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「嫌だよ……それだけは嫌だ」




 彼女は言う。今までで一番辛そうな顔で。




「どうしてそんな事言うの? やめてよ。気を使ってるなんて……ひどいよ」




「じゃあ、どうしてなんだよ」




 わからなかった、本当に。




 彼女が俺に少なからず好意を抱いている、その理由の他に何かある気がするんだ。




 しかし、やっぱり彼女は何も言わなかった。




 目に涙を溜めながら、俯く。




「……言えない」




 その言葉に、さすがに俺も呆れてしまった。




「じゃあ、やっぱり今日でお別れにしよう。色々ありがとう、楽しかったよ」




 そう言って、去ろうとするが、彼女に腕を掴まれる。




「なんでっ……! なんでそうやって孤立したがるの……? 」




 自ら孤立を求めたワケではない、成り行きでそうなった。




 というのを言い訳にして逃げているのを知っている。




 本当は、彼女の言うとおり自然と関わるのを避けていた。




 自分は孤独じゃないと思いたいだけなのかもしれない。




 ただ人と関わるのが嫌だった、そんな理由かもしれない。




 自分でもそれは、わからなかった。




「……ごめんな、わかんないんだよ。俺にも。人とどう関わったら、いいのか」




 あの事件以降、クラスの連中の白い目が、怖くて仕方ない。




 臆病なんだ、自分は。とてつもなく。




「……あなたはすごく優しい人なのに、どうしてそんな事をするのか。私には、わかんない」




 泣き出す彼女に俺は何も言えない。




 暖かい言葉も、肩を抱く事も俺にはできない。




 その資格は……俺にはない。







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