序章――必然
初めまして!光 流麗ともうします!流麗とおよびください!
ハーメルンでも、[流麗なる狼]という名で執筆しています。
よろしくお願いします!
西暦九百五十年。とある村に、災害が発生した。内容は土砂崩れ。原因は不明。前日、当日共に快晴で、雨が原因ではないと確定。結局、原因解明はままならなかった。
西暦九百五十二年。一年前と同じ村に、謎の大穴が発生。かつてこのような事案が発生したという例はなく、原因は不明。第一発見者は、その村の村長であった。原因解明の捜査は行われなかった。
さらにその二ヶ月後、大穴第一発見者の村長が行方不明となった。同時に史上最大レベルの竜巻がピンポイントで発生。何もかもを破壊し尽くし、もはや復興不可能なレベルとなった。
そして西暦九百五十三年。異変の現れ始めた例の村が、〝魔王〟と名乗る者によって、固有の領土が大地ごと消えていた。
もはや嘘ではないと、村の有様を見た国王が判断。王都や他の村に〝魔王〟に気をつけるよう伝達し、たちまち人類は魔王に畏怖した。守護兵器の開発に取り組み、現在開発中である。
そして―――。
西暦九百五十六年。俺は王都にいた。消滅した村出身で、親父はそこの村長だった。まぁ、知っての通り行方不明者になったけどな。
俺が朝起きたときには、もういなかった。でも、個人的な所有物は置いてあったし、旅っていうわけではなさそうだ。
そんな話はおいといて、今は今に集中しよう。
「んみゅぅ……」
「へ?」
そう、俺のベットの中には、俺こと【神馬 龍】(じんば りゅう)の幼なじみである【紅聖 鎖那】(くせい さな)がいたのだ。
多分寝ぼけてるっていうか、無意識で行っているんだろう。寝相は普通なんだけどな……。
ん?どうして同じ部屋にいるかって?まぁ……それは後で説明しよう。その方が都合もいいし。
「鎖那-!時間だよ!」
「んん……ぁ、りゅーくんー?」
「あぁ、そうだよ」
「んむ……ってあれ?私はどうしてりゅーくんと一緒に寝て……は、まさかっ」
何かを察したような顔をしたと思ったら、突然顔を真っ赤にし悶え始めた。なにそれこわい。
「ついに私の日頃の努力が実を結んで、昨日意識がなくなるほどに……!?」
「え、なんだって?」
「……うわぁ、必殺技使われた……」
いや、だって聞こえなかったからね!?わざとじゃないからな!?
「まぁいいや、そんなところもりゅーくんのいいところだもんね♪」
……また聞き返せば変に言われそうだから、無反応で。
「それじゃあ、着替えて食堂行くかー」
「了解!じゃあ後でね!」
「あぁ、また食堂で」
だいたいの方は疑念を浮かべたのではないだろうか?『同じ部屋で着替えんの?』と。
否、そんなことはない。俺はいつも風呂場で着替えており、寮長に相談したら承諾されたのでそうしている。ちなみに風呂は大浴場である。
大浴場といえど、この時代。俺たち〝兵士〟がいつでも万全の状態で出陣できるよう、最高の設備が整っているのだ。湯船の種類は豊富で、肩凝り等の疲労を癒やす効能がある。さらには入浴後のマッサージまであるという懲りっぷり。よく一階の兵士たちのためにここまでできたなと思う。王様々だな。
―○▽×―
その後無事食堂にたどりついた俺たち二人の目に飛び込んできたのは、すっかり忘れていた《一級剣士昇格試験》の結果だった。
そこには、なんと恐るべき事実が張り出されていたのである。
《一級剣士昇格試験 合格者:五名》
主席・神馬 龍
次席・紅聖 鎖那
三位・櫻葉 伊織
四位・一ノ瀬 星羅
五位・西園寺 綾
「……男、俺しかいないんだが!?」
その後急いで朝食を摂った俺たちは、王のいる城に出発した。
時間もあるし、この世界の剣士について説明しよう。
まず、すべての民、剣士など、この国を統べる者が〝王〟だ。その元で、あらゆる事案や雑務をこなすのが〝大臣〟。
軍を一つまとめ、その頂点に君臨することができる〝大将〟。そして、大将の右腕として、大将を支えるのが、俺たち〝一級剣士〟だ。
支えるだけでなく、実際に戦場へ駆り出されれば、現場の指揮をとり、尚且つ戦わなければならない。頭を使いながらも敵を屠る。実に難しい役職だ。だからこそ本当に厳選しなければならないので、五人だけなのである。
そういえば、俺と鎖那が同じ部屋にいた理由だが。それはまぁ単純に、《一級剣士育成学校》―――今までお世話になっていたところだ―――に入学届を出すときに、お節介を焼かれたからだ。
『お二人さんは、恋人か何かかな?』
『は、はいそうです!』
『おいっ』
『あらあら、まぁ!彼氏さんは恥ずかしがり屋さんなのね。いいわ!ここは私がサービスして、二人を一緒の部屋にしてあげるわ!』
『是非よろしくお願いしますぅ!!』
『うぇ!?』
……と、いうわけです。まぁ、どっちにしろもう部屋がいっぱいで俺たちで締めるつもりだったらしいし、ちょうどよかったのだろう。もし俺と鎖那が他人同士だったら、どちらかが入学できないことになっていたらしい。
正直よかった。だって、今は主席と次席の実力だし、多大な戦力を失ってしまうところだったのだから。
そうこうしている間に城についた。かなりの大きさがある重厚な門と、はね橋のように門の前を塞ぐ柵の二重構造となっており、容易には突破できないだろうことは明白だ。
その門を抜け、大広間にでる。天井にはシャンデリアが飾られており、入り口から一直線の延長線上にある階段までレッドカーペットが敷かれていた。階段も二方向に別れていて、かなり豪華な内装となっている。それが当たり前なのだが。
二階に上がり、さらに三階まで上がると、いままで見てきた扉よりも一層重々しい扉が現れ、これが〝王の間〟なのだと確信した。この先に、国の最高権力者である〝王〟がいる……っ!
俺は、なぜか高揚していた。どうしてこんな気持ちになるんだろう?全くもって理解不能だ。自分のことは自分が一番分かっているはずなのに。
わからない。でも、俺は実感した。
――――――これからは、もっと戦えるッ!!!
こうした方がいいなどの意見は受け付けます。感想よろしくお願いします!
初オリジナル作品なので、不安ですね笑