8月3日 「出会い」
「暑い…。」
照りつける陽射しの中、溶けて崩れそうなアイスを頬張りながら家路を歩いていた。
家でいつものようにクーラーをつけ、だらしない格好でだらけていることに唐突に嫌気がさした。
1学期が終わり、2学期前の長期休み……そう、夏休みに入ったのだ。
その夏休みをもうすでに10日ほど過ぎ8月に突入していた。
このまま、うだり続けて居たら
体も心もこのクーラーの冷気のように凍ってしまいそうだと感じ
気づいたら外に出ていた。
しかし、友達は夏休みならではの
課題や部活に追われていて遊べる人がいないし
どこかへ遊びに行こうと思っても、外は夏なのに俺の財布は真冬の如く寒くなっていた。
その現実に夏の暑さを余計に感じる。
結果、最寄りのコンビニでアイスを買い渋々と家へ向かっているのだ。
「はぁ…。なんかねぇかなぁー。」
なにかこう、気持ち的に体的にも満足できるものは
と考えても、結局は家に帰ってゲームをするのが最適だ。
と俺の右耳に肩の上で横になり
ささやく俺がいる。
まぁそうだろうなぁ、と思い
諦めて歩く速度を速める。
最寄りのコンビニと言っても
家からだと公園を抜けて川沿いを歩き、橋を渡った信号のところにあり
徒歩だと約15分かかる。
そんな長い道のりを渋々と歩いて
公園を横切る。
ここの公園はグラウンドやテニスコートなど家族連れやちょっとした運動をするには最適な公園。
その一部にベンチやら遊具がある普段見かける公園らしい所があり、
そこを抜けて家に帰る。
いつも通りその公園を抜けようと思い入った時、一瞬暑さを忘れるような風が吹いた。
あぁ、涼しいなぁと風を受け止めようと動きを止めて風を感じていた。
その時公園の全体を見回した。
「……あれ?」
こんな暑い中人が居たのだ。
まぁそりゃあ人が居なくなるほど
暑すぎる訳ではないが
木の上を見上げて眺めてるだけの人などなかなかいない。
それに…可愛いのだ。
陽の光が反射するくらいの艶とこんな暑さにもかかわらず
風が吹くとなびくロングへヤーで
見た目はおとなし目の女性。
俺は彼女の姿や状況が気になり
見つめてしまっていた。
その視線に彼女が気付き
目が合ってしまった。
横顔美人かと思いきや、普通に
美人だった。
俺は目を逸らすどころか
更に見入ってしまい
見つめ返してしまっている。
そして彼女が沈黙を破り
語りかけてきた。
「今日も、暑いですね。でもこの位置から見上げる景色が綺麗で見とれちゃってました。」
と彼女は俺に対し、この暑ささえもろともしないくらいのはにかんだ笑顔を見せた。
俺の体温は今日の最高気温を緩くさせてしまうくらい熱くなっていた。
あまりの暑さなのかそれとも
彼女の笑顔になのか視界が眩みそうになった。
彼女の見た目と発した言葉の感触から柔らかさを感じて
本当だったら初対面だし男だし
汗臭いだろうから
近づけないと思うはずなのに
彼女の傍へ歩み寄ってた。
傍に来たのを感じたのか
彼女は見惚れている方向を向いた
まま
ほらほらと指をさし、その方向を覗く。
青々しく見える木々から生える葉
の間から射し込む陽射しが普段だと
暑くて眩しいはずがこの場所から
当たる陽射しはとても優しかった。
この暑さを忘れてしまうくらい
涼しく感じてしまう。
俺は嬉しかった感じた涼しさに対してではなく、彼女の気持ちと共感できたことに。
「よかったでしょ?」
と彼女は柔らかい声で隣に来てる俺になにも反応せず
相変わらずの優しい笑顔をみせる。
そして出口の方向へと翻し、歩き出す。
俺は何を考えるより先に
発していた。
「あの……!!あ、明日も居ますか?」
彼女はその言葉に、反応しこちらを見て手を軽く上げ。
「またねっ。」
まるで音符が付きそうなリズムがある声でいって、離れていった。
また外の暑さにうだりながらも
まだ冷めない気持ちを抱え家に帰宅した。
初投稿の作品なので
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