表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
希望の旗の物語(仮題)  作者: アレキサンドル スヴォーロフ
第一章
12/12

帰還へ

どうも、アレキサンドル・スヴォーロフです。

盛大に遅れてしまい、また半ば失踪のような形になってしまい申し訳ありません。

あと、多分これからは投稿が不定期になると思います。月に一から二本の投稿になると思います。

重ねて謝罪します。

次の投稿は新シリーズを書きたくなったのでそっちを書きます。そちらもよろしくお願いします。

そういう訳でこの作品の続編は多分そこそこ後になります。

更に重ねて謝罪します。

以上、そのうち投稿話数よりも謝った回数の方が多くなりそうで怖いアレキサンドル・スヴォーロフでした。

今回も楽しんでいただけるとありがたいです。


戦闘が終わり、他のパーティーメンバーが集まって話している中、俺と狼人は槍に穿たれ、動かなくなったリビングデッドを並んで眺めていた。

俺はその体に刺さる剣を引き抜くと、リビングデッドに火をかける。

「やっと死んだか…」

燃えるリビングデッドを静かに眺め、呟く狼人に俺は答える。

「そうみたいだな。」

俺は狼人の方を向き、言う。

「…それにしても助かった、あんたの助けがなかったら今頃、俺達は全滅だった。」

「こちらこそ。あんた達のパーティーがいなかったらあのリビングデッドに轢き殺されてただろうからな…」

狼人は深く息をついて尋ねる。

「…ああ、そうだ。近くに拠点を持ってるならそこで少し休ませてくれないか?森の反対側からあいつに休む暇もなく追いかけられたもんでヘトヘトなんだ。」

狼人はリビングデッドを見ながら、そう言う。

「聞いてみないとわからないが、多分大丈夫だと思う…ええと…」

名前がわからず口ごもっていると、狼人が答える。

「ああ、名前か?俺はフェンの子、ガルフ、冒険者で階級は銀だ、よろしく。」

ガルフと名乗った狼人は首に掛けていた装飾された銀の階級章をこちらに掲げる。

「アレクだ。つい先日冒険者を始めたばかりの新米で、階級はもちろん鉄だ。こちらこそ、よろしく。ガルフさん。」

俺も同じように首元の階級章を見せて、自己紹介をする。するとガルフの纏っていた暗い空気が少し晴れる。

「ほう、あれだけ戦えて何で鉄の階級章なんぞ着けてんのかと思ったが、新米だったか。」

「ああ、出来て一週間も立っていないパーティーだ。最初の依頼であんなやろうが出てきて俺らもヘトヘトだ。」

ガルフはヒュウと口笛を吹く。

「やるな~、お前ら。初依頼であのレベルの戦闘に対応できるなら、パーティーでの銀階級は確実だろうよ。俺が保証する。」

「それは助かる。親からは銀になるまで帰ってくんなって言われていてね。」

そうして談笑していると、

「おーい、アレク~、狼人の人~…」

そこにヘルマの呼ぶ声が聞こえてくる。

「呼んでいますし、早く戻りますか。」

「そうだな。」


「それにしてもよく戻って来れたな、クェウル!」

ヘルマが森の中から出てきたクェウルに声を掛ける。

そこには最後にリビングデッドを拘束して、最後の一撃を加える立役者となった仲間、クェウルがいた。

「ハーフと言っても長耳族だからね!森の中は庭みたいなものだよ!」

「それにしても早すぎないか?」

「南のあるエルフ族の体術と魔法を合わせた秘技で『森駆け』って言うのがるらしくてね、それを使って来たんだ。これを使うと変に肉体強化使うより早く走れるんだよ!」

それを聞いたコーブは半ば呆れたような声で言う。

「ハハッ、森の中のエルフってのは無茶苦茶だな。」

「本当ね。でも、南のエルフの秘技なんてどこで知ったの?ゼウス領域を横断したの?」

オーディン領域が大陸の北方にあることを知っていたアステルはクェウルに尋ねる。

「知ってる理由?それはね元々、とと様とかか様があっちに行った時に教えてもらったらしくて、便利だからってかか様から教えてもらったからなんだ。」

「ですがよく抜けてこられましたね。ここ数十年あそこは亜人の方々にとってはあまり居心地がよくないでしょう。」

「今はそうだけど、とと様とかか様が旅をしていたのはもう百四十年も前だからね。その頃はそんなことは殆ど無かったらしいよ。」

「度々発言に種族的差違を感じますね。」

クェウルの両親の心配をしたシレルだがクェウルのエルフ的発言に苦笑を浮かべる。

「そろそろ、村に戻りたいし死体の周りで話してるあいつら、呼ぶか。」

コーブの提案にヘルマが答える。

「そうだな。…おーい、アレク~、狼人の人~。村に戻ろうぜ~。」

気づいた二人が寄って来る。


「すまんすまん、少し話してた。」

「アレク、そろそろ村に戻ろう。ゴブリンはアステルの一撃で全部吹き飛んだし、リビングデッドも討伐した。全員、疲労が限界に近い。」

「わかってる、コーブ。俺もそうしようと思ってた所だ。」

コーブが帰還の提案をし、俺もそれに同意する。

「だけど、その前に俺達の命の恩人であるガルフさんの紹介からだ。」

「フェンの子、ガルフ、冒険者歴は五年、階級は銀だ。今回はお前達のお陰で助かった。ありがとう。この恩はガルフの名に誓って必ず返そう。」

「命を救われたのはこっちもなんで別にその辺りは気にしないでいいすっよ。ガルフさん。」

「そうです、そうです。ガルフさんと私達の力を合わせた上での勝利なんですから。」

ヘルマとシレルがガルフさんに答える。

「そう言ってもらえるのは嬉しい。俺もあそこまで粘って、引き付けた甲斐があった。」

「それじゃあ、全員軽く自己紹介したら、村に戻ろうか。」


自己紹介を終え、雑談も交えながら森の中を歩く。

ヘルマが尋ねる。

「ガルフさんは森の反対側から来たんすよね?」

「ああ、散々あいつに追いかけ回されながらな。」

「ということはキリル帝国の冒険者ギルド所属なんすか?」

「取り敢えずはそうだが、銀になるとあくまでそこに籍をおいてるだけで、それほど遠出しないのならどこにいてもさして問題ないんだ。」

「やっぱり、銀くらいになると随分自由になるんすね。」

ヘルマが感心するなか、シレルが尋ねる。

「依頼中に遭遇したのですか?」

「ああ、そうだ。こっちの街への商隊の護衛中にいきなりな。森の道を進んでいる時に見つけたんだが、初めは直立不動のでかいやつが見えるってだけだったんだが、突然こっちに向かって走って来てな。」

「それは大変でしたね。商隊は無事だったのですか?」

「ああ、恐らくな。護衛には俺以外にも銅のパーティーもいたからな。」

「そういえば、槍はどうしたんですか?」

ガルフが戦闘時に持っていた槍を持っていないことに気づくアステル。

「槍?ああ、あれはリビングデッドの体から抜けなかったから、そのままおいてきた。」

「良かったの?」

「どうせ買い換え時だったし構わないよ。」

そんな他愛もない話をしながら、俺たちは木漏れ日輝く森を進んでいく。


「これからどうするんだ?」

「どうするとは?」

コーブが歩きながら俺に尋ねる。

「取り敢えず急造で作ったこのパーティーだけど、このまま続けるのかって話だ。」

「お前はどうしたいんだ?俺達三人は今までと変わらず、一緒だが。」

「言わなきゃ駄目か?…こう、わかるだろ。」

「知ってるか?気持ちや願いっていうのは言わなきゃ伝わらないんだぜ。」

そう言い、目線を投げ掛ける。

コーブはなんとも言えないを作る。

そして、数秒後にこちらから顔を背けながら言う。

「まあ、なんだ…その…俺としてはだな、これからも一緒に…まあ、やっていきたいとは思っている。」

コーブの耳は話ながらすごい勢いで赤くなっていき、今では真っ赤になっている。

俺は振り返り、後ろで談笑している五人に向けて言う。

「おーい、みんな!こっちに来てみな。面白いものが見れるぜ!」

五人が寄って来る。

「どうした、どうした。」

「あー!コーブ、真っ赤になってる!」

「あら、どうしたのですか?コーブ?そんなに照れて。」

「へえ、コーブって照れるとそんなに赤くなるんだ。」

「戦闘では鉄壁の騎士さんも、これじゃあ形無しだな。…で、何したんだ、アレク?」

俺は答える。

「いやいや、俺は何もしてないよ。いきなりコーブがパーティーへの愛を語りだしたから。」

「いやっ、おまっ、それは違うだろ!」

ワハハハハハハ

静かな森に笑い声が響く。

そして、森を抜ける。

目の前には青い小麦畑と少し遠くに村の建物が見える。

地平線の下に隠れていた太陽は空に昇り、世界を照らしている。

「それじゃあ、村に帰ろう!」


~第一章 完~


誤字、脱字の発見にご協力下さると幸いです。

感想やレビュー、評価をしていただけると作者が大いに喜び、投稿ペースが上がるかもしれないです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ