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「いつも空を見てるよね。何かあるの?」




 大嫌いな彼女にそんな事を尋ねられた。




 またつい癖で、窓の外を眺めていたからだろうか。




 どうやらそれが気に留めたらしい。




「……嫌、別に。何もないけど」




 ぶっきらぼうにそう答える。




「そうなんだ……ごめん。少し興味があって。私もよく空を見ることがあるから」




 謝りながらそんなことを言われた。




 特別、空を見ることに理由なんてものはなかった。




 ただ単に、休み時間や授業中。退屈な時間にそうしていたら、それが日課になっていた。それだけ。




 そんなことを説明するのも億劫だった。




「あっ、そう」




 適当な相槌。




 こうすればその後、話かけられることはない。




 また陰であいつは最低だと、噂されるだけ。




「う、うん」




 ほら。こうやって曖昧な笑顔で誤魔化して、それで終わり。




 今までずっとそうやって、周りとの関係を切り捨ててきたのだから。




 これ以上、何を求められるというのか。




「……」




 静かになった彼女は、隣の席で窓の外を眺めていた。




「今日は天気が悪かったけどさ」




 たまたま目が合ったからか、そう笑いかけられる。





「明日は晴れるといいね」





 返事は出来なかったが、確かに思う。




 あぁ、ダメだ。もっと嫌いにならないといけない。




 もう関わってしまわないように。




 臆病な自分に苛立ちながら、同じように窓の外へ現実逃避する。




 朝から降り続いた雨は、いつの間にか止んでいた。





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