三人目の仲間は……
「シャルド。私はあなたがついてくるのも自分の中でなんとか認めた。ティナを説得するのもなんとか努力した。でも、これだけはダメ。こいつと一緒に旅とか、マジで無理なレベル」
レイアはそう言いながらも、シャルドから丸焼きを奪って頬張っていた。
「レイア様。ガレリアに一緒に行ってくれる奇特な人なんて彼ぐらいしかいませんよ。それに強さは折り紙つきですし、勝手知ったる地元人。こんなに好条件逃したら、もうないと思います」
ここで今まで口を閉じていたディナンがここぞとばかりに頼み込む。
「別にお前たちを見つけたから勇者一行にと頼みに来たわけではない。たまたま国に戻るための仲間を探していたらそれがお前だったというだけの話だ。決してお前がなぜ強いのか確かめるためとか、邪心あって誘っているのではないぞ」
肉にかぶりつきながら上目使いで睨みあげるレイア。空腹に耐えかねて彼の奢りに手を出している時点でもう彼女の負けといってもいいのだが。
「おかしいわよそれ。国に戻るのなら昨日護衛兵と一緒に発てばよかったじゃない」
完全に疑っている、それもそうだ。彼女が出しゃばらなければ本来勇者としてたつのは彼に違いなかったのだから。俺が折れるしかないのか。呆れたようにぼそりとつぶやきながら彼は叫ぶように頭を下げた。
「おねがいだレイア殿。俺を勇者一行の一員として、魔王討伐の旅に連れて行ってくれ。兄弟の無念、俺は晴らしたいのだ!」
これが彼らの仲間が一人増えた瞬間だった。