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 もし、俺と彼女が違う出逢い方をしていたら、今頃どうなっていただろうか。




 今年の夏は本当に楽しかった。




 ずっと、夏が終わらなければいいのに。そんな風に思っていた。




 行きたい場所はもっと他にあった。




 二人で遊園地や水族館、秋には紅葉、冬にはスキー。来年には海に行こうと約束もしていた。




 その全てを潰したのは俺自身だ。




 彼女の想いから逃げて、




 クラスの皆から逃げて、




 現実からも逃げて、




 あの日から俺の時間は止まったまま、動かない。




 動きだそうにも、最初の一歩が踏み出せない。





 ずっとずっと俺は一人だった。





 そんな俺に彼女は言った。




 一緒にご飯を食べようと、




 笑っていた方が楽しいよ、と。




 ……なんでこんなに優しいんだよ。俺はたいした人間じゃないのに。




 今頃になって彼女の言葉、仕草、全てが脳裏に浮かびあがっていく。




 涙が出そうなくらい想いが溢れてくる。




 また友達になんて、無理だよな……。俺はもう、取り返しのつかないことをしてしまったんだから。




 誰もいない屋上で俺は一人寝転がり、そんな事を考える。




 もう隣に寄り添って、あの晴れた大空のように笑ってくれる彼女はいないんだと。




 俺の手を優しく握り返してくれる彼女は遠くにいったんだと。




 想像して胸が痛んだ。




 はりさけそうなくらい痛んだ。




 そこで自分の気持ちがはっきりとわかった。




 あぁ、そうか。





 俺はこんなにも彼女に恋していたのか。






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