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希望の旗の物語(仮題)  作者: アレキサンドル スヴォーロフ
第一章
7/12

村で

どうもアレキサンドル スヴォーロフです。

今回は遂に戦闘シーンが入りました。

今回の戦闘は触りだけですが次回は戦闘がメインになる予定なのでよろしくお願いします。

では、今回も拙作を楽しんでいただけると幸いです。

彼は理知的であり切れず、感情的な側面も少なからず持ち合わせていたわ。彼は若いときは完璧ではなかったと思う。でも当時は、そんな彼だから、皆ついていったのよ、とはある魔法研究者の談である。


馬車を乗り継ぎ、馬車に揺られて丸半日。日が西に傾き始め、農家達の仕事も佳境に入る、そんな時間に俺達は依頼のあった村、に向かっていた。

俺達は依頼の報告に依頼人である村長の家に向かっていた。

「ねえ、アレク、まだ着かないの?」

「そうだねぇ、もう少しだと思うんだけど…」

「麦、じゃが、川しか見えないな。」

「仕方ないですよ、レーン川の支流の流れるこの辺りはオーディン神域一の穀倉地帯ですから。」

そんなことをいいながら、俺達はもう一時間は歩いていた。馬車に揺られて半日、ある程度疲労も溜まって来ている。村に近付くほど緩やかな丘陵地帯になって来ている為、足への負担が増している。

「村、見えたぜ!」

少し先行していたヘルマは丘の上から俺達のいる反対側を指差す。俺達はヘルマに追い付くと村を確認する。

丘の上からは丘を下ってすぐのところに村があるのが見えた。川が村の奥に見える森から流れて来ており、

村はその川のすぐ側に立っている。

村を確認すると、俺は隣にいたアステルとコーブに尋ねる。

「アステル、魔力の流れに不自然なのはない?」

「ええ、特に目立った変化は感じられないわね。この感じだと何かの儀式をしているかの可能性は低いわね。」

「コーブ、ゴブリンが頭を欠いた状態で奇襲以外の何らかの戦術的、魔法的な小細工をしていた前例は騎士団にあったか?ちなみにうちの村にはなかった。」

「まず、ゴブリンの常套手段の奇襲を除く戦術的な細工はあまり見られなかったが例が無いわけじゃない。だがそれも殆どは魔法使いが行うことが多い。

それも可能性が低いなら、草を結ぶ、石や木の棒などを投げてくるとかだな。たまに中位以上の魔法を使うゴブリンいるとは聞いたことがあるが、魔法を使うときに魔力の隠蔽や偽装みたいな魔法的な小細工をしているって話は聞いたことはない。」

「なるほど、わかった。ヘルマ、この開けた畑で奇襲はないとは思うけど先行して警戒よろしく。」

「りょーかい。じゃあ、村の前で。」

そう言うとヘルマは村の方向に走って行く。走って行くのを見送ると残った三人に向き直り、言う。

「それじゃあ、行こうか。」


村の前まで来ると、先行していたヘルマが待っていた。

「待たせたな。どうだなんかあったか?」

「いや、特にはない。森も特に騒がしいってこともなく、住んでいる人、畑、川にも変な点もない。至って普通の村だな。」

それを聞いた後、シレルに尋ねる。

「そうか、ありがとう、ヘルマ。シレル、村人に疫病や呪いなんかの兆候はあるか?」

「いえ、今のところはないように思います。村の中に入ってからも観察は続けますが、おそらくそれらの問題は発生してない、もしくはさほど拡大してないか、と思います。」

「わかった、続けてくれ。取り敢えず、危険も無さそうだから村に入ろうか。」


村はヒレル村といい、その中の様子は極めて普通であり、のどかそのものであった。

そうして村の中を歩いていると、俺達は村長の家と思われる比較的大きな家に到着した。俺は玄関ドアをノックする。

「すいません!依頼を受けた冒険者でーす!誰かいませんかー!」

「はーい。今開けまーす。」

家の中から明るい声がして、ドアが開く。中から容姿の整った緑髪の耳長人族(エルフ)と思われる女性が出てくる。

「待ってたよ、冒険者さん。奥に上がって、お爺ちゃんが待ってるから。」

俺達は女性に招かれ、土間を通り、家の奥の部屋に通される。

そこには、布団に横たわる年老いた人族の男性がいた。女性が男性に話かける。

「お爺ちゃん、冒険者さん達来たよ。」

「おぉ、そうかそうか。」

そうすると、男性はひどくゆっくりとした動作で起き上がる。体はひどく痩せ、頬が痩けていたが、しっかりとした声で話始める。

「こんな姿ですいませんな。来訪を感謝しますぞ、冒険者の方々。私はこのヒレル村の村長を努めておりますエッボ・ヒレルと申します。それでこいつはうちの居候のクェウル。」

「クェイナの子、クェウル・ブオナローティです。半耳長人族(ハーフエルフ)です。よろしくお願いします!」

そう言って、二人は頭を下げる。それに会わせるように俺も頭を下げ、自己紹介をする。

「よろしくお願いします。俺はこのパーティーのリーダーをしているアレク・ミハです。それでこっちの四人がパーティーのメンバーです。」

そうして、アステル、ヘルマ、コーブ、シレルの順で挨拶していく。

挨拶が終わったのを見て話を切り出す。

「それじゃあ、依頼の話に入りましょうか。依頼の内容の確認をしたいのですがよろしいですか?」

村長は答える。

「大丈夫じゃ。」

「では、ゴブリンの討伐依頼とのことですが…」


「…という事でよろしいですか?」

「うむ、問題ない。森と村の案内にはこのクェウルをつけるのでの、何かあったらこやつを頼るとよい。」

「わかりました。」

村長は俺との話を終えるとシレルの方を見て言う。

「あと、これは依頼とは別のお願いなのだがの、神官のシレルさんと言ったか、貴方の力を貸して欲しいのじゃが、よいかの?この村には神官がおらんくてな、村人を診てくれないかの。」

「アレク、私としてはこのお願いを聞きたいのですが、よろしいですか?」

村長の願いを聞いたシレルはすぐに俺を見て、許可を求める。

「ああ、構わないよ。でも俺達は依頼で来ているからね。明日に支障のない範囲でお願いね。」

「わかりました、ありがとうございます。では村長、明日からは依頼に出てしまうので今日だけになりますが、神官の勤めを果たしましょう。」

「コーブとアステルを手伝いに連れていくといいよ。人手が足りないだろうからね。二人とも構わない?」

「もちろんだ。」「ええ、大丈夫よ。」

二人の助力を聞くと本当に嬉しそうな顔をして頭を下げるシレル。

「重ねて感謝します、アレク。コーブ、アステル、お手伝いよろしくお願いします。では、早速行きましょう、どこで診ればいいですか?案内お願いします。患者が私達を待ってます。」

頭を上げると直ぐに行動しようとするシレルを見て、俺は言う。

「うちの神官が早くいきたいみたいなので話はここまでにしましょうか。」

「そうだの、ではクェウル、冒険者さん達の案内を頼むぞ。」

「わかった。じゃあ、行こっか。」

クェウルさんがそう言うと俺達は立ち上がり、部屋を出ていく。


村滞在中の家、井戸などを案内された後、診療所となる村の仮設教会に着いた。

「では、私達はここで。そちらも頑張って下さい。クェウルさん、私達はここで待っていればいいんですよね?」

「うん、さっき暇していたの衛兵にここでやるって伝えたから、もう少ししたら人が来始めるはずでだよ。」

「それじゃあ、三人とも頑張ってね。俺たちも行こうか。」

俺がそう言うと、シレル達は教会の中に、俺達は森の方へ向かって行った。


「じゃあ、俺たちも調査を始めようか。準備は大丈夫?ヘルマ、クェウルさん」

俺は森の前でヘルマとクェウルさんに向かって言う。

「オーケー、始めようぜ。」

「大丈夫だよ~。それじゃあ、私が先行するからついてきてね。」

クェウルさんはそう言うとガンガン森の中を進んでいく。


しばらくすると、俺達は土に猿の足跡のようなものが付いている場所を見つけた。

「三…いや四かな」

「ううん、これは五だよ。ここ、ここ。」

クェウルさんは地面の一ヶ所を指差し、ヘルマはそこを見る。

「おおー、ホントだ。やるねえ、流石、エルフ。」

「クェウルさんもヘルマもよく分かるな。俺にはさっぱりだよ。」

「これでも生まれてからの百年くらいは森で生きてたからね!」

無い胸を張るクェウル。

「ちなみにおいくつで?」

ヘルマが尋ねる。

「多分百三十歳くらいかな。こっちに来てからは大体二十年なんだけど、森にいたときはあんまり時間を考えてなかったんだよね。」

「エルフが長命なのは知ってたけどここまでとは…。ちなみに一般的な寿命ってどんなもんなの?」

「大体三百歳が寿命かな。でも、長い人だと四百歳くらいの人も居たし、私が知ってる限りだと六百歳が最高かな。」

俺は答える。

「六百歳か、それはすごいな。そんなに生きてみたいも…」

「静かに。」

クェウルさんが話を遮る。

「右前、五十マイト先、ゴブリン三。」

クェウルさんはゴブリンのいる方向を鋭い目で見据える。

「ヘルマ。」

「オーケー。」

ヘルマは魔物狩りの弓に矢をつがえる。

「クェウルさん、拘束いける?」

「問題ないよ。」

「射撃、拘束、突撃。ヘルマ一匹、俺二匹で行く。合図は出す。」

「了解だ。」「わかった。」

俺達は慎重にゴブリンに近付いていく。


しゃがみ、直剣を抜いた俺はゴブリン達の後ろに十分近づいたところで、後ろの二人に手で合図を送る。

事前の作戦通りにヘルマの矢が飛びゴブリン一匹の側頭部を撃ち抜き、動揺したゴブリンにクェウルさんの『妖精行使』による拘束が発動する。足下から蔦が巻き付いていく拘束が発動したと同時に俺は飛び出す。

「オラァ!」

蔦で脇の下まで拘束されているゴブリンの一匹をを肩口から脇腹にかけて蔦ごと切り裂く。

切り裂いたゴブリンが倒れきるのを見終えるまでもなく振り向き、振り返りざまにもう一匹のゴブリンの喉元に剣を突き刺す。

直ぐに、ゴブリンの体を蹴り押すようにして喉元から剣を引き抜くと、血が噴水のように吹き出す。

蹴り押され仰け反ったゴブリンはそのまま後ろに倒れ、動かなくなった。

駆け寄って来たヘルマと俺はハイタッチをする。

こうして俺達のはじめての戦闘は幕を閉じた。


誤字、脱字の発見にご協力下さると幸いです。

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