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盲目の恋文  作者: ゆうなり
3/3

ある金曜日

飲食店はどこもそうだと思われるが、金曜日ともなると店内は客足が絶えない。


Leeも同様にカウンター、テーブル席がほとんどうまってしまっている。


時計の針が0時を回ろうとしていた時、ドアの鈴がなった。


「いらっしゃいませ」


覚束無い足取りで1人の女性が入ってきた。


そのままカウンターの端に腰掛けると、お絞りを受け取る前に身体を伏せて寝てしまった。


「おい!美里!寝に来たのか?」


一文字美里はLeeの近くに住む23歳。

事務の仕事を終えると、家に帰る前にLeeに立ち寄るのが日課だ。


だが今日は明らかにどこかで飲んできているようだった。


「フワフワしてきたかも・・・」


美里は酔うと宙を浮いているような独特の感覚に陥るらしい。


「相変わらずだな。それより今日は翔希はいないのか?」


翔希は慶太の10年来の友人でもあり、美里の彼氏でもある。


「さっきまで一緒にいたよー」


飄々と話す美里


「美里を残して1人で帰ったのか。あいつも相変わらずマイペースだな・・・」


「私ね、さっき翔希にフラれたんだー」


美里は淡い茶色の巻き髪をかき上げながら答えた


「え!?先週も仲良さそうにここで話してたじゃん!」


「そんなことより、とりあえずジントニック頂戴」


慶太は渋々とライムをロンググラスに絞った


「私も突然過ぎて気持ちの整理がついてないの。なんでいきなり翔希がそんなこと言い出したのかもわからないし・・・」


慶太はジントニックを美里に出すと珍しく声を大きくした。


「それで美里はそれを受け入れたのかよ!?」


出されたジントニックを一気に飲み干すと、急に立ち上がった。


「しょうがないでしょ!どうする事も出来ないじゃない!」


美里はバッグを乱暴に抱えると、逃げさるように出ていってしまった。


慶太はそれを呆然と眺めるしか出来なかった。


「慶太!美里の会計はどけんしとっとか!」


ヤマサブの声が響く。


今日もLeeは色んな意味で慌ただしかった。

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