酒場で
どうも、アレキサンドル スヴォーロフです。
小悪党ってなかなか書くの難しいです。
早く戦闘とか冒険に入りたいですよね。私もそう思います。
あと、一話挟んだら戦闘なのでどうか、そこまで待っていただけると嬉しいです。
騎士団を出て、冒険者になった事は後悔してない。何故なら、彼らに出会い、彼らと共に冒険できたから、とはある騎士団長の談である。
「いくぞ、コーブ!!こいつら、叩きのめすぞ!」
「おうよ、兄弟!てめえら、覚悟しやがれ!!」
殴り合い、罵り合い、蹴飛ばし合う。客は逃げ、店主は怒り狂い、悪漢と親友+知らない人が殴り合う。そんな地獄がそこには広がっていました。
トイレから出て来たら、親友と知らん人が見知らぬ柄の悪い男達と殴り合ってました。 訳がわかりません。どういう状況なのかまったく理解できません。
こういう時、どうしたらいいですか?
ヘルマ・ミハは気分がよかった。
何故なら、念願の夢だった冒険者になれたからだ。依頼は見つかり、気の良い担当に出会い、宿も確保できた。
ヘルマ・ミハは最高に気分がよかった。
親友達に今回の旅の感謝を伝えようと思ったがひとりは傷んだ物でも食べたのか腹痛を訴え、トイレへ。もうひとりは、甘味を求めて、外の屋台に行ってしまったため、スタートダッシュを外してしまったような気持ちになった。彼は席を探して店のなかを歩いていた。
やっと三人分の空いてる席を見つけたとき、肩に男がぶつかってきた。男は言う。
「どこ見てんだ、クソが!」
ぶつかってきたのは、そっちだろうと思ったが、ヘルマ・ミハは気分がよかったので我慢した。
ヘルマ・ミハは少し気分が悪かった。
だが、二人の親友のため、席を取っていないといけない。少し暇だったので、葡萄酒とつまみを頼んで待つことにした。葡萄酒もつまみもうまい。だが、ヘルマ・ミハの気分は晴れなかった。あの男を含めた柄の悪い男達が下品に騒いでいるためである。あの男が男達の中心らしく、話し出す。
「さっきさぁ、男とぶつかったんだがよう。その男、ぶつかった俺見るとビビって逃げていったんだよ。その姿がだせえのなんのって。プッ、ヤバい思い出しただけで笑えてきた。」
別に逃げたわけではないと思ったが、ヘルマ・ミハは我慢した。
ヘルマ・ミハの気分は最悪だった。
だが、親友二人のため席を取っていないといけない。ヘルマ・ミハが入り口を見ると、親友の一人が神官らしき女性と談笑しながら、入って来るのが見えた。ヘルマ・ミハは見つけてもらうために手を振ろうとした。その時、あの男達の一部が二人に絡んだ。二人は無視してこちらに来ようとする。二人が声を上げる。
「やめてください!!」
「勝手に体にさわるな!この下衆どもが!」
ヘルマ・ミハは我慢…できなかった。
極東には『大神の笑顔も三度まで』という諺があるらしいが、それにしたって、限界だ。
ヘルマ・ミハは声を上げる。
「「その汚え手をどけやがれ!!(どけろ!!)」」
声が被った。声の主の方を見る。背の高い、鎧を着た騎士がいた。ヘルマは尋ねる。
「てめえ、名前は?」
騎士は答える。
「コーブ・フォン・ベイトル。お前は?」
ヘルマは答える。
「ヘルマ・ミハ。手伝え、あいつら、潰すぞ。」
「わかった。」
あの男が二人を見る。
「今、俺達を潰すって聞こえたんだけど。今なら、俺、土下座すれば許してやるけど、どうなの。」
コーブが答える。
「同じ台詞を返してやるよ。このクソ野郎。」
男が顔を赤くし、肩を振るわせながら、叫ぶ。
「そうか、そうか、よほど死にたいらしいな。お前ら、あいつらぶち殺せ!!」
アステル達の方にいた男達も向かって来る。二人は男達をなぎ倒そうと拳を固める。ヘルマが叫ぶ。
「いくぞ、コーブ!!こいつら、叩き潰すぞ!」
「おうよ、兄弟!てめえら、覚悟しやがれ!!」
男達と二人がぶつかる。
そして冒頭に戻るのである。
「おいおい、なにしてんだ!ヘルマ!!」
ヘルマは殴り合いながら、叫ぶようにして答える。
「やっと便所から出てきやがったな、アレク!こいつらぶっ殺すから手ぇ貸せ!!」
「はあ!?」
そんな状況で戸惑ってると、店の入り口辺りにいたアステルに呼ばれる。
「アレク、こっち!」
アステルのところまで急いで行くと、アステルの傍らには見知らぬ女性がいた。
「アステル!これはいったいどうなってる?それとその女性は?」
「アレク、私達もよくわからないんだけど多分、ヘルマ達は、私達があの男達に無理やり体を触られたのに、怒ってるんだと思う。ヘルマの隣のコーブって奴はこの人の連れらしいから。そうよね、シレルさん?」
アステルはそう言い、傍らの女性を見る。女性は俺達より少し年上でおっとりした印象を受けた。アステルからシレルと呼ばれた女性は話し出す。
「はい、多分彼もそちらのヘルマさんと同じ感じだと思います。彼、正義感が強いので…」
俺はアステルとシレルさんに尋ねる。
「じゃあ、あいつらが最初になんかしたって訳じゃないんだな?」
「ええ。」「はい。」
二人は頷く。
「それならよかった。じゃあ、二人にお願いなんだけど、衛兵を読んできてくれないかな?この騒ぎを納めたい。俺は二人が呼んでくるまでに、多分無理だけど、止めてみるから。」
その答えを聞き、俺は安堵し、二人にお願いする。
「わかったわ。」「わかりました。」
二人は外に駆け出す。
「とは言ったけど、止まるのかな、あれ。」
俺は更に熱気を増している地獄に目を向け、一つため息をつくと、その方向に足を進める。
「衛兵だ!全員、武器を下ろして…って、あれ?」
私が連れてきた衛兵は状況を見て唖然としている。男達のはヘルマとコーブを含めほぼ全員床に倒れているのだ。荒い息をこぼしているもの、完全に延びているもの、様々だか殆どが立てる状態になくなってる。
「店の物こんなに壊しやがって、てめぇら、ぶっ殺してやらあ!!」
「落ち着け、おっさん!もう衛兵、来たから!衛兵、来たから~!」
唯一、この場で立っているのは顔を真っ赤にして怒り狂い、めん棒を振り回している店主と思われる人と、それを羽交い締めにして止めているアレクだけだった。
衛兵によるとあの男達はここらに最近やって来たチンピラの集まりだったらしく、俺やアステル、シレルさんが事情を話すと感謝すらされた。
店主の方も店で給仕をしてた自分の娘にちょっかい出されたり、あの男達が下品に騒ぐせいで客の入りが悪くなってたりしていたらしく、ヘルマとコーブはいくらか小言を言われていたが最終的には感謝されて、俺達五人の今回の昼飯代をただにしてもらう約束まで取り付けて来た。
俺達は男達を衛兵が連行するのを見送ると、客のいない店に入り、昼飯を頼む。
五人が丸テーブルの席につくと、ヘルマが切り出す。
「そういえば、コーブ。お前ら、どうしてこんな酒場にいたんだ?見た感じ騎士さんみたいだけど、騎士ならもう少し良いとこあんだろ。こんなチンピラのいそうな酒場じゃなくて。」
「そう言うな、兄弟。こっちもこっちで事情があるんだ…」
言葉尻が弱くなるコーブにシレルさんがつらそうに話しかける。
「でも、コーブ、他の人に面倒掛けたくないのはわかるけど、結局人数揃えないと…」
コーブはしばらく頭を抱えて、悩んでいたがやがて決断したのか、顔を上げる。そして、俺達三人に向き直り、言う。
「いきなりで悪いのはわかってるんだが、一つ頼みを聞いてくれないか?」
俺は答える。
「要件次第かな。俺達だってまだこの街に来たばっかの新米冒険者だからな。」
コーブは顔を綻ばせる。
「おお、君たちは冒険者か!なら、なおのこと都合が良い。それで、俺達の頼みだがな…君たちのパーティーに俺達を入れてほしい!」
「「「はあ?」」」
その後、シレルさんから説明があった。
シレルさんとコーブは同じ孤児院出身らしく、何でもその孤児院が少し前から続く不況の影響で倒産寸前だったらしい。それを知った二人は、孤児院を立て直そうと、貯金をほぼ全て崩し孤児院に送ったらしい。
だが、それでも、一時しのぎのような状態らしく、そのまま働いていても潰れるだけだと思い、一攫千金目指して、思いきって冒険者登録をしたもののメンバーが揃わず、大した依頼も出来ない状態だったらしい。 それで、メンバーをどう集めようか、相談しようと酒場に来たらあんなことになったようだ。
「なるほど、なるほど。うちと似たような感じか。なあ、アレク、アステル。ディオナさんが言ってた残りのメンバーはこの人達にお願いしねえか?」
話しを聞き終えた、ヘルマは暢気にそういう。
俺は答える。
「二人が問題ないなら、俺は構わないですよ」
「私も。シレルさんとは趣味が合いそうだし」
二人は俺達の答えを聞くと、目を丸くして訪ねる。
「本当か?加えてもらって構わないのか?」
「ええ、丁度俺達も騎士と神官は欲しいと思ってましたし。知らない人に頼むよりかは、少しでも知ってる人に頼みたいですからね。」
シレルさんとコーブが頭を机に押し付けるようにして、お辞儀をする。
「ありがたい!この恩は、我が剣に誓って忘れない!!」
「ありがとうございます。不肖なこの身ですがよろしくお願いします。」
感激を示す彼らに俺は答える。
「頭を上げてください。お礼を言いたいのはこちらもです。では、これからよろしくお願いします」
俺は右手をコーブの前に差し出す。
コーブは差し出された手を握り言う。
「ああ、これからよろしく頼む」
これが、俺達のパーティーを支えた続けた二人との出会いであった。
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