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『Pandemic』   作者: 月夜乃雫
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第六話「Predation」

『Pandemic』 第六話「Predation」


pm22:48 降下した15名からの連絡が途絶えてしまった。


若狭 「ちょっと・・・ マズいんじゃないかしら?」

翠  「さっき誰かからSOSあったかにゃ?」

雪那 「ええ。春ちゃんからSOSがあったけど、それきり無言なのよ」

真弓 「下の状況が分からないのが怖いですね」

cocoa 「Milliちゃん・・・」

雪那 「あら? 下から春ちゃんが戻って来るみたいよ?」

一同 「「「えっ!?」」」


 雪那がTPテレポートで呼び戻そうとしていた春からの反応が無かったのだが、ささやきから呼び出しに応じたであろう事が、壁の向こうに橙色の光点が現れたことで確認できたのだ。


雪那 「春ちゃん、SOSだったけど大丈夫なの? 他の皆はどうしたのかしら?」

春  「・・・・・・・」

cocoa 「Milliちゃんは!! 無事なの!?」

翠  「様子が変にゃ」

若狭 「念のため、警戒はしておいた方がいいんじゃないかしら?」

真弓 「そうですね」


 少しだけ厚めに作った壁の向こう側に光点だけミニマップに表示されている春からは、何ら返答が無い。既にそのことが下で起こったであろう異変を想起させはするものの、次に何をしたら良いのかが誰一人思い浮かばない。


cocoa 「あの、なんか下の光点が動いていませんか?」

雪那 「下って、地面には大勢人が集まっていて、どの光点が動いているのか分からないのではないかしら?」

cocoa 「いえ、地面では無くて・・・ 床下の方の・・・」


 不安気に床下を見つめるcocoaの視線の先で、矢唖が居た場所から光点が動いて来るのが見える。


若狭 「これって・・・」

翠  「嫌な予感しかしないのにゃ」

真弓 「同感です」

愛美 「もう嫌だぁ!!」


 何度目の愛美の愚痴だろう。正直言えばこの場に居る全員が共通して同感なのだ。いい加減訳の分からない状況が終わって、いつも通りの平和な時間が戻って欲しいという意味では。


翠  「あれ? ところでソコのソファーに固まってた二人はどこにゃ?」

雪那 「え?」

真弓 「言われてみれば!?」

若狭 「新人さん二人のことよね? いつの間に移動したのかしら・・・?」

cocoa 「いえ、床下の光点が増えてるんですけど・・・・・・」

一同 「「「ふぁっ!?」」」


 確かに、ソファーに逃げ込んでいたハズの初心者二名の姿は消えた。対照的に床下の光点はいつの間にか3つに増えている。まさかとは思われるが、床下の矢唖が・・・。


ゴリッ!!

ボリッ!

ボリッボリッボリッボリッボリッ・・・

ガリッ ベシャッ ブシャッ グチャッ メリッ ミシッ グシュッ・・・


 今回の床下からは、嫌な異音しか聞こえてこない。

 だが、正直これ以上はお腹いっぱいだ。異音ならもう聞きたくは無い。

 皆が同じ思いだった。


 矢唖は雫に足を掴まれて床下へ引き摺り込まれた。その後不気味な破砕音に続いて咀嚼音が鳴り響いたと思ったらその場から動かなかったハズではなかったのか。その矢唖が、今度は自らの意思で動き出したと気付いた時には、どのようなトリックを使ったのか新人二人を床下に引き摺り込んだのか。


cocoa 「矢唖さん・・・ 雫さんみたいに・・・ 怖いわ・・・」

真弓 「ソファーはダメ見たいですね。カウンターとか、もっと高い処へ移動しましょう!」

翠  「カウンター以外にもあるのにゃ」

若狭 「どこよ?」

翠  「上にゃ」


 翠はことも無げにクラブ店内を照らす照明を指さした。数種類あるが、中にはスポットライトなど座れそうも無いものもあるが、間接照明などの中には、床に設置されているスタンドやコーナーラックの上にあるスタンドなどもある。


若狭 「翠はネコだから座れるかもしれないけど、あたしみたく人間姿の化身だと座れないのよ?」

翠  「こーゆー時はプライドとか捨てるにゃ」

若狭 「イイ女ってのは、いついかなる時も身だしなみを気にするものよ?」

一同 「「「姐さん!!」」」

翠  「ママの言い分は分かったにゃ やりたい人だけあたしみたく真似すればイイにゃ」

真弓 「雪那ちゃん! 避けて!!」

春  「・・・・・・ガッ!!」


 雪那が咄嗟に身を反らすのと、目の前の壁から鉤爪が雪那の前髪数本を掠めるのがほぼ同時だった。鉤爪は何度も空を切ながらなおも雪那に近付こうと足掻いているようだ。


雪那 「そんな・・・ 春ちゃんまで!?」

翠  「どうやら、食べられちゃうとアイツらの仲間にされてしまうようにゃ」

若狭 「そんな・・・ ゾンビ映画じゃあるまいし・・・ ねぇ?」

真弓 「ええ・・・ 考えたくも無いですけど・・・」


 だが、実際に目の前の壁からは、春が異形の者と化して雪那に襲い掛かろうとした。床下の矢唖もだ。雫の事例を加えて、動かしがたい事実が既に3件目ともなれば翠の仮説が正しいようだと共通の認識となった。


cocoa 「このソファーじゃ床に近すぎますね・・・ 一瞬だけ床に降りるけど、光点は少し離れてますよね? 皆さん、銃を構えて援護してくださいね。」

一同 「「「OK!」」」


 気を付けてねなど、幾つか言葉を加えた者達も居たが、全員の視線が移動しようとするcocoaへと注がれた。正確には彼女が移動しようとする床下の光点が動く姿へと。


雪那 「cocoaさん! ちょっと待って!!」

若狭 「ダメ! 今光点がそっちへ!!!」

翠  「間に合わないにゃ!!」

愛美 「cocoaさん!!」

cocoa 「え!? 嫌ああああっ!!」


 cocoaは本当にほんの一瞬だけ、一歩だけだがカウンターへ向かうべく床に触れただけだった。だが、彼女が移動するよりも素早く光点がcocoaへと襲い掛かって来たのだ。

 周囲が静止しようと思った時には、既に遅かった。cocoaもまた床下へ引き摺り込まれてしまったのだから。



 cocoaもまたアイツらと化してしまったならば、捕食者は4名に増えてしまう。生き残りは5名だけ。このまま有効な対策が無ければジリ貧となるだけだ。


翠  「・・・仕方無いにゃ・・・ ふぅ。」

若狭 「どうしたの?」

真弓 「・・・・・」


 仕方ないとは何を指しているのだろうか。翠は全てを諦めてしまったとでも言うのか。


翠  「あまりやりたくはなかったんにゃけども・・・」

雪那 「何を?」

愛美 「どう・・・するの?」

翠  「一つ、ロクでもにゃいアイディアがあるにゃ」

一同 「「「えっ!?」」」


pm23:00


今回短めです

本当にロクでも無いアイディアしか出てきませんけど・・・

次号で逃げ切れればとゆー感じで

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