家に帰って来てからの投稿になってしまいました。

今度からは気を付けますのでどうか寛大な心で赦して欲しい(土下座)

では今回も拙作を楽しんでいただけると嬉しいです。

かの冒険者の姿を見たとき私のギフトは彼の未来を私に見せた。それは確かに華々しいものだった、とある賢者は手記で綴っている。


「来た、五だ、装備が多少いい、おそらく巡回だ。」

ヘルマが敵を発見する。

「最初の巡回は全滅させる、いいな?」

全員が頷く。

「なら、予定通りだ。ヘルマ、クェウル、アステルの射撃で三か二、相手の怯んだ隙に俺とコーブが残りを叩く。始めの合図はヘルマ、頼む。」

「了解」

全員が息を潜め、ヘルマの合図を待つ。

音がよく聞こえる。遠くの鳥や獣の鳴き声や風が木々の間を抜けるの音だけでなく自身の心臓の動く音さえも。

「作戦開始」

ヘルマの呟きのような声すら聞き漏らさず、俺達は動き出す。

コーブと俺は奇襲のために潜伏場所の茂みをゴブリン達に近い所に移る。

アステルは詠唱を終え、ヘルマ、クェウルは矢をつがえ、照準を定め始める。

シレルは三人の護衛として警戒を続ける。

俺とコーブは潜伏場所の茂みに到着し、すぐに襲撃できるような体勢を取り、息を潜める。

ゴブリン達が少しずつ近づいて来る。緑の肌に、一マイトほどの小柄な体躯、その鼻は潰れ垂れており、その細い目はいやらしく垂れ下がり、その口は巡回中だというのに絶えず理解できない言語を出し続ける。

三十マイト…二十五マイト…、と近づいて来る。

二十マイト…十五マイト…十マイト…。

俺達の横を矢が、わずかに遅れて風が駆け抜ける。

矢を頭に受けたゴブリンが二体倒れ、風の刃がゴブリン一体の首を撥ね飛ばす。

矢の的中を見た俺とコーブは茂みから飛び出し、残りのゴブリンに迫る。

状況を理解できていないゴブリン達は動揺し、慌てて動き出そうとする。

だが、動き出そうとする二体のゴブリンを俺とコーブの剣が切り裂く。

周りを見渡すと、ゴブリンの死体が溢れている。

胸や腹を切られ血と内臓を垂れ流すもの。

目を見開きまるで生きているかのような顔の首。

頭に矢が突き刺さり、そこから脳漿を漏らすもの。

倒れているゴブリンの死を確認すると、俺は四人を呼ぶ。

六人揃うと、俺は言う。

「作戦成功だ。」


「それじゃあ、今日の作戦を説明しようか。」

森に向かう道を全員で歩いている途中、俺は話を切り出す。

「まず、昨日の戦闘場所付近でゴブリンの巡回路になっている獣道を探す。そうしたら、その獣道沿いに潜伏し、ヘルマ、クェウルさん、アステルの三人の射撃で敵を動揺させたところで、俺とコーブが突撃、殲滅、って流れ。質問は?」

「あの、私は何を?」

シレルが手を挙げる。

「すまない、言ってなかった。シレルには三人の射撃準備中の警戒をしてもらいたい。勿論、射撃後はヘルマやクェウルさんも警戒に入るからそんなに大変ではないと思う。」

「わかりました。これでも杖術には少しは自信があるので三人の背中は任せて下さい。」

シレルは持っている長杖をブンブン振り回す。

「それなら、安心だ。他には?」

次はアステルが手を挙げる。

「は~い。」

「どうした、アステル。」

「私が使うのは風の遠距離攻撃魔法で良いの?あと、クェウルさんの魔法は使うの?」

「ああ、アステルの使う魔法はそれでいい。クェウルさんの魔法は取り敢えず、温存する。今日で終わりじゃないからね。」

「わかったわ。」

「オーケー。」

「他には?」

コーブが手を挙げる。

「失敗した場合は?」

「基本的にはお前や俺を盾にしての撤退だが、その時の状況による。

もし、ゴブリンが想定よりも遥かに多く出てきた場合、作戦を変更して、アステルの即応魔方陣によるトラップや一撃離脱を繰り返して数を減らしながらの離脱。

ドラゴンなどの予想外の介入が発生した場合は、作戦は即刻中止して、なりふりかまわず離脱。

どのような場合でも、クェウルさんには村まで先に行ってもらって村人の避難を行ってもらいたい。」

「わかった。それなら、離脱時は離脱路の確保第一で、クェウルさんの護衛をする感じでいいか?」

「それで頼む。」

「わかった。皆、その時はよろしくね。」

「まあ、ゴブリンに遅れを取る奴なんてここにはいないだろうから、前者の状況はなっても問題ないだろうけどな。ハッハッハッハッ。」

ヘルマがそう言い、笑う。

「ああ、その通りだな、兄弟。」

「まあ、問題ないわね。」

「そう言う訳ですから、始めの状況になっても安心して村まで戻って下さい、クェウルさん」

それに、コーブとアステルも続く。

「ありがとう、みんな!…あと少し気になってたんだけど何でみんな私のこと、クェウルさんって呼ぶの?」

「えっ、何でって言われても…依頼人側の人ですし、歳も俺らより遥かに上ですし。」

俺は少し困惑するも理由を答える。

「ん?…あっそうか、そうか、こっちは長耳族の村じゃあないから…ごめん、私勘違いしてたみたい。長耳族の村では、一回寝食を共にした後は呼び捨てで呼び会うのが普通なんだ。」

クェウルさんの説明に納得していると、ヘルマがクェウルさんに尋ねる。

「なら、クェウルって俺たちも呼びましょうか?」

「いいの?!でも、人族ってそう言うのめんどくさいんじゃないの?」

「いいんですよ、そう言うのがめんどくさいのは教会だったり、商人だったりなんで。俺らみたいな冒険者はあんまりその辺り考えない人種だと思うので。許可さえ取れれば関係ないと思いますね。」

「なら、敬語も要らないから普通に話をしようよ!」

クェウルさんは顔を輝かせて俺たちに言う。

「そこまで言うなら…じゃあ、改めてよろしく頼むぜ、クェウル。」

「後ろは任せた、クェウルさ…いや、クェウル。」

「短い時間だけど女三人仲良くしようね、クェウルちゃん」

「改めてよろしくお願いします、クェウル」

ヘルマ、コーブ、アステル、シレルが答える。

そして最後に俺が言う。

「よろしく、クェウル。頼りにしてるぞ。」

クェウルが胸を張って答える。

「まっかせといてよ!」

こうして、俺たちは森に入っていった。


あの戦いの後、軽い昼食を食べ終えた俺たちは、ヘルマの偵察の帰りを待っていた。

「ヘルマ、見つけられるかな?」

「日も上がってきたし、もうそろそろ次もでてる頃でしょう」

そんな話をしていると後ろから声がしてくる。

「いや~すまん、遅くなった。次の巡回は八だ。」

それを聞くと、全員が出発の準備を始める。

「あっそうだ、後衛の四人聞いてくれ。次は八と数が多い。できるだけ射線の通ったところに陣取るから援護頼むよ。前衛でしのいで、後衛で削ろう。」

「わかった、わかった。」

「了解、アレク。」

「オーケー、アレク」

俺たちは、再び森の中に入っていった。


そうして、潜伏場所に入ってしばらくすると獣道の先から、ゴブリン達のうるさい声が聞こえて来る。

小さな声でコーブに話しかける。

「コーブ、次はお前、ゴブリンを集めるのに集中してろ。俺もお前のカバー中心に動く。」

「わかった。」


ゴブリンが五マイトほどのところに来たとき、前回と同じように、矢と風の刃が飛ぶ。

矢は二匹のゴブリンの腹と腕に突き刺さり、風の刃は別のゴブリンの体に大きな裂傷を作る。

前回と同じタイミングで俺たちは飛び出し、コーブが細い獣道を塞ぐようにして立ち、盾を剣で叩き、ゴブリン達の注意を引く。

「邪悪なる魔物よ!その身を土に返してやろう!」

彼は後ろの俺が耳を押さえたくなるほどのの大声を放ち、ゴブリン達に盾を構え突撃する。

正面から飛びかかってきたゴブリン二匹の内一匹を剣で切り裂くと、少し遅れて飛んで来た一匹を盾で殴るようにして跳ね返し、そのまま二マイトほど吹き飛ばす。

吹き飛ばされたゴブリンは木に体を強か打ちつける。

「甘い!」

俺はコーブの後ろに続き、コーブで射線を切るようにコーブに飛びかかってきたゴブリンを直剣で貫く。

そして、剣をゴブリンの体から蹴り抜き、ゴブリン達に剣を構え直す。

ゴブリン達はこちらに向かって武器は構えるが、反撃を恐れ、攻撃を戸惑っていた。

そこに、遠距離攻撃の三人の第二射が入る。

先程と同様の攻撃がゴブリン達に再び降り注ぎ、三匹のゴブリンがその命を散らす。

その中には一射目で腕に矢を受けたゴブリンもいたが、見事に頭を撃ち抜かれていた。

俺はコーブの跳ね返したゴブリンの側まで行き、その体を押さえつけ、首を切り落とす。

こうして一日目は終わりを迎えた。

誤字、脱字の発見にご協力いただけると幸いです。

感想、評価、レビュー待ってます。

これらをしてくれると、作者の日々のやる気に繋がります。

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