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◆プロローグ

 

 

 


 

 

 額に温かな感触。

 サラ…と、髪を梳くのは柔らかな指先だと知っている。

 

 目を開ければ、何時もの微笑みと共に降る言の葉。

 

「おはよう」

 

 と、その声音は相変わらず艶めいていて…私は、ありとあらゆる言葉を込めた溜め息を漏らすしか無のです。

 

 

 例えば、そう、目の前にいる彼が愛しい夫、や恋人だったなら?叉は、兄、弟、我が子…この際、不倫相手でもいい。

 そういった、ベクトルは違えど愛しいという思いを素直に向けてれば良い相手だったなら?

 

 きっと、同じように「おはよう」と答えて、幸せな目覚めに微笑めば良かったのだろうけれど……。

 

 

 目の前の相手が、父親に等しい存在、直属の上司、命の恩人、世界に5人しか居ない魔王の一人かつ同性だったりした場合、どう答えを返せば良いのでしょう?

 

「おはよう、ユーリス」 

 …金髪碧眼の整いすぎた容貌を持つ貴方の微笑みは、朝の光どころではなく眩いです。

 この三年、幾度と無く繰り返された目覚めの挨拶と口付けに、答えの出せない私はただ丁寧に同じ挨拶を返すのみ。

 

「おはようございます」 

 お願いですから「口付けは返してくれないの?」とか、物欲しそうな目で無茶なことは言わないで下さいね?

 私にとって、それはとても厳しいのです。

 

 床を共にはしていても、元異世界人の私には挨拶の頬へのキスすら慣れないんですから……。

 

 

 

 

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