マッチ売りの少女
この作品は、”マッチ売りの少女”の二次創作です。
ある国の話です。
この国は貧しく、人々は毎日の生活が大変でした。
信じられるのは自分だけ。
弱い者は誰に助けられる訳もなく、死んでいきました。
寒い夜の日に凍えながらマッチを売るこの少女も、弱い者の一人でした。
もう何日もご飯も食べておらず、マッチを売らなければ生きていけない。
そんな状態でした。
それでもこの国の人々は、自分の事で精一杯なので
彼女のことは気にも留めませんでした。
飢えと寒さで限界の少女は、仕方なくマッチを使って温まる事にしました。
「あぁ、この温かさが永遠に続いたら良いのに」
少女は消えそうなマッチの火を見ながら、そう願いました。
するとなんと、マッチの火が消えても、
少女は凍えそうな寒さを感じなくなったのです。
驚くことに、このマッチは少女の願いを叶えてくれるものだったのです。
それから少女は、日々を生きるためにマッチを使いました。
”食べ物に困らない様にしてください”
”眠らなくても大丈夫な様にしてください”
”風邪ににかからない様にしてください” と
しかし、少女はマッチで幸せを願おうとしませんでした。
少女は幸せを知らなかったのです。
毎日、いつ死ぬかもわからない様な生活で生きていく中に
幸せというものも、感じることはありませんでした。
なので少女は過度な願い事はせず、ただ毎日を生きれる様に
マッチを灯し続けました。
しかし、どこからか噂を聞きつけた人々は
少女のマッチを奪おうとしました。そこで少女は、マッチにこう願いました。
”誰も私を気にも留めない様にしてください”
それから、少女に近づく人は現れませんでした。
以前と同じになったのです。
ただ一つ違うとすれば
少女が、生きる手段を得たという事でした。
その気になればマッチを使って、
ありとあらゆる願いを叶えることが、できたはずです。
でも少女は、それをすることもなく
そして、誰も気にも留めにまま天寿を全うしました。
果たした少女は幸せだったのでしょうか?
それは今となっては、少女にしか、わかりません。
幸せのかたちは、人それぞれなのでしょうか?