【短編】秘密の図書館
ここはなんでも揃う図書館。
願いの叶う魔法の図書館。
人の間で噂となっている幻の図書館。
⋯⋯それは欲望渦巻く怨嗟の図書館。
今日も今日とて、この辺境な地に誰かが現れた。図書館の扉が勢いよく開け放たれる。
「よーうやく⋯⋯たどり、着いた⋯⋯」
幼さと可愛さが並存する美少女であった。
髪は上で二つに結われ、それがウェーブ掛かって、くるんと小顔を強調するように巻いてあった。
服は白いワンピースで、その小さな身体をすっぽりと覆い隠す。
大きく息を荒らげて肩で呼吸を繰り返すも、きゅっと小さく結ばれた可愛い口元に、一見すると小さな少女かと思えたが、その大きな茶色の瞳の奥には、少女とは思えない決意が溢れていた。
でないと、この魔法の図書館には出会えない。
少女はぱっぱとワンピースに付いた埃を払い除け、辺りを見渡す。
「誰が居ませんかー?」
少女の声は反響するも、誰からも返事はない。
恐る恐る少女はその図書館へと足を踏み入れる。
次の瞬間、バタンッ!と勢いよく扉が閉まる。
「ヒィッ!?」
館内に響くほどに大きな音に少女は、まるで仔猫のように飛び跳ねて床に転がる。
「びび、びっくりしたぁ⋯⋯」
少女は「いてて」と腰を擦りながら、何事かと後ろを振り返る。そして扉がひとりでに閉まった事に驚いたのと、もう後には引けないのだろうと覚悟を新たにする。
「もう、やるしかないんだ」
少女の顔はキッと決意に結ばれ、幼さを消しさった。
それは目の前の膨大な本を見てそう思った。
その矢先、一生掛けても見れなさそうな量の中から、一冊の本が選ばれたように飛び出して、少女の目の前にふわりと浮かんで現れた。
いつまで眠っていたのだろうか。その本は埃を被っていて、肝心のタイトルは掠れて見えない。
更には経年劣化のようで、内側の紙は破けが見えた。
「わぁぁ」
しかし少女それを、まるで宝石のように目を輝かせて眺め、暫くして大事そうに手に取ると、ギュッと抱きしめる。
「これが欲しかったの⋯⋯」
少女は感動の涙を流して、埃を被ったその本を深く抱え込む。
ぽろぽろと抱きしめられた本は、少女に触れてもらえたのが嬉しかったように埃を床に落としていく。
変化は続き、更には光を放ってその本自体が真新しい物へと変わっていく。
少女は最初からそうなるとわかっていたように、女神のような笑みを浮かべた。
最後に、その本はタイトルが刻み込まれた。
-永劫、と。




